She’s Mercedes meets Japan vol.5

photo/ 浜野智(glife) text&edit/石崎由子(uraku) navigator/田沢美亜(uraku)

千葉 流山市(旧水戸街道)
前編 和綿染織作家 白井仁

日本各地に今も伝わるぬくもりのある手仕事や、受け継がれてきた確かな技を次世代へつなげて行こうと活動をしている「uraku」、彼女達が旅のみちみちで出会う日本の美しい風景や物、事、をメルセデスと共にみつめる旅紀行。女性2人ならではのゆったりとしたロードストーリーの行き着く先は…

旧街道 水戸街道を経由して流山へ

メルセデスで巡る旅第5回目、今回は千葉方面をめざし、旧街道をドライブしながら巡ります。今回は水戸黄門で有名な水戸藩へ繋がる道、水戸街道をたどって行きます。
街道の出発点である北千住を出て、松戸、小金、とたどり、少しだけ横道にそれて流山方面へ、今回の旅のお供はメルセデス生まれのコンパクトカー、smart BRABUS forfour Xclusive、カラーはグラファイトです。コンパクトな見た目がかわいらしいスマートですが、実はこう見えて4人乗り、空間は以外とゆったりとしています。もちろん小回りが利きますので、今回訪れた田舎道には最適で安心して旅が出来ました。
最初に訪れたのは和綿染織作家の白井仁さんです。都心に近い流山の地で棉を栽培し、糸を作り織物を仕上げるという、昔ながらの機織りを行っています。そんな白井さんに、素材から育て上げる苦労と喜びをうかがいました。

はじけた「わた」を摘み取り布へ

千葉県流山市の市街地から少し離れた郊外に白井さんの工房と棉畑はあります。
工房を訪ねた日はあいにくの雨模様で、小雨が降ったり止んだりを繰り返していましたが、時々上がる雨を見計らって、まずは工房近くの棉畑を見にでかけました。
例年ですと訪れた10月末には綿花がはじけているそうなのですが、今年は8月の日照が少なかったこともあり、まだ実が固い状態でした。それでもいくつかはじけている物をみせて下さいました。
棉畑は15坪ほどの広さが2カ所あります。このくらいの広さでやっと着物の反物が1反とれるかとれないかぐらいの量の綿しか採取出来ないのだそうです。それも日照や気温、病気など、自然に左右されてしまうので、実際の所は収穫してみないと判らないとの事をうかがい、原料から製作して行くという事の苦労を改めて感じました。
綿はオクラと同じ種類に属するそうで、お花がとても似ていました。はじける前の実の状態も何となくオクラっぽいのですが、熟してはじけると、あのふわふわした「わた」のような物質が詰まっているという事が、なんとも不思議で、またこれを摘んで糸に加工していく事を思いついた昔の人々の思いが畑の中にいると感じられる様でした。

種をまき、育て、生地にするまで1年あまり

棉畑を後にして、白井さんの工房へもどり、穫り貯めている綿を使って、糸にして行く過程を簡単に説明していただきました。
摘んだ棉には種が入っているので種を抜く道具で抜き、その後弓の様な道具で、ほぐしてふわふわな状態にします。それから糸へと変化させながら、巻き取っていきます。
ここまででもとても手間がかかる作業ですが、このあと糸を染めて、機織り機で布に仕上げるというところまで、白井さんは一人で黙々と作品制作をおこなっていらっしゃいます。
「少しやってみますか?」のお言葉をいただき、今回も少しだけ体験させていただきました。単純な作業ですがやってみるとなかなか難しく、力の入れ具合や角度などなど、気の使う部分が沢山あります。また当然ですがかなり気の長い作業です。
生地になるまでどのくらいかかるのかと考えるとめまいがしそうです。
単純に種まきするところから考えても、生地になるまでは最低でも1年はかかる作業だとの事、集中力と根気にため息が出てしまいます。

素材から作る生地のエネルギー

もともと学生のときからテキスタイルに興味を持たれた白井さん、限られた条件のなかで、クリエーションして行くというバランスが自分に合っていたのかもと、過去をふりかえりながら和綿染織作家としての思いを語って下さいました。
沖縄の絣織りの美しさと面白さに魅せられた白井さんは、卒業してすぐに沖縄へわたり
織りや、染めの実体験をしてさらに深く学んでいったそうです。独り立ちした頃、素材から生地をや作品を作っていく「ぬぬぬパナパナ」(沖縄の言葉で「布のはしばし」という意味だそうです。)というグループ展に参加されて、素材から作り上げている作品の魅力とエネルギーに圧倒されて、自分でも手がけてみようかと思ったところへ、縁あって綿の種を分けていただき少しずつ、チャレンジしていったそうです。
白井さんもおっしゃっている様に、やはり、時間をかけて素材から作品まで手がけた糸や布は私達に語りかけるエネルギーやパワーが違います。素人の私達でも息をのんでしまう力強さがあるのは確かです。この生地を産み出して行くという工程は機械化が進んでも変わらない工程です。自分たちの纏うものをより美しく、追求して行った先人達の努力が白井さんを見ているとうかがえるようで、身が引き締まる思いがしました。
現在、白井さんは和更紗染色職人の中野史郎さんと共同で作品を制作するという試みをおこなっています。過去の資料をひもといて復元をおこなったり、そこから新たな挑戦へ発展させたりと、今までには無い工程や、感覚を試されている様です。
職人としての確かな技術向上と自身のクリエイトを高めながら、人が営みながら築き上げた技と思いを未来に紡ぎ続けているのだと、雨音が静かに響く工房で白井さんの作業する姿を見ながら、私達はしみじみと感じていました。

和綿染織家・白井仁

工房データ

和綿染織家・白井仁
http://jinshirai.exblog.jp/
一般営業はしておりません、商品や個展の問い合わせはホームページのコンタクトよりお願い致します。

展覧会情報
和・綿・更紗 展2017  白井仁×中野史郎
会期2017年11月24日(金)~26日(日)
12:00~19:00(最終日のみ17:30まで)
ギャラリースペースしあん
http://www.siang.jp/index.html

<urakuプロフィール>  http://urakutokyo.com/
ファッション誌や広告などで活躍中のモデル田沢美亜(たざわみあ)とTOKYO DRESS などのプレスやアパレルブランドのディレクションを務める石崎由子(いしざきゆうこ)の2人で立ち上げたユニット。
日本各地に残るぬくもりある手仕事や確かな技、それら日本人が大切にしてきた美意識や心を現代の生活や次世代に残し伝えていく事を目的にしています。またそこから海外への発信、架け橋になるようにと活動を続けています。

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