カナダで暮らすUAさんが何気ない日常のなかで偶然、AJICOの21年前のアルバム『深緑』を耳にしたことをきっかけに、再び動き出すこととなったAJICO。UAさんから電話がかかってきたときの心境を、浅井さんに訊いてみた。

※画像は一部日本仕様とは異なります。
「まぁ、久しぶりだから、また何か楽しいことができるかなっていう感じで。2018年のことだったから、自分は54歳くらいだったのかな。なんか、うれしかったですね」
そこから楽曲制作をはじめとした準備期間を経て、途中、想像もしていなかったパンデミックに足止めされながらも、今年5月にEP『接続』をリリース。夏にはソロツアーにフェスにと、精力的に活動した。
「20年前から人間性とかはぜんぜん変わってないんだけど、世の中に自分たちの存在を広げたいっていう気持ちは、当時よりも強いかな。20年前は、あまりそんなことは考えずに、やりたい放題だったから(笑)。今回、曲は俺がつくったんだけど、音づくり、アレンジに関してはUAとプロデューサーの鈴木正人くんを中心にやって。ライブについては俺の意見もだいぶ言ったかな。
来たお客さんをさ、勇気づけるというか、うれしい気持ちになって帰ってもらうっていうことが、すごく大事だなっていうのが、この20年間のうちにだんだん思うようになってきて。昔はそういうことはほとんど考えてなかったんだけど、やっぱりみんな高額のチケットを買って遠くから、特に今は危険な思いをしながら見にきてくれているわけだから、絶対に『来てよかったな』って思ってもらいたいというのが余計に強くなってきてるかな」

UAさんと約20年ぶりに活動をともにした感想を訊ねると、こんな話をしてくれた。
「相変わらずUAとはね、よくぶつかったりしたんだけど……音楽をやるうえではぶつかったりとかしないんだけど、普段の考え方がさ、最終的には同じなんだけど、その方法がまったく逆だったりして。なんだけど、音楽やっとるときは、それとはまったく違う次元でやろうよっていう感じ」
20年前には、クルマにまつわる2人のこんなエピソードも。
「新車で買った俺のアメ車のダッシュボードに、土足で足をのっけたやつがおって。堂々と乗せてた。頭くるよね、そんなことされたら。246ですぐに降ろしたんだけど、当たり前だよね、そんなもん(笑)。昔で言う番長なんだわ、気質が。たまに、そんなふうにケンカみたいになってたね。おもしろいね。笑っちゃうよね」
UAさんにそのことを訊くと、「またその話!?」と嫌々ながらに当時の状況を説明してくれた。「すごく酔っていて、私、寒がりなんですよ。今より若いときのほうがもっと冷え性で。それで足が凍るように寒くなってきて、やばいと思ってなんか上げちゃったんですね、上に(笑)。いやいや行儀が悪かったんですね……」。2人の関係性が、そして歴史が垣間見られた、微笑ましい瞬間だった。

クルマは“ときめく”かどうか。
それが選ぶときの絶対条件
音楽のみならず、絵画やイラストにも類稀なる才能を発揮し、画集や絵本を発表し、個展も開催するほどの浅井さん。楽曲はもちろん、自身が手がけたそんな作品のなかでも象徴的に描かれているのが“クルマ”の存在だ。
「俺はね、子どものときからクルマにはじまって、オートバイに行って……だからもうマシンが好きだった。家の近所にめちゃめちゃタイヤが太いクルマが停まっとったんだわ。小学生のとき、昭和45年くらいかな。69年型のカマロとかだったんじゃないかな。それがものすごくカッコよくて。とにかくもうオートバイでもクルマでも、物心ついたときからなぜか好きでした」
2019年にリリースされた浅井さんのソロ作品に『METALLIC MERCEDES』と題された楽曲がある。その真意を訊ねると……。
「“メタリック・メルセデス”って、響きがいいでしょ。で、あの曲にもちょうど語呂が合って。『メルセデス』って“神様の愛の恵み”っていう意味があって、だからタイトルの意味を聞かれたときは『ピカピカの神様の愛の恵み』って説明してたけどさ」

そんなふうに冗談を交えつつも、「男はやっぱりクルマでしょ」と言ってはばからないほどクルマを愛する浅井さん。そうなると、現在の愛車を気にせずにはいられない。
「今のクルマを検討するとき、メルセデスのEクラス クーペってあるじゃん。あれと迷ったの。子どもといっしょにショールームに見に行ったんだけど、『絶対にこれだ』と(笑)。俺はEクラス クーペ派だったんだよね」
セダンでありながら、同じく美しいクーペデザインを身にまとった、この「CLS」は、浅井さんの目にどのように映ったのか?
「デザインがいいよね。すごくカッコいいと思うよ。基本、Eクラス クーペと内装は同じだね。かなり見たから詳しいよ(笑)。Eクラス クーペの内装もカッコよかったからね。
クルマはね、“ときめき”。いくら説明されても、ときめいとらんかったら、そのクルマは絶対買わんほうがいい。グッとこないと。『これ乗りたいなぁ』って思うかどうか。このCLSにはグッときましたね。ときめきましたね」
大好きだと思えるものに出合えたら、
それはすごくいいこと
自動車を初めて世に誕生させてから進化を繰り返し、この新型「CLS」のように、時代に求められるクルマを生み出しつづけているメルセデス・ベンツ。“変わらないために、変わりつづける”そんな姿勢は、20年の時を経て産み落とされたAJICOの音楽、そして浅井さんが表現しつづける“ロック”とも重なる。

「二度ともとに戻らんでね。進化しつづけるしかないで。昔の音楽とさ、今の子どもたちが聴いている音楽ってまったく違うんだけど、聴いとって、感動したりする音楽ってたまにあるんだわ。肝心なのはやっぱり、そういうところじゃない? 昔も今も、心にくる音楽っていうのは少なくてさ。でも、『これ大好きだ』って音楽に出合えたら、それはすごくいいことだよね。
クルマもそうなんじゃないの? 『このクルマ、すごく好きだ』と思ったらさ、それにずっと乗りつづける。そういう人好きだけどね、俺は。だから、このCLSにときめいて、ずっと乗りつづけてくれるような人がいっぱいいてくれたらいいよね」
PROFILE
浅井健一/Kenichi Asai
1964年生まれ、愛知県出身。愛称は“ベンジー”。90年より「ブランキー・ジェット・シティ」として活動し、翌年にメジャーデビュー。2000年の解散後、自主レーベル「SEXY STONES RECORDS」を設立し、以前よりソロワークで結成していた「SHERBETS」をはじめ、「AJICO」「JUDA」などのプロジェクトも展開。06年には浅井健一名義でソロ活動を開始。16年には「浅井健一&THE INTERCHANGE KILLS」を結成。また、音楽だけでなく絵画や詩でも才能を発揮し、画集や絵本、詩集を発表し、各地で個展も開催。今年4月にはソロ名義でのニューアルバム『Caramel Guerrilla』をリリース。
ABOUT CAR
The new CLS
立体形状のスリーポインテッドスターを無数にあしらったスターパターングリルを新たにまとい、躍動的なプロポーションをクリアな面で包んだ、4ドアでありながらきれいなシルエットのクーペフォルム。上質なマテリアルと精緻なディテール、運転に集中できる優しい操作性がひとつになったインテリアが、華やかな高揚と絶大な心地よさで乗る人を包む。新型CLSは、すべての人の心を奪う美しさとともに、あなたらしさを解き放つ。