She’s Mercedes meets Japan / Vol.9

三重県 伊賀市(旧東海道から大和街道)後編 伊賀城下町、薫楽荘、田楽座わかや

photo/ 濱野智(glife)
text&edit/石崎由子(uraku)
navigator/田沢美亜(uraku)

古くからの要所、伊賀

伝統と革新という言葉通りのダンディーな「土楽窯」の福森さんにランチまでご馳走になり、心もお腹もいっぱいにした私たちは、工房をあとにして、伊賀市の市街地へ向かいます。今回も旅のお供はGLC 220 d 4MATIC Coupé Sports のカラーはヒヤシンスレッド、内装は本革仕様です。SUVでありながら後ろ姿がクーペフォルムというところが美しい車体です。見た目の大きさの割に小回りが効くので古い町並みの入り組んだ道も心配なく走れます。
まずは、伊賀市の古い町並みをドライブしてみることにしました。前半でもふれましたが、伊賀市は古くから京都、奈良、伊勢を結ぶ街道が交錯し交通の要所として栄えてきました。そのため江戸幕府を開いた徳川家康もこの地を重要と考え、信頼できて築城の名手だった藤堂高虎を城主とし、この地を治めさせました。江戸時代は城下町として産業、文化共に発展したようです。今でも古い建物が数多く残り、伊賀上野城を背景にした、風情のある町並みを見ることができます。

国の有形文化財に指定された旅館

趣のある町並みをドライブしたら、ひとまず今夜の宿泊場所へ、向かうことにしました。今回うかがうのは、国の登録有形文化財に指定されている旅館「薫楽荘」さんです。
こちらの建物は明治の後期に建てられたとのことで、築100年ほどになるそうです。
もともと、このあたりは花街だったそうで、現在の旅館となる前はお茶屋さんだったらしいと、伝え聞いているそうです。そのため周辺には同じようなこぢんまりとした旅館が何軒か立ち並んでいて、なんとなく当時の雰囲気を感じられます。
入り口の格子戸を開けると、どこか懐かしい場所に帰ってきたような、暖かい空間が広がっています。ご夫婦で営んでいらっしゃるとのこと、女将さんは気さくで暖かい人柄で、ホテルでは感じられないアットホームな雰囲気が、魅力になっているようです。
実際また帰ってきたくなる、といった感想を持たれるリピーターさんが数多くいらっしゃるようです。

室内に入ると、いたるところに昔ながらの造りや、細工が見られて感心してしまいます。
とはいえ、古いので維持していくための苦労が数え切れないほどあるそうです。
特に冬は寒いので、お客様に寒くないように温かく、心地良くを心がけているそうですが、木造なので火の取り扱いにかなり注意していらっしゃるのだとか。またお庭や工務店さんなど、ベテランの職人さんがどんどん減少しているところも不安の種なのだそうです。どんなに自分たちが頑張っても環境や、周りの協力なくしては簡単には継続できないのだなと思いました。それでも女将さんは、とにかくアットホームに、おばあちゃんおじいちゃんの田舎に訪れたような、心地良さをできる限り提供したいと、柔らかい笑顔で語っていらっしゃいました。

田楽踊りからついた名前

女将さんとゆっくり話していたら、すっかり日も落ちてきました、今日は車を旅館「薫楽荘」さんにおいて、歩いて行けるところにある「田楽座わかや」さんへ夕食をいただきに行くことにしました。
こちらは江戸時代末期、およそ200年ほど続く老舗の田楽屋さんで、現在のご主人で11代目になるそうです。こちらの女将さんも笑顔が可愛らしく気さくなかたで、田楽の歴史などいろいろ教えてくださいました。
田楽のルーツは田植えの時に、田んぼの神様へ豊作をお祈りするために田楽法師という人達が踊りを踊る習わしから来ています。串に豆腐を刺して味噌が付いている様子が、田楽法師の衣装に似ているから、豆腐田楽と呼ばれるようになり、略して田楽となっていったようです。お豆腐やさんが田楽を販売することが始まりのようで、そのため、田楽用のお豆腐を使っていることが普通だそうです。
「田楽座わかや」さんでも11代目のご主人が毎朝お豆腐を作られていて、大豆も地元の有機栽培のもで、天然ニガリを使用しているそうです。お味噌は代々受け継がれてきたレシピで1000日間熟成させ旨味とまろやかさが特長です。ベーシック味の味噌、木の芽味噌、ゆず味噌と季節によって変わります。ご主人自ら、月ヶ瀬産の炭でじっくり焼いて仕上げます。店内には香ばしくて芳醇な香りが漂って食欲をそそります。

ワインといただく田楽

現在の建物は阪神淡路大震災のあと、建物が老朽化していたため、建て替えた方が良いだろうということになり、1999年に建て替えられたそうです。
その時にいろいろと変化を入れてみようと思い、新メニューを考えるのはもちろんですが、田楽に合うワインをセレクトしたいということで、女将さんがソムリエの資格を取得されたのだそうです。ということで、私もお豆腐料理、田楽に合うワインを選んでいただきました。
お酒も揃ったところで、早速田楽をいただきます。田楽のお豆腐は身がしっかりとしていてお味噌との相性がバッチリです。思ったよりさっぱりしていて、飽きがこない味だなと感じました。最後の締めにご飯の上に田楽を乗せると美味しいですよと勧められ、それではといただいてみました。こちらは味噌のおかげでご飯が進んでしまい、つい食べ過ぎてしまいそうです。
「田楽座わかや」さんは200年ほど続くお店ですが、とてもアットホームな雰囲気は、女将さんの人柄なのだなと食事をしながらの会話で強く感じました。ご主人は音楽好きでご自身もギタリストとのこと、伊賀で音楽イベントなども行っていたりしたそうです。2人とも伝統とうまく寄り添いながら、老舗のお店に新しい風をたっぷり入れこんで「今」の人たちに満足させるおもてなしをしてくださっているのだなと、ワインをいただきながら感じていました。

立ち寄りデータ

伊賀市街地

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http://www.igaueno.net

店舗データ

薫楽荘

薫楽荘

三重県伊賀市上野桑町1473
tel: 0595-21-0027
http://matinami.o.oo7.jp/hatago/higasi-nippon/kunrakusou-iga-ueno.html
専用駐車場はございます。

店舗データ

田楽座わかや

田楽座わかや

三重県伊賀市上野西大手町3591
tel:0595-21-4068
http://wakaya.jacklist.jp

定休日:毎週月曜日(祝日営業)
営業時間:ランチ:11:00~14:00
     ディナー:17:00~20:00
専用駐車場はございます。

<urakuプロフィール>  http://urakutokyo.com/
ファッション誌や広告などで活躍中のモデル田沢美亜(たざわみあ)とTOKYO DRESS などのプレスやアパレルブランドのディレクションを務める石崎由子(いしざきゆうこ)の2人で立ち上げたユニット。
日本各地に残るぬくもりある手仕事や確かな技、それら日本人が大切にしてきた美意識や心を現代の生活や次世代に残し伝えていく事を目的にしています。またそこから海外への発信、架け橋になるようにと活動を続けています。

<Special Thanks>
ROPE ETERNEL:Jacket
ROPE ETERNEL:Pants
Continuer:Sunglass

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