She’s Mercedes meets Japan / Vol.9 /

三重県 伊賀市(旧東海道から大和街道)前編 圡楽窯 陶芸家 福森雅武

photo/ 浜野智(glife)
text&edit/石崎由子(uraku)
navigator/田沢美亜(uraku)

旧東海道から大和街道へ

旧東海道をどんどん進んで三重県の鈴鹿市と四日市市を訪ねた後、私たちはそのまま東海道を進み、関で大和街道に入り、次の目的地伊賀市へ向かうことにしました。早朝の出発で暦の上では立春とはいえ、伊賀の朝は気温が低く、畑には一面に霜が降りていて幻想的な景色が広がっていました。
伊賀市は古来より京都、奈良、伊勢を結ぶ街道が交錯し、交通の要所として、また江戸時代には城下町としても栄えた町です。一般的には忍者のイメージが強い町ですが、その他にもたくさんの見どころや、特産物がある豊かな里山の残る美しい町です。
一面のお茶畑風景から、今度は一面の田園風景、まだ稲のない田んぼに銀色の霜が朝日に当たりキラキラと輝いている中のドライブです。
今回も前回に引き続き、旅のお供はGLC 220 d 4MATIC Coupé Sports のカラーはヒヤシンスレッド、内装は本革仕様です。大きい車体でありながら小回りがきき、ハンドルは軽いのだけど安定感があります。田んぼの脇道のような細い道も安心して走れます。今回お会いする方は伊賀焼の窯元、「圡楽窯」の福森雅武さんです。常に新しい挑戦を自由な発想で挑み続ける「現代の数寄者」が見つめてきた世界と、この先も見つめ続ける世界をうかがってきました。

GLC 220 d 4MATIC Coupé Sports GLC 220 d 4MATIC Coupé Sports
GLC 220 d 4MATIC Coupé Sports GLC 220 d 4MATIC Coupé Sports
GLC 220 d 4MATIC Coupé Sports GLC 220 d 4MATIC Coupé Sports

一度壊して「自由」に生み出す

伊賀市街地から北へ滋賀県との県境近くに、伊賀焼きの里はあります。
あたりは田園風景の広がる美しい場所で、訪れた「圡楽窯」さんも、その風景に溶け込んだ風情ある素敵な工房です。
工房に訪れるとダンディーな出立ちの福森雅武さんが笑顔で出迎えてくださいました。まずは囲炉裏のある客間にお邪魔させていただき、お茶をいただきながら、お話を少し伺いました。この客間がシンプルながら、程よい色気が感じられる素敵な空間で、福森雅武さんのこだわりと、突出したセンスが感じられます。また、とにかくいろいろな分野に渡って造詣が深く、お話が楽しくてつい取材を忘れて話してしまったほどです。
故・白洲次郎さん白洲正子さんとも親交が深かったというのも納得できます。
そんな福森雅武さんは、伊賀焼の里「圡楽窯」の七代目となります。現在は娘さんの道歩(みちほ)さんが代表を務めていて、8代目となっていらっしゃいます。彼自身は、半分代表、半分自由な時間を楽しみながら作陶を続けていらっしゃるそうです。先代までは典型的な伊賀焼の工房だった「圡楽窯」を福森雅武さんのキーワードでもある「自由」な感覚と発想で、受け継がれた確かな技術を使って、新たに生み出していったそうです。現在の「圡楽窯」の様々な器たちは福森雅武さんが「自由」な感覚でデザインされた物たちで、ここ伊賀の土を使い、型押しではなく一つ一つ丁寧に、職人さん達がろくろで成形して作られた陶器なのです。

一つ一つろくろを回して

さて、早速職人さん達のいる工房を見せていただくことにして、場所を移動することにしました。広い敷地内の中に、工房と窯が幾つかありますが、その一つに、「圡楽窯」で作られる、美しい日常的な器や土鍋の制作工房があります。
この日、工房では土鍋を作るため、この道9年の職人さんが、ろくろを回していました。やわらかな光の中、静かに黙々と、土塊が美しい形へと変化していきます。大きな土鍋はやはり成形が難しく、また土の収縮率もあり、見極めが難しいのだそうです。土鍋は大きさにもよりますが、一人の職人さんが1日30個~40個作り上げるのだそうです。また、少し離れた場所で、もう一人の職人さんがろくろを回しています。こちらは器を作っていて、1日100個程作られるそうです。現在こちらの工房では、福森雅武さんの娘さんの道歩さんを入れて、4名がろくろを回されているとのことです。
ここで成形された器や、土鍋たちは、ゆっくりと十分に乾かしてそのあと750度で素焼きされます。そのあと釉薬をかけて1200度程度で本焼きを行います。

さて、今度は器たちを焼く窯を見せていただくために、窯場へ移動します。製品はガスの窯で焼かれるそうで、ちょうど焼き上がり、温度が下がってきた窯を開けるところに遭遇できました。窯を開けるとチリチリと金属を軽く叩いたような、鈴のような音が聞こえてきます。貫入が入っている音なのだそうです。その音がなんとも心地よい音で、焼き場に静かに響き渡ります。本焼きは、1日焼かれたら火を止めて、また1日程そのままの状態にして窯を冷まします。100度を切るぐらいになったら窯を開けてまた少し冷まし、完成というわけです。「圡楽窯」で作られる器や土鍋たちはこのようにして、一つ一つろくろを回し完成までに時間をかけて作られているのです。
最後に福森雅武さんが作品を焼き上げている窯も見せていただきました。こちらは薪を使って時間をかけて温度を上げていく昔ながらの窯です。ここでどんな作品が生み出されているのかと想像するとワクワクしてきました。

伝統は足跡みたいなもの

工房からまた客間へ戻ると、福森雅武さんがお昼の用意をしてくださっていました。
実は福森雅武さんは料理の本を出版されるほど、お料理の腕前もプロフェッショナル級なのです。その他にも生花の本も出版されています。こちらもセンス抜群です。
贅沢な伊賀牛と、お野菜を土鍋で調理していただきます。ご飯ももちろん土鍋で炊き上げます。どれもとても美味しくて、たくさんいただいてしまいました。
福森雅武さんはいろいろな作品や器達をみんなに「自由」に使って欲しいと語ってくださいました。そのため作品集のような本は出さないで、使用している様子がうかがえるような、お料理の本や、生花の本を出版されているのだそうです。
16歳で先代のお父様を亡くされて、自らの自由な発想と、周りの豊かな自然から独自の世界を確立していかれた福森雅武さんは、「伝統って言うのは足跡みたいなもので、歩いた後を見たらついているんですよ、けれど先にはないんです。だからいかに自由で、そして何を見出し作っていくかということです。」と語ってくださいました。何かに縛られてしまって、チャレンジしたり新しい物を取り入れられなくなったら、続くこともなくなってしまう、いつも新しい物を模索し続けているから足跡がついていくのだそうです。だからこそ、使う私たちにも自由であって欲しいと強く思われているのだと思います。福森雅武さんのお話を伺い、伝統と革新はいつも隣り合わせで進んでいくものなのだなと強く感じました。

そんなチャレンジ精神たっぷりな福森雅武さんは、半分自由になったということで、様々な計画を考えているのだとか、イギリスで自身の窯を開いたり、同じくイギリスで料理人、酒蔵さんと一緒に日本食レストランを考えたりと、アイデアはとどまることはありません。次回訪れた時はいったい何を見て、何を感じ、何を計画していらっしゃるのか、本当に楽しみになってしまう魅力的な方です。
そろそろ、おいとましようかなと告げたら、実は私もメルセデスベンツに乗ってますと告白されました。せっかくなので並べて記念写真をと最後に一枚。福森雅武さんはまるで少年のように嬉しそうな微笑みを浮かべていらっしゃいました。
この好奇心が新しいアイデアを生み出していくのだなと、私たちもなんだか冒険しているような気持ちになりました。

工房&ギャラリーデーター

圡楽窯

圡楽窯

〒518-1325 三重県伊賀市丸柱1043
tel:0595-44-1012
http://www.doraku-gama.com
定休日:不定休
営業時間:11:00~17:00
諸般の事情により、ギャラリーをお休みさせていただくこともございます。
ご来窯の際は必ず一週間前までにお電話かメールでご予約をお願いいたします。

<urakuプロフィール>  http://urakutokyo.com/
ファッション誌や広告などで活躍中のモデル田沢美亜(たざわみあ)とTOKYO DRESS などのプレスやアパレルブランドのディレクションを務める石崎由子(いしざきゆうこ)の2人で立ち上げたユニット。
日本各地に残るぬくもりある手仕事や確かな技、それら日本人が大切にしてきた美意識や心を現代の生活や次世代に残し伝えていく事を目的にしています。またそこから海外への発信、架け橋になるようにと活動を続けています。

<Special Thanks>
ROPE ETERNEL:Jacket
ROPE ETERNEL:Pants
Continuer:Sunglass

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