She’s Mercedes meets Japan / Vol.13

長野ドライブの昼食は、美味しいお蕎麦を

日本各地に伝わる手仕事や技を伝える、女性ふたりのドライブストーリー。今回は長野県上田市の古い街並みが残る柳町へ向かい、美しいお蕎麦と宝石のようにカラフルな飴を求めてクルマを走らせました。

photo/ 濱野智(glife)
text&edit/石崎由子(uraku)
navigator/田沢美亜(uraku)

北国街道に残る古い町並み

心地よい風が吹き抜ける麦畑の真ん中にある、刀剣作家宮入法廣さんの工房を後にした私たちは上田市へと向かいます。
まずは北国街道の途中にある上田市の古い街並みが残る柳町へ向かい、その柳町の通り沿いで蕎麦屋さんを営んでいらっしゃる「手打百塾おお西」さんへ向かいます。
前回に引き続き旅のお供は、CLA 220 4MATIC Shooting Brake、カラーはジュピターレットです。細い街中の道も安定したコーナリングで滑らかに進みます。
柳町は古くから街道の要所ということや、上田が絹の産地だったこともあり、古くから栄えた町です。この通りに入ると、タイムスリップしたかの様な気分になります。
昔から変わらずこの場所で営むお店や、昔の建物を利用した新しいお店が混在し、現在も賑わう街道です。

そんな場所で蕎麦屋を営む「手打百塾おお西」さんは、全編で訪れた宮入法廣さんも行きつけだそうで、発芽そばを利用した十割蕎麦がとても美味しいのだそうです。
ちょうどお腹もすいてくる時間です。楽しみにしながら車を走らせます。

蕎麦処、信州で生まれた発芽蕎麦

「手打百塾おお西」さんは、その昔絹問屋だったという建物を利用した風情ある店構えで、どこか懐かしさも感じさせるお店です。中に入ると、女将さんが元気に迎えてくださりました。上田の別の場所で15年、今回お邪魔したこの場所で15年、合計30年長野で営んでいらっしゃるそうです。
私たちは、早速席について、噂の発芽十割蕎麦をいただくことにしました。
漆の器に盛られたお蕎麦は、いつも食べているものより少し短めで、更科のように綺麗なお蕎麦です。口に入れると蕎麦の旨味に加え、少し甘みがありとても美味しいくて驚きました。するっとのど越しもよく、柔らかめで少しもっちりしますが、コシもしっかりあります。
発芽蕎麦での十割蕎麦は想像以上に美味しいお蕎麦でした。
お店に入ってすぐ右脇に、ご主人であり蕎麦打ち職人の大西さんが、お蕎麦を打つ姿が見れるようなガラス張りのコーナーがあります。
そこで作業をしている手を止めていただき少しお話を伺いました。

「そば」の持つ可能性を信じてこだわり続ける

信州はもともと蕎麦の皮をむく技術を開発したことによって、更科蕎麦産地として有名な場所です。蕎麦の中心にある柔らかい、わずか13%の部分を引いた一番粉を使用したものが更科蕎麦と言われるのだそうです。
大西さんはもともとは更科蕎麦で、「そば」の旨味をより引き出すことを考えていました。それで不可能と言われていた、「水」でつないだ十割そばを作ることに成功します。それまでにはいろいろなことを試したそうですが、最終的には「水」だったそうです。もちろん打つ時の水の分量や、手加減、タイミングはありますが、適した「水」を見つけた事が大きかったようです。お水は上田近く、別所のお水を汲んできて使用しているとの事です。十割そばを実現させたのですが、大西さんの蕎麦への思いと、蕎麦の持つ可能性を信じる心は、まだまだ止まりませんでした。その後も、さらに美味しく、との思いを持ち続け、ふと、発芽玄米からヒントを得て、発芽蕎麦を試してみることにしました。
こちらも色々試行錯誤をおよそ3年ほど繰り返す事にはなりますが、出来上がってみると、さらに旨味が増すだけでなく、甘みと食感が良くなり蕎麦の新しい世界が広がる事になります。
また、信州大学で調べていただくと実は栄養価も上がったのだそうです。

さてそんな大西さんですが、もともとは内装業をしたりギャラリーをしたりと別の仕事を東京でされていたそうです。初めは蕎麦屋さんを東京で開業したのですが、奥様の力つよい後押しもあり、上田でこだわりのお蕎麦屋さんを始めます。今では普通になりましたが、値が高いこだわりのお蕎麦は、当時は驚かれたそうです。
しかし次第に噂が広がり、今ではすっかりお蕎麦の有名店へとなります。
大西さんは奥様がいなければできなかったと語り、二人三脚で歩んできたお二人の様子が伺えて、とても微笑ましく感じられました。
何よりも、蕎麦を愛している大西さんは、蕎麦の魅力は、毎日打っていて、こだわっているけれど、ちょっとした水加減や、タイミングで毎日味が違うというところが、もっと美味しくの向上心を誘うからだと語ってくださいました。
また、大西さんは、これまで開発したり、見つけた蕎麦の魅力を、これから引き継ぐ次の世代の蕎麦打ち職人さんたちが、もっと広げてくれるだろうと信じてもいらっしゃいます。蕎麦の魅力や味はまだまだ広がる可能性を秘めているのだそうです。
早朝の3時から蕎麦を打ち続けるという作業のお話を伺いながら、大西さんのは、本当に骨の髄まで蕎麦打ち職人なのだなと強く感じました。

穀物商から、みすゞ飴の誕生

美味しいお蕎麦と職人の心意気を伺った後は、お土産を求めて、上田駅前の「みすゞ飴本舗 飯島商店」へ向かいます。
大正13年に建てられた建物は有形文化財に指定されたクラッシクで、重厚感漂う洋館です。訪れるだけで、ちょっと貴婦人になった良い気分に包まれます。
こちらの飯島商店さん、もともとは「油屋」という屋号で、穀物商を営まれていたらしく、先ほど伺った「手打百塾おお西」さんと同じ通り、北国街道沿いにあったそうです。始まりは、はっきりはわかっていないようで、記録に残っているところは、文化13年からなので、少なくとも200年以上は続く老舗です。上田に電車が通るということをきっかけに、明治21年に駅前に移転し、そのあとの水害をきっかけに米飴を作り始めたそうです。はじめは当時創業したての森永製菓さんの下請けとして、どんどん生産量を増やしていきます。その頃「飯島商店」と名を改め会社へと転換したそうです。
「みすゞ飴」を始めたのは大正8年、当時の社長さんがオリジナルを作ろうと考えて、信州ならではの素材を使った商品開発を行い現在も私たちが美味しく頂いている「みすゞ飴」が誕生したのだそうです。
今回、お話しを伺った次期当主見習いの飯島新一郎さんは「油屋」から8代目、「飯島商店」さんになってからは4代目にあたるのだそうです。

信州の素材にこだわったカラフルな飴たち

私たちは、お話しを伺いながら、「みすゞ飴」を幾つか試食させていただきました。
信州の素材にこだわり、選び抜かれたフルーツを使用しているというそのお味は、フルーツ本来の味がしっかり引き立った甘すぎない上品な味わいが魅力です。たくさん食べても飽きない自然の味なのかもしれません。
店頭には「みすゞ飴」だけでなく、フルーツのジャムや、ゼリー、あられ、米飴など他にも美味しいそうなものがたくさんあります。ジャムが気になったのでこちらも幾つか試食させていただきました。ショウケースの上にガラスの器に入った試食用のジャムが並んでいて、カラフルなジャムがとても綺麗です。見た目も可愛らしくて見ているだけで気持ちがウキウキしてしまいます。
商品については、お店の方がフルーツの産地や、品種などについて、一つ一つ丁寧に説明してくださるので、とても助かります。
パッケージもどこか懐かしくて、でも洗礼されていて、誰かにプレゼントしてしまいたくなるかわいらしさが魅力的です。

100年続く商品を

「みすゞ飴」は今でも手作りで丁寧に作られています。
大切にしていることは「国産の素材で最高の素材を最高の状態で製品にして提供していく」ということだそうです。
大手のお菓子メーカーにはできない、特別な時や、特別な人へ、の気持ちに寄り添えるような、商品作りをしっかり続けることにこだわりと誇りを持って、いつでも100年続く商品を作っていきたいと語ってくださいました。
古い町並みが、残る上田の街らしく、この土地を愛する気持ちと誇りが100年愛される商品を生み出しているのだなと感じます。
慌ただしく移り変わるのではなく、確かなものや思いを未来につなげている、そんな街なのかもしれないと思いながら上田の街を後にしました。

 

立寄りデータ

柳町の町並み

No Image

https://yanagimachi-ueda.jp

 

店舗データ

手打百塾おお西

手打百塾おお西

〒386-0012長野県上田市中央4-9-8
tel: 0260-24-5381  
http://www.ohnishisoba.com
定休日:無休(但し、不定期に休むことがございます)
営業時間 : 11:00~14:00頃
*お蕎麦がなくなり次第閉店させていただいております
専用駐車場はございます

 

店舗データ

みすゞ飴本舗 飯島商店

みすゞ飴本舗 飯島商店

〒386-0012 長野県上田市中央1-1-21
tel: 0268-75-7620 
https://misuzuame.com/sp/
定休日:1月1日、12月31日午後
営業時間::10:00~18:00
専用駐車場はございます
画像ファイル

 
<urakuプロフィール>  http://urakutokyo.com/
ファッション誌や広告などで活躍中のモデル田沢美亜(たざわみあ)とTOKYO DRESS などのプレスやアパレルブランドのディレクションを務める石崎由子(いしざきゆうこ)の2人で立ち上げたユニット。
日本各地に残るぬくもりある手仕事や確かな技、それら日本人が大切にしてきた美意識や心を現代の生活や次世代に残し伝えていく事を目的にしています。またそこから海外への発信、架け橋になるようにと活動を続けています。

<Special Thanks>
ROPE ETERNEL:Dress
Continuer:Sunglass

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