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神奈川県 横浜市(旧東海道)
後編 横浜山手西洋館、えの木てい、牛鍋 太田なわのれん

photo/ 浜野智(glife)
text&edit/石崎由子(uraku)
navigator/田沢美亜(uraku)

日本各地に今も伝わるぬくもりのある手仕事や、受け継がれてきた確かな技を次世代へつなげて行こうと活動をしている「uraku」、彼女達が旅のみちみちで出会う日本の美しい風景や物、事、をメルセデスと共にみつめる旅紀行。女性2人ならではのゆったりとしたロードストーリーの行き着く先は…

横浜は山手に今も残る西洋館

横浜ならではの革新的な茶人と楽しいひと時を過ごした私達は、そんな彼を育んだ横浜の街並みを見に行きたくなり、洋館が立ち並ぶ、異人館街へ向かいました。
今回も旅のお供はGLA 220 4MATIC、カラーはマウンテングレー、内装は本革仕様です。四輪駆動のSUVですが取り回しが良く、アイポイントの高さを持っているところが特徴で、坂の多い横浜の街なかで快適に走れます。
横浜市中区山手町には西洋の古い建物が今もたくさん残っています。明治から昭和初期に建てられた洋風建築たちで、山手西洋館7館は無料で入ることができます。お散歩するだけで、海外に来たような気持ちが味わえる異国情緒たっぷりの区域です。
次の目的地はこの区域にある「えの木てい」です。洋館立ち並ぶ区域をドライブして到着です。

大きなえの木が目印の洋館

入り口にある大きなえの木が目印の「えの木てい」は1927年に建てられた英国式の西洋建築が素敵なカフェと洋菓子店です。
現在の当主は安藤美穂さん、アンティークに囲まれた洋館が似合う美しい方で、私たちを笑顔で出迎えてくださいました。
こちらの洋館は、元々はアメリカ人検事さんが暮らしていたそうなのですが、安藤さんのご両親が1970年に買取り、家族で暮らし始めたとのことでした。安藤さんのお父様は横浜で輸入業をされたり、伝説のハンバーガー屋さん「珈琲屋」を経営されていたりと、当時としてはとてもハイカラな方だったようです。
店内はそんな様子がうかがえる素敵な雰囲気が漂います。現在、カフェスペースとなっている1階部分は、安藤さんが子供の頃はリビングとして使用していたそうです。2階は予約制の個室と、洋菓子を販売するするスペースになっています。
大きなえの木と素敵な洋館はとても目を引いたようで、時折雑誌などでの撮影に使われたそうです。なるほど、店内はどこを見ても絵になる感じで、海外にいるような気分になってしまいます。
まずは浜っ子に愛されているチェリーサンドと、チーズケーキをいただいてみることにしました。テラスが見える窓側の席は自然光が入り、とてもゆったりとくつろげる場所です。安藤さんのお母様のレシピのお菓子はどちらも、どこか懐かしく、素朴さと味わいを兼ね揃えた絶妙なバランスです。チェリーの味付けが素晴らしく、とにかく癖になる美味しさです。

家族団欒の場所がカフェとしてスタートしたのは1979年だそうです。
雑誌などを見て遠くから訪れた若い女学生さんを、元々お料理好きだった安藤さんのお母様が、お菓子を出して振る舞い始めたことがカフェオープンへと繋がっていったのだそうです。その愛情たっぷりの味わい深いお菓子たちは、浜っ子のみにとどまらず、たくさんの人に愛されていき、「持ち帰りたい、お土産にしたい」の希望に応えて、チェリーサンドを考えたことが洋菓子店の始まりなのだそうです。安藤さんのお母様が持つおもてなしの愛情はこのたくさんのお菓子たちにしっかり引き継がれているのだなと、甘酸っぱい味をかみしめながら感じました。
現在はオンラインショップもあり、全国のお客様へお届けしているそうです。そんな
お母様が作ってくださったお菓子の中で何が一番好きでしたかと伺ってみると、パンプキンケーキだそうです。秋にはいただけるメニューなのでまた秋に訪れてみたいと思いました。
ちなみに、お父様が営んでいらっしゃった、伝説のハンバーガー屋さん「珈琲屋」のハンバーガーが、実は「えの木てい」で復刻されていて、いただくことができます。
こちらもオススメです。

明治維新日本人に向けた牛鍋を

さて、少し早めの夕食をということで、次は昔の街並みを感じさせる、伊勢佐木町にある「太田なわのれん」さんへ向かいます。
先ほどの異国情緒たっぷりの街並みとは、また違った横浜の姿を今に残す区域です。
横浜開港まもなく開店したこちらのお店は、開業150年、現在の当主の青井茂樹さんは、7代目となります。
黒船来航以来、横浜に異国の人たちがたくさん訪れるようになると同時に、彼らが持ち込んだ様々な食文化と食材も日本に入ってきました。その一つに牛肉があったようです。
この、メルセデスの旅のVOL.1 でご紹介した神田の「ぼたん」さんのように元々すき焼きといえば、鶏肉だったようで、牛肉は当初は牛鍋からスタートしたようです。
日本人になじみのない臭みなどを感じる当時の牛肉ですが、「太田なわのれん」さんの初代高橋音吉さんは、これから流行る、と目をつけて、当初は牛肉の串焼きを売り始めました。思ったとおり評判になり資金ができたので、現在の場所へお店を構えたのだそうです。お店を始めてから、滋養のために時々食べられていた、牡丹鍋にヒントを得て、浅い鉄鍋でネギなどと一緒に味噌で煮込む牛鍋を考え提供するようになりました。開業当初はお野菜は入れていなかったそうですが、時代の変化とともにお野菜も一緒に煮ていただくスタイルへと変化していったそうです。
仲居さんが手際よく牛鍋を仕上げていきます。味噌の良い香りが部屋に立ち込めて、食欲をそそります。溶き卵につけながら、お肉をいただきます。
見た目から受けていた、ちょっとこってりした感じとは全く違い、サッパリしていて、
お野菜と一緒だと余計にどんどん進んでしまいます。
とても癖になる美味しさで150年愛されている理由が、良く解った気がしました。

現在の当主である青井さんは、サラリーマンをされていたそうで、奥様の実家であった「太田なわのれん」さんを引き継ぐことになったのだそうです。サラリーマンだった経験があったからこそ、昔ながらの雇用システムや、経営スタイルに新しい風を入れて、時代に合わせたお店つくりを行えたんじゃないかな、と語ってくださいました。
最近は外国のお客様も多く、また新しいニーズが生まれつつあるそうですが、伝統を守りながら、縛られないスタイルで青井さんはさらりと時代を乗り越えていかれるのだろうな、と思いました。
お店を出る時に、玄関ロビーに飾られている「太田なわのれん」さんのキャラクターの原画を説明してくださいました。
先代の戦友だった横山隆一先生の描いた「フクちゃん」が牛鍋をいただく姿です。このイラストのように、老若男女誰からも愛される暖かい雰囲気は、これからも続いていくのだなと感じていました。

立ち寄りデータ

店舗データ

えの木てい

えの木てい

神奈川県横浜市中区山手町89-6
tel: 045-623-2288
http://www.enokitei.jp
定休日:なし
営業時間:11:00~19:00 (LO.18:30)
専用駐車場はございます

店舗データ

牛鍋 太田なわのれん

牛鍋 太田なわのれん

神奈川県横浜市中末吉町1-15
tel:045-261-0636
http://www.ohtanawanoren.jp
定休日:毎週月曜日 第1・3日曜日(12月・1月は営業)
営業時間:平日:17:00~22:00
     土・日・祝日:12:00~15:00 17:00〜21:00
専用駐車場はございます(3台)

<urakuプロフィール>  http://urakutokyo.com/
ファッション誌や広告などで活躍中のモデル田沢美亜(たざわみあ)とTOKYO DRESS などのプレスやアパレルブランドのディレクションを務める石崎由子(いしざきゆうこ)の2人で立ち上げたユニット。
日本各地に残るぬくもりある手仕事や確かな技、それら日本人が大切にしてきた美意識や心を現代の生活や次世代に残し伝えていく事を目的にしています。またそこから海外への発信、架け橋になるようにと活動を続けています。

<Special Thanks>
SINME:Dress

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