She’s Mercedes meets Japan vol.4

photo/ 浜野智(glife) text&edit/石崎由子(uraku) navigator/田沢美亜(uraku)

埼玉 さいたま市大宮盆栽町から浦和へ
(旧中山道) 前編 盆栽家 山田香織

日本各地に今も伝わるぬくもりのある手仕事や、受け継がれてきた確かな技を次世代へつなげて行こうと活動をしている「uraku」、彼女達が旅のみちみちで出会う日本の美しい風景や物、事、をメルセデスと共にみつめる旅紀行。女性2人ならではのゆったりとしたロードストーリーの行き着く先は・・・

旧街道 「中山道」を行く

メルセデスで巡る旅第4回目は、前回同様、埼玉の旧街道をドライブしながら巡ります。今回は江戸の5街道の一つでもある中山道をたどって行きます。
今は同じ、さいたま市となっている、大宮と浦和、二つの代表的な宿場町と周辺の風景を眺めながら、伝統を引き継ぎ未来へ繋げている素敵な方を訪ねました。
今回の旅のお供はメルセデスC 180 Cabriolet Sportsのダイヤモンドホワイト、内装はクランベリーレッドで女性には扱いやすい大きさとデザインです。
お天気にも恵まれ、秋晴れが心地よかったのでルーフをオープンにして出かけます。
最初に訪ねたのは、旧大宮市に位置する盆栽町で、江戸時代から続く盆栽園の五代目、山田香織さんに受け継ぎ、受け渡す、盆栽への思いを伺いました。

美しい緑に包まれた町「盆栽町」

地図の上で「盆栽町」と呼ばれるその町に一歩踏み入れると、ふっと柔らかい空気感に変わります。程よく人の手が入った木々や草花はとても美しく、身も心も何かほどけていくような優しい気持ちに包まれます。
女性盆栽家、山田香織さんが五代目を引き継いだ盆栽園「清香園(せいこうえん)」はそんな、全国でも珍しい盆栽園が集まった町、さいたま市(旧大宮市)の盆栽町にあります。
創業は嘉永年間1853年、およそ160年続いている盆栽園の老舗です。
元々は現在の東京の鴬谷で営んでらっしゃったそうですが、関東大震災をきっかけに
その界隈にいた盆栽師さんたちが、集団で盆栽町へ移住されたとのこと、その後戦災を機に移られ、以来この地で営業されているそうです。
この盆栽町に最盛期には30件ほどあった盆栽園も、今では片手で数えられるほどになってしまったそうですが、それでもこの界隈の緑の美しさは目を見張るほどですから、いったいその昔はどんな美しい景色だったんだろうと、ふと想像してしまいます。
そんな環境で子供の頃から育った山田さんは、男性の多い盆栽の世界に身を置いてるゆえの芯の強さと、女性のたおやかさを感じさせる、凛とした女性。
若木から、樹齢500年を超える古木達を相手に、対話しながら作品を完成させていく「盆栽」という世界に込められた日本人の自然観を、引き継ぎながら現代の生活にアプローチしている、そんな彼女の思いを語って下さいました。

盆栽は対話する芸術

「清香園」の門をくぐると、様々な盆栽達が沢山並んでいます。スタッフの皆さんが
それぞれ手入れをされていて、活気がみなぎっていました。
この盆栽、簡単に説明すると、自然の風景をそのまま鉢のなかで表現し、枝ぶりや葉の色、幹の肌、根の形などなど手を加えてさらに造形美を作り上げていくといった、日本人の自然観や美意識表現にはたびたび登場する「みたて」の感覚を、時間を超えて表現している、独特の芸術です。
使われている素材である、生きている樹木は古い物では500年を超えるものもあるそうです。そんな古い作品にたいして、山田さんたち盆栽師さんたちは、遥か昔から出会った事の無い盆栽師が育てた作品を受け継ぎ、またこの先、出会う事の無い盆栽師へ渡すまで手元にいる作品を完成させていくのだそうです。
「自然の大きさや偉大さには頭があがりません」と語る山田さん。つらい事があっても500年の樹木をみていると、叱咤激励されているようで、心がすっと軽くなるとおっしゃっていました。
自然の素材をつかって「対話」しながらより洗礼された「みたて」の世界を作り上げていく、一人の作品ではなく、引き継ぎ伝えていく、まさに日本人の美意識が生んだ芸術なのだと感銘をうけました。

すばらしい作品を前にため息をついていたら、山田さんが是非体験してみませんかと声をかけてくださり、少しだけ体験させていただきました。
「清香園」ではちょっとハードルが高いと感じられる盆栽を気軽に体験していただこうと、定期的に体験講座を開いています。
今回は枝振りを作っていく技を少しだけ体験させていただきました。
力の入れ具合が難しく、繊細な作業ですが、植物相手だからなのか心が何故か落ち着きます。難しいけどハマってしまいそうと早速、興味が深まりました。
体験後、一つ一つの盆栽の説明を伺っていると、本当に奥が深く生きているものを、芸術作品へと育てていく知識と技術と美意識のバランスの難しさと面白さを感じました。

新たな挑戦「彩花盆栽(さいかぼんさい)」

精力的に活動していらっしゃる山田さんですが、子供の頃から家業を継ぐと考えながらも、思春期の時はやはり、なぜこんな古臭い家業なの、と反発したそうです。
しかし、大学に進み、マーケティングを学んだことにより、気持ちが変わってきたのだとのことでした。ただただ継承してきた伝統的な商売だけでなく、もっと敷居を低くして、親しみやすく、女性や、子供でも楽しめる提案をしていきたいと考えたそうです。
そうやって間口を広げてより大勢の人に、または海外の人にも伝えていくことが、これからの盆栽の世界の発展に大切だと思ったそうです。
そんな山田さんの試みの中で大きな一つが、山田さんのお父様が構想し、山田さんが実現し、広げていった「彩花盆栽」という流儀があります。新日本様式100選にも選ばれたそうです。
少し寄せ植え的な要素から発展した流儀なのですが、自然の風景をそのままスケッチの様に取り入れるといった感覚です。従来の一本の木を作品化していく盆栽と違い、より絵画的要素が多いスタイルが現代の女性に人気があるそうです。
「彩花盆栽」までもまだ難しいという方にも気軽にと「寄せ植え盆栽」や「ミニ盆栽」も提案していらっしゃいます。そのように難しいイメージでと敬遠されがちだった盆栽の世界の敷居を少しだけ下げて、より多くの人に魅力を感じてもらえたらと山田さんはさまざまな試みをされていらっしゃいます。また、地域の小学校で子どもたちに盆栽講座も毎年行っていらっしゃいます。さいたま市盆栽町の特産品としての魅力を地域の人たちに理解し愛していただき、一緒に盛り上げていけたらと、思っていらっしゃるそうです。
そう語る山田さんの眼差しはしっかり未来を見つめ、より良い未来を見ているようでした。500年を超える木々たちの眼差しと同じように。

盆栽清香園・彩花盆栽教室

店舗データ

盆栽清香園・彩花盆栽教室
〒331-0805 埼玉県さいたま市北区盆栽町268
受付時間 9:00~18:00
tel 0120-464-847(知ろうよ、花を)
http://www.seikouen.cc/#4

<urakuプロフィール>  http://urakutokyo.com/
ファッション誌や広告などで活躍中のモデル田沢美亜(たざわみあ)とTOKYO DRESS などのプレスやアパレルブランドのディレクションを務める石崎由子(いしざきゆうこ)の2人で立ち上げたユニット。
日本各地に残るぬくもりある手仕事や確かな技、それら日本人が大切にしてきた美意識や心を現代の生活や次世代に残し伝えていく事を目的にしています。またそこから海外への発信、架け橋になるようにと活動を続けています。

<Special Thanks>
PON MEGANE URAWA:Sunglass

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