
ファッション・デザイナーを夢見て、故郷を後にしたステイシー。LA、NY、ベルリン、パリで研鑽を積み、彼女は自分のブランドをスタートした。事業も拡大し、順調に見えるキャリアだったが、いつしか彼女の心は疲弊していった。
「私が私らしく生き、過ごせる場所はどこ?」
少女時代から今に至るまでを振り返りながら、思い、悩み、彼女は決心した。「故郷へ戻ろう」、と。
青い海を臨み、豊かな自然に囲まれたカナダの街、ヴィクトリアに戻った彼女は、インテリア・デザイナーであった母・ベッツィと新しいビジネスをスタートすることを決めた。ラグジュアリーなイベントのプロップ・スタイリングと上質なリネンのデザインを手掛ける会社「Faire la Fête」を立ち上げたのだ。
帰郷はまた、彼女が最も愛する人や物との再会を意味した。18歳で初めて手にした優雅な黒い宝石、メルセデス・ベンツ280SLとの再会も、だ。
このヴィンテージ・ロードスターは再び、彼女の時間を豊かに彩るパートナーとなった。
ヴィクトリアを有するバンクーバー島から北米本土への起伏に富んだ道を、280SLで駆け抜ける。プロダクション・マネージャーやクライアントとのミーティングに向かう時間は、ただの移動ではない。彼女にとっての刺激であり、リフレッシュであり、それ自体が目的なのだ。