
ドライブ計画は余裕を持って
子どもとのドライブでは、目的地を詰め込み過ぎず、余裕を持ったスケジュールを立てることが大切。特に、未就学児までの子どもを持つファミリーであれば、1時間に1回、最低でも15分間の休憩を目安としておきたい。

乳幼児であれば、おむつ替えや授乳などで、普段より時間を取られることも考えられるし、チャイルドシートを使用する、4歳ぐらいまでの子どもであれば、なおさらだ。
チャイルドシートは肩ベルトや腰ベルトがしっかり固定されているため、大人のシートベルトよりも拘束力が高く、身動きがとりづらいからだ。動きざかりの子どもにとって、チャイルドシートは大人が想像する以上に窮屈に感じられるもの。
渋滞などが予想されるときは、早めに休憩を取り、体を少し動かせるようにしてあげるなどして気分転換をうながそう。
妊婦にもシートベルトが大切!
「シートベルトはお腹の赤ちゃんにとって負担になる」そう考える人もいるかもしれないが、シートベルトは妊婦にも有効だ。お腹のふくらみを避けて、腰ベルトを腰骨に沿って締めることで、母体もお腹の中の赤ちゃんも守ることができる

もちろん、 妊婦に限らず、乗員全員がシートベルトを正しく装着することが大切だ。まず、肩ベルトのタング(金具)をバックルに入れて、腰骨に沿ってよじれなくベルトが締っていることを確認する。次に、肩のほうに向かってベルトを引き上げ、たるみがないようにする。たるみなくベルトを締めることで、シートベルトの効果は最大限に得られる。
メルセデス・ベンツのクルマには、シートベルトが自動に巻き上がる装置が付いているので、自分でベルトを引き上げなくてもしっかりと締まるようになってはいるが、他人のクルマに乗ったときや、タクシーなどで移動の際にも、必ず締めることを忘れずに!
ジュニアシートも大切
乗員保護の観点からすれば、シートベルトは乗員全員が締めることが基本。子どももそれは同様だ。とはいえ、JAFのチャイルドシート使用状況全国調査(6歳未満・2018年)によれば、装着率は66.2%に留まっている。4歳まではチャイルドシートを使用していても、それ以降はジュニアシートを使っていないというファミリーもまだまだ多そうだ。

子どもを持つファミリーなら、チャイルドシートだけでなく、その成長に合わせてジュニアシートへの買い換えは必須。なぜなら、クルマのシートベルトはあくまでも大人用であって、子ども用にはできていないからだ。肩ベルトが首にかかっていたり、腰ベルトがお腹の上にかかっていると、衝突の際に、首がベルトで擦れて切れたり、内臓破裂になるといった可能性もある。
ドイツでは、身長が150㎝になるか、年齢が12歳になるまで子供用のシートに座らなければならない。日本では6歳未満となっているので、小学校にあがるともう必要ないと考える人も多いが、身長140~150㎝まではジュニアシートの着用が必要だ。そこまで成長すると、シートベルトの肩ベルトが適正な位置で締められるようになるし、骨盤の成長もあって、多少の衝撃には耐えられるような強度を持つといわれている。
万が一に備え、チャイルドシートやジュニアシートは必ず備えておきたい。メルセデス・ベンツは、この重要性に着目し、成長に合わせて選べる純正チャイルドセーフティシートをラインアップしているので、ぜひチェックしていただきたい。
乗り物酔い対策も万全に!
脳の発達の過程上、4歳前後になると子どもは乗り物酔いにかかりやすくなる。そこで、乗り物酔い対策も必要だ。
まずは、体調を整えることが大切。胃を含む内臓の動きは自律神経との関わりが強く、空腹や満腹の状態は自律神経の乱れに繋がる。そこで、出かける前には十分な睡眠をとり、SAなどでの食事をした後は、すぐに出発するのではなく、気分転換に少し休憩してから出発することを心がけたい。
クルマの臭い対策も万全に。車内の臭いが原因となることが多いので、車内の掃除をしたり、無香性の消臭剤を使う、また換気を十分に行うことによって、臭いを取ることが大切だ。
筆者の息子の場合は、クルマの臭いにとても敏感で、毎度乗るのを嫌がったため、季節に関係なく、少し窓を開け、常に外気を取り入れながら走行した。夏は暑く、冬は寒いというデメリットもあったが、そこはガマンで……。
子ども用の酔い止め薬を常備しておくのも有効。子どもでも不安なく口に入れられる飴タイプのものが市販されているので、出発の30分前に舐めさせておくと、効果が得られる。それでもまだ心配そうにしていたら、「これを舐めておけば、大丈夫よ!」といい聞かせておくと、子どもの安心につながるだろう。

乗り物酔いの原因としては、車内の揺れが大きいことも挙げられる。ドライバーの心得としては、普段からなるべく揺れを抑えるよう、アクセルやブレーキの操作を“ジワッ”とおだやかにして、急な操作を避けることを心がけておきたい。
ドライブサポートグッズ
最後に、子どもとのドライブをより快適で不安なくするためのグッズを紹介しよう。
日差し対策としてのサンシェードはドライブの必須アイテム。現在では、標準で装備されている車種も増えているが、装備のない場合は、吸盤タイプのサンシェードを利用するのが一般的だ。
また、ベルトが直接体に当たると嫌がるという子ども向けに、シートベルト用のクッションも市販されている。寝てしまったときにはまくら替わりになるものもあるので、利用するのも手。
とりわけ、1歳までの乳幼児をもつファミリーに嬉しいのが、バックシートミラーだ。乳児用のチャイルドシートは、子どもを後ろ向きに座らせるため、運転席から赤ちゃんの顔が見えず、運転中に不安になってしまうことが多い。チャイルドシートを設置した後席のヘッドレストに取り付けておくと、ルームミラー越しに赤ちゃんの様子が確認できて安心だ。

車内での休憩中に役立つのが、リアテーブル。前席のヘッドレストに取り付けるタイプが市販されている。必要なときに展開し、飲み物やお菓子などをおいておけるので便利だ。
これらは、育児用品店やカー用品店でも簡単に手に入るものなので、気になったらチェックしてみるといいだろう。
参考資料「クルマの運転術」菰田潔 著 (ナツメ社刊)
PROFILE
スーザン史子

明治大学経営学部卒。出版社にて雑誌編集に携わった後、自動車ジャーナリストに転身。女性誌や専門誌などで主に自動車関係の記事を執筆。2010年に息子を出産、ママ目線でのクルマの使いやすさにも注目するかたわら、安全運転講習の講師を務めるなど、クルマ生活に役立つ情報を提供している。日本自動車ジャーナリスト協会会員。