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僕のクルマはクラシックメルセデス──俳優・光石研が語る愛車のタイムレスな色気

photo: Yui Fujii(Roaster)
words: Kohei Kawakami
direction: Akiji Osaki(Roaster),
Arata Kobayashi(Roaster)

名バイプレーヤーとして、映画やドラマに欠かせない俳優・光石研さん。古着やインテリア、音楽に造詣が深く、選ぶものには常にこだわりを持つ彼の愛車は、Eクラスのルーツである1963年式のメルセデス・ベンツ190(W 110)。ファンの間では“フィンテール”と呼ばれ愛されている貴重なクラシックカーだ。そんな特別なメルセデスのオーナーである光石さんに、愛車の魅力をたっぷりと語ってもらった。

12年乗っている“フィンテール”との出会いは、まさに運命でした

光石 研/Ken Mitsuishi

「ヨーロッパのクラシックカー、特にメルセデスは昔から好きで、今の愛車の前には1972年式のW 114に乗っていました。W 110は、20代の頃からいつか乗ってみたい憧れの存在だったんです。そしてやっと手に入れたこのクルマとは、かなり縁があって……」。ファッションやインテリアに独自の審美眼を持つ光石さんだけに、愛車との出会いは運命的なものを感じたと言う。

古書店で見つけたフィンテールに関するドイツの書籍。表紙にはW 110が
 
ファンにもらったというW 110のミニチュアカー

「十数年ほど前に、友人から、W 110を見つけたとの連絡をもらったことがあるのですが、当時新しいクルマを買ったばかりだったので、泣く泣く諦めました。その後2年ほど経ってクルマの買い替えを考え始めたある日、雑誌『カー・マガジン』でW 110が紹介されているのを偶然見かけたので、記事に載っていた中古車販売店に連絡してみたんです。すると、このW 110が、かつて友人が紹介してくれた、そのクルマだと分かったんですよ! 運命だと思いましたね(笑)。それから12年、メンテナンスを繰り返しながら大切に乗っています」

光石 研/Ken Mitsuishi
光石 研/Ken Mitsuishi

メルセデス・ベンツにとっても、光石さんの愛車であるW 110は大切な1台だ。このクルマの個性を際立たせているのは、同時代のW 111/W 112(後のSクラス)にも採用されている、車体の後部に設けられたテールフィン。デザインはフリードリッヒ・ガイガーの手によるもの。彼はW 110だけでなく、20世紀で最も影響力のあったクルマに与えられる自動車賞「カー・オブ・ザ・センチュリー」にノミネートされたメルセデス・ベンツ300 SLクーペ(1954~57年)をはじめ、数多くの名車を世に送り出している伝説的なカーデザイナーである。

フリードリッヒ・ガイガー(1907〜1996年)
メルセデス・ベンツ300 SLクーペ

時にマイルーム、時に仕事場。僕のクルマの過ごし方

光石 研/Ken Mitsuishi
光石 研/Ken Mitsuishi

光石さんの普段のクルマの使い方を訊いてみた。運命の一台なだけに、日常ではW 110を大事に保管しているのだろうか?「いえいえ、都内の撮影現場やスタジオへの移動では、このクルマをガシガシ使っていますよ(笑)。撮影の待ち時間には車内で台本を読んだり、お弁当を食べたり、自分の部屋のように過ごしています」

 
カー用品などが入っている光石さん愛用のトートバッグ

人生を共に歩む相棒と言っていい光石さんと愛車の関係。そのトランクにはいくつものL.L.Beanのトートバッグが載せられていた。なかには自身のイニシャル「K」の刺繍が入ったものもある。「これですね(笑)。20代の頃からなぜか同じものを買い続けて、気付けばこの数になっていました。本当はキャンバス地のトートバッグは洗濯機に入れてはいけないらしいのですが、洗って使い続けています。僕はエイジングされた商品は好みではないのですが、自然とやれていくものの様が好きなのかもしれません」

光石 研/Ken Mitsuishi

光石さんのドライブに欠かせない、1960〜70年代のスイートソウルのCD

「仕事帰りのドライブは、楽しみのひとつです。モーメンツやデルフォニックス、マンハッタンズなど、大好きなソウルミュージックをかけながら愛車を走らせ、自分だけの時間をゆったり過ごす。僕にとっては癒しでもあるし、次に繋げるための大事な時間です。クルマって、極論を言えば移動の足ですが、それだけではない特別な存在ですよね」

細部に至るまで惚れ込む。見ていて飽きないクラシックメルセデスの魅力

テールフィンが目を引くW 110だが、光石さんにとってはそれ以外にもたくさんの魅力がこのクルマにはあり、それだけに手放せないんだとか。「角形のメーターユニットをはじめ、1灯式のシールドビームヘッドライトやホイールカバーに至るまで、僕にとってはすべてがお気に入りです。この時代のクルマは見ていてぜんぜん飽きないですよ。欧州車やアメ車のクラシックカーの特徴でもあると思うのですが、2021年の現代でもパーツが手に入るのはありがたいことですね」

光石さんの愛情が注がれたW 110は1963年式。作られてから約60年近く経っているにもかかわらず、美しい状態をキープし続けている。どんなメンテナンスをしているのだろうか。「特別なことはしていません。ただ、レストアする際、赤いレザーシートに貼り替えたことには、かなりこだわりました。本来のシートはファブリックだったのですが、純正のボディカラーに差し色が効いて格好良いと思ったので、あえてこの色にしました。それ以外はなるべくオリジナルをキープしようと心掛けています」

タイムリーなものとタイムレスなものの魅力とは

光石 研/Ken Mitsuishi

クラシックカーを愛車に選ぶ光石さんは、服や家具、小物に至るまでデッドストックやレトロなデザインに目が行く。この日も奥渋にあるノルウェーデザインのインテリアショップ「Norwegian Icons(ノルウェジアン・アイコンズ)」にやってきた。「好きなのは古い北欧家具や、1940~60年代のミッドセンチュリーと呼ばれるものが多いです。愛らしいし、それでいて今見てもモダンなんですよね。僕は良いものを長く使うことが好きなんです。この点でメルセデスは、長い歴史と確かな技術を蓄積してきたからこそ、生産されてから半世紀以上経った今でも現役で走れるクルマが存在するんだと思います。よく考えるとすごいことです。メンテナンスをして面倒を見てあげなきゃいけませんけどね(笑)」

光石 研/Ken Mitsuishi

「最近、友人が所有しているGLCに乗る機会があったのですが、正直めちゃくちゃ乗り心地が良かったです。すごく上質で最先端の機能も満載、本当にびっくりしました。クラシックカーとの2台持ちもありかもしれませんね。今流行りのタイムリーなものの魅力と、時間の経過や流行に左右されないタイムレスな魅力の両方が感じられる。メルセデスも役者としての僕も、そんな存在になれたらいいですね」

光石 研/Ken Mitsuishi

光石さんの愛車W 110には、同じデザイナーが手掛けた300 SLのような派手さはない。だが、そこに置いてあるだけで絵になる特別な存在感があった。まさにタイムレスな名車と言っていいだろう。同時にこのクルマは、光石さんそのものではないかと気付かされる。クルマを見ればその人となりがわかる、とよく聞くフレーズだが、まさにその通りである。

PROFILE

光石 研/Ken Mitsuishi

光石 研/Ken Mitsuishi

1961年福岡県出身。映画界を代表する名バイプレーヤーとして、として数多くの作品に出演。デビュー作品は、映画「博多っ子純情」(1978年)。主な出演作に、映画「共喰い」「恋人たち」「アウトレイジ最終章」、ドラマ「バイプレイヤーズ」「デザイナー渋井直⼈の休⽇」(テレビ東京)など。その他、話題作や人気作品に多数出演している。

SPOT INFORMATION

ノルウェジアン・アイコンズ/Norwegian Icons

Norwegian Icons/ノルウェジアン・アイコンズ

ADDRESS 東京都渋谷区富ケ谷1-16-8
http://www.norwegianicons.no/
TEL 03-5738-7671
営業時間 11:00〜19:00
定休日 水曜、土曜

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