She’s Mercedes meets Japan / Vol.6

千葉 君津市(旧久留里街道)後編 濃溝の滝・亀岩の洞窟、村のピザ屋カンパーニャ、雨城楊枝

photo/ 濱野智(glife)
text&edit/石崎由子(uraku)
navigator/田沢美亜(uraku)

幻想的な景観の「濃溝の滝・亀岩の洞窟」

人里離れた、長板中形・藍形染作家の松原伸生さんの工房を後にした私たちは、紅葉が綺麗な森を抜けて、近くにある「濃溝の滝・亀岩の洞窟」へ向かうことにしました。
Mercedes-AMG A 45 4MATICは、こう配のある道も安定してスムーズに進みます。車体のジュピターレッドカラーが紅葉とマッチしていてコーディネートしたかのようです。
社内のインテリアもポイントカラーにレッドを効かせていて、運転していても気分が上がります。
訪れた「濃溝の滝・亀岩の洞窟」はおよそ350年前に「川廻し(かわまわし)」という工事でうまれた人工の滝です。手堀で作られた洞窟は独特の景観を魅せていて、ここ数年訪れる観光客の人数もとても増えているそうです。「濃溝の滝・亀岩の洞窟」は清水渓流公園内にあり、ゆっくりとお散歩が出来ます。ランチ前に少し歩いてみる事にしました。

平地の少なかった場所ならではの知恵

「川廻し」は農業耕地を増やす為に行われた工事で、平地の少なかった場所ならではの耕地開拓の方法です。上総丘陵ではいくつか行われたようで、蛇行した川と豊かな水、岩盤の固さなどの条件が適していたためといわれています。蛇行し迂回していた川部分をショートカットさせて、流れを変え、もとの蛇行していた川の部分を水田などに変えて、耕地を増やしたとのことです。自然と人力の作業がこの独特の景観を作り出していて、とても美しい場所です。実際トンネルをみると、これが手掘りでできているのかと、少しびっくりします。
周辺は湿原になっていて、ゆっくりお散歩が楽しめるところも魅力の一つです。色付き始めた木々の赤や黄色が日の光にあたりとても綺麗で、清々しい気持ちになれます。
さて、お散歩もしておなかが空いてきたのでランチをいただきに向かいます。

築130年の民家を改装

「濃溝の滝・亀岩の洞窟」から少し市街地に近づいた所、まだ民家の少ない山間の集落に、今回訪れた「村のピザ屋カンパーニャ」はあります。築130年の古民家を改装した心地よい空間の本格ナポリピザ屋さんです。こちらのオーナーの加藤さんが自らピザ釜を作られたり、内装工事をしたりと、少しずつコツコツと趣ある落ち着きある空間を作り上げていったそうです。お店に到着した頃、雲行きが少し怪しくなってきたので、私たちは急いでお店へ駆け込みました。
加藤さんの家系はおよそ400年前、江戸時代よりこの辺りの山の資源を管理するお家柄だったそうで、この地に根付いた生活を代々されていたそうです。12年前に加藤さんが古くなった母屋を改装してお店を開業しようと思い立ち、自らイメージを膨らませてお店を作り上げていったそうです。内装、外装、庭、家具、ピザ窯、暖炉、電気の設備まで、全てオーナーの加藤さんが自ら改装を行ったというのだから、驚きです。
食材も、もちろんこだわっていて、周辺の農家さんや、房総の海の幸などを、ご自分の足で探しにいかれてメニューを考えていらっしゃいます。「せっかくここまで来たのに、ここの食材じゃなきゃ意味ないでしょ」と愛嬌たっぷりに微笑みながらお話ししてくださいました。

こだわりのピザに詰まった思い

今回は自家製ベーコンを使った「ビアンカハーブ」と定番の「マルゲリータ」をいただきました。「ビアンカハーブ」はSPF無菌豚を使用し、一週間以上仕込んで作った自家製ベーコンと、地元のベビーリーフを使用し、トマトソースを使わないチーズだけのピザです。テーブルに運んでいただいた瞬間にふわっと、スモーキーなベーコンの香りが漂い、食欲を誘います。ベーコンの味と香りを邪魔しない絶妙なチーズのチョイスも加藤さんのこだわりを感じます。定番「マルゲリータ」は地元のフルーツトマトを使用していて、チーズもデンマークのチーズ2種類とドイツのチーズを使用した濃厚なコクのある仕上がりで、普段よくいただくマルゲリータとは違った深みのあるピザです。
一度口にするとやみつきになる、他にはない味わいが魅力です。
現在はイタリアで修行されていて戻られた、息子さんがピザを焼かれていて、加藤さんは少し隠居気分で次のもくろみがあるのだそうです。ちらっと聞かせていただきましたが、そちらは数年後またこの旅で訪れてお知らせしたいと思います。
房総半島の内陸の豊かな恵みをさらに広げて行く計画と、ここには記させていただきます。この地を切り開き豊かにしてきた血筋が加藤さんの中にも脈々と流れているんだなと、陽気に夢を実現し続けてきた加藤さんのお話を聞きながら想像して暖かい気持ちになりました。「村のピザ屋カンパーニャ」のピザには加藤さんの気質そのものが詰まっているのだと思いました。

武士の内職だった「雨城楊枝」

おなかを満たしたあとは、帰路へ向かうため久留里市街地へ進みます。その昔、久留里城というお城のもとに栄えた城下町です。ここから木更津までが旧久留里街道というわけです。この城下町で武士の内職として江戸時代初期から受け継がれている、千葉県指定伝統工芸品でもある「雨城楊枝」の工房を訪ねました。
「雨城楊枝」はこの辺りの地域の特産物である「クロモジ」という香木から作られる楊枝です。関ヶ原の戦いの後、初代久留里藩主である土屋忠直が武士の内職として奨励し発展しました。特別な道具は使わず、のこぎりと小刀で作る事が出来るという事と、久留里の特産の「クロモジ」に目をつけたようです。「クロモジ」は香木であり薬木でもあります。煎じて飲んで胃腸を整えたり、湿疹などにも効き目があります。歯のケアなどにも使われていたようです。そんな「雨城楊枝」の伝統を継承し活動している森さんは、ユーモアたっぷりの優しいまなざしの職人さんです。子供の頃から工房にいる先代のお父様の傍らで遊んでいたという経験があったからか、自然に技術が身に付いて行ったそうです。森さんは「イメージトレーニングだったのかも」とおっしゃっていました。工房には森さんの他に2名のお弟子さんがいらして、みなさん暖かい雰囲気で迎えて下さいました。

江戸の通好みとなった「雨城楊枝」

工房にはいると、材料から楊枝を作り出して行く様子を実演して下さいました。
「クロモジ」を木が乾燥する前、フレッシュな状態のまま、楊枝へと削っていきます。
削り立てでフレッシュな楊枝の香りは、少し柑橘系のような爽やかな香りがします。
色も、ややグリーン味がある黒茶色です。削り終わったら十分乾燥させると、私達がお茶席などでよく見かける黒茶色の「雨城楊枝」となります。江戸時代中期には「上総の楊枝」としてトップブランドになったぐらい江戸の通好みの楊枝だったそうです。この久留里周辺で取れる「クロモジ」の香りが特に上質だった事も要因だったようです。
森さんが作り出す「雨城楊枝」はどれも使いやすさとさりげない繊細な細工が素敵です。
それもそのはず、森さんは茶道をたしなみんだり、刀や日本画等の美術も詳しい数寄者。
確かな技術と知識をひけらかさないような、お茶目なユーモアーが粋な方、そんなセンスが絶妙な細工を生み出しているのだと思います。
森さんはその、粋な「雨城楊枝」をやはり未来へ繋げて行こうと、後継者育成や様々な体験教室や、実演会なども精力的に行っています。
江戸時代の武士がつないできた「雨城楊枝」は江戸の粋を未来に伝える大切なツールなのではと思いながら、久留里のお城の城下町を後にしました。
初釜でいただく御菓子には「雨城楊枝」を使いたいと思います。


 

立寄りデータ

濃溝の滝・亀岩の洞窟(清水渓流広場)

濃溝の滝・亀岩の洞窟(清水渓流広場)

専用駐車場はございます。
https://www.city.kimitsu.lg.jp/soshiki/27/2123.html

雨城楊枝

雨城楊枝

千葉県君津市青柳35
tel:090-5407-6999
http://www.geocities.jp/ujyouyoujimorihonke/_/TOP.html
営業日や時間などはお問い合わせください。
専用駐車場はございます。

店舗データ

村のピザ屋カンパーニャ

村のピザ屋カンパーニャ

千葉県君津市大戸見296
tel:0439-29-2373
http://muranopizzaya.com/
定休日:毎週火曜日 水曜日
営業時間:11:00~17:00生地がなくなり次第閉店
専用駐車場はございます。

<urakuプロフィール>  http://urakutokyo.com/
ファッション誌や広告などで活躍中のモデル田沢美亜(たざわみあ)とTOKYO DRESS などのプレスやアパレルブランドのディレクションを務める石崎由子(いしざきゆうこ)の2人で立ち上げたユニット。
日本各地に残るぬくもりある手仕事や確かな技、それら日本人が大切にしてきた美意識や心を現代の生活や次世代に残し伝えていく事を目的にしています。またそこから海外への発信、架け橋になるようにと活動を続けています。

<Special Thanks>
SLOANE : Knit
Continuer:Sunglass

Share on: