She’s Mercedes meets Japan / Vol.5

千葉 流山市(旧水戸街道)後編 利根運河、丁字屋、一茶双樹記念館

photo/ 濱野智(glife)
text&edit/石崎由子(uraku)
navigator/田沢美亜(uraku)

水運に恵まれた街「流山」

和綿染織作家の白井仁さんの静かな工房をあとにした私たちは、まだ止まない小雨の中、smart BRABUS forfour Xclusiveを走らせて、まずはランチをいただこうと流山の市街地へ向かいます。スマートは細い道が多い場所では小回りが利いて助かります。その割には安定感があって路面に吸い付くような走りが安心です。
流山市街地に入る前に利根運河の脇を抜けてみることにしました。
利根運河は野田市、流山市、柏市の3市にまたがり、利根川と江戸川を結ぶ運河です。
明治23年に完成し最盛期には100隻を超える船で賑わっていた、明治の交通や輸送
を担う大切な運河でしたが、昭和に入り鉄道や道路交通網の発達によって、その役目を
終え、現在は公園として市民の憩いの場所となっているようです。
天候が雨なので、公園を少し歩いてみる事はできませんでしたが、晴れていたら気持ちの良い場所だそうです。
さて、ちょっと寄り道してしまいましたが、ランチをいただきに「丁字屋」さんへ向かいます。

smart BRABUS forfour Xclusive

流山市で本格フレンチ

流山本町あたりは、江戸川の水運に恵まれ、江戸時代中期からこの地域の商業や流通の中心地として栄えた町で、特に有名なのは、“白みりん”の発祥の場所であるという事です。
万上みりんと天晴みりんが流山で生まれ大きくなった2大ブランドで、現在も私たちの台所で活躍しています。今回訪れる「丁字屋」さんは、その頃の面影を街並みに残す流山本町にあり、「丁字屋」さんの建物も大正12年に建てられた古い町家造りをリノベーションして再生させ、運営されています。もともとは足袋屋さんだったそうで、当時の屋号をそのまま使用されているそうです。入り口にある大きな「丁字屋」の看板もその頃の物を使用しているとのこと、なるほど貫禄があるのもうなずけます。
こちらの美味しい本格フレンチを生み出している、シェフの古水さんは、都内の有名フレンチレストランで厨房に立たれていたという経歴の持ち主で、縁あって古水さんの現在住まわれている流山で、お店を任される事になったのだそうです。
いただいたランチのお料理は、創造性あふれる本格フレンチで、流山でこの重厚感ある建物とともにこの味が楽しめるなんて、と驚いてしまいました。

流山はこだわりの農家さんが郊外に意外に多く、「丁字屋」さんでは野菜は地産地消
でお料理を出す事を実現されています。毎日お店に出る前に農家さんをまわり、その日の良い野菜を仕入れて、メニューを決められているそうです。
そのうえ、名産であるみりんを使用したメニューなども有り、まさに「流山」ならでは本格フレンチを提案する事を実現されています。
古水さんもこの場所で自身がフレンチを提案するならば、そうありたい、またそうでなければ意味がないと熱く語って下さいました。
今回いただいたランチメニューは、「かんぱちのカルパッチョと蕪と辛味大根のマリネ」
「さつま芋のスープカプチーノ仕立て」「合鴨のロティーみりんとスパイスのソース添え」の3種類、それぞれ地野菜を使用されていて、使用される野菜はその日によって変わるので、メニューも日によって変わるそうです。
どれも味わい深く、流山のお野菜もおいしくいただけるように考えられているメニューです。最後にいただいた鴨は本当に柔らかく、でもしっかり深い味で、また訪れたいと思ってしまいました。夜はコースのみとなっていて、お野菜はその日の物になりますが、お肉やお魚などは、前もってお願いすればあわせて作って下さるとの事なので、夜の「丁字屋」さんも訪れてみたいと思いました。

“白みりん”誕生の町

前章でも少しご紹介しましたが、流山は“白みりん”誕生の場所でもあります。
江戸時代中期、この地域は酒造が盛んで、この地の二代目堀切紋次郎の手によって「万上みりん」が、また同じ頃五代目秋元三左衛門によって「天晴(あっぱれ)みりん」が誕生したそうです。それまでのみりんは色がやや赤く、主として関西方面で多く生産されていました。白みりんは、新たな醸造の工夫により、美しい白い色のみりんとして、流山の二人の先駆者によって開発されたものです。みりんは、甘くて飲みやすいと、お酒の得意でない女性などに人気だったそうです。やがて、江戸の料理文化の発展とともに、みりんが調味料として使われるようになり、水運で江戸と直結する流山の白みりんは大いに繁盛することになります。
ランチを終えて、もう少し流山の歴史にふれてみようと立ち寄った場所は、そんな「みりん」の歴史を今に伝える場所「一茶双樹記念館」です。
「天晴(あっぱれ)みりん」生みの親、五代目秋元三左衛門は文化的な活動を好んだようで、双樹と号して俳句をたしなみ、小林一茶と深い交流を持っていたようです。
一茶は流山に何度も足を運び、時には長く逗留したようで、その時の逗留場所が秋元家だったようです。この記念館はその古い秋元家を移築してみりんと、一茶の記念館として当時の様子を今に伝えている場所です。

「一茶双樹記念館」の中心、お庭に面した「双樹亭」は、秋元家がお客様をもてなす新座敷として安政の頃に建てた建築物を移築したものです。枯山水のお庭もとても素敵で、中でお茶もいただけます。
記念館には、「双樹亭」のほか、商家の表構を復元した建物「秋元本家」と、切り炉があり茶会などにも利用できる建物「一茶庵」があります。
雨はまだ降り続けていましたが、そのしっとりした感じが、歴史の重みあるこの建物の風情を高めていて、ゆったりとした時間をすごせました。
「双樹亭」の床の間には、明治31年に小松宮彰仁親王が秋元家を訪れ揮毫した「天晴(あっぱれ)」の掛け軸(複製)があり、この書体が「天晴みりん」のラベルにも使われ、当時の秋元家の繁栄、栄華がうかがわれます。当時のみりんの資料や、一茶との交流の資料なども展示されており、当時の流山の隆盛を感じつつ、座敷や縁側でゆったりとすごせるところが魅力です。
「みりん」とともに栄えた町、流山の2大ブランドの一つ「万上みりん」はキッコーマンさんへ、「天晴(あっぱれ)みりん」はMCフードスペシャリティーズさんへ、それぞれ受け継がれ現在も私達の食文化を支え続けています。時間をかけて磨かれた技術は静かに伝承されていくのだなと、雨音を聴きながら感じていました。

店舗データ

丁字屋

丁字屋

千葉県流山市流山 1-5
tel:04-7192-7953
https://touemon.com/shop/chojiya
定休日:毎週月曜日 月曜日が祭日の場合翌日になります
営業時間:ランチ:11:00~(14:30ラストオーダー)予約可
     ディナー:18:00~(20:30ラストオーダー)予約制
Dinnerでは10歳未満のお子様のご利用はお断りしております。
日曜にはお子様にもご利用いただけます
専用駐車場はございます

店舗データ

一茶双樹記念館

一茶双樹記念館

千葉県流山市流山6-670-1
tel:04-7150-5750
http://www.issasoju-leimei.com/issa/issa_index.html
休館日:毎週月曜日 月曜日が祭日の場合翌日になります
営業時間:9:00~17:00
専用駐車場はございます

<urakuプロフィール>  http://urakutokyo.com/
ファッション誌や広告などで活躍中のモデル田沢美亜(たざわみあ)とTOKYO DRESS などのプレスやアパレルブランドのディレクションを務める石崎由子(いしざきゆうこ)の2人で立ち上げたユニット。
日本各地に残るぬくもりある手仕事や確かな技、それら日本人が大切にしてきた美意識や心を現代の生活や次世代に残し伝えていく事を目的にしています。またそこから海外への発信、架け橋になるようにと活動を続けています。

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