She’s Mercedes meets Japan / Vol.11

神奈川県 小田原市(旧東海道)後編 ういろう、グリル木の実

日本各地に今も伝わるぬくもりのある手仕事や、受け継がれてきた確かな技を次世代へつなげて行こうと活動をしている「uraku」、彼女達が旅のみちみちで出会う日本の美しい風景や物、事、をメルセデスと共にみつめる旅紀行。女性2人ならではのゆったりとしたロードストーリーの行き着く先は…

photo/ 濱野智(glife)
text&edit/石崎由子(uraku)
navigator/田沢美亜(uraku)

旧東海道、国道1号線沿いにある洋食屋さん

小田原という地域を大切に、小田原らしい営みを続ける「鈴廣」さんを後にして、次に向かったのは、小田原の市街地、旧東海道でもある国道1号線沿いにお店を構える「グリル木の実」さんです。本日のランチはこちらでいただきます。
今回も旅のお供は、C-Classのクーペモデル、カラーはダイアモンドホワイトです。今回の旅のように、遠出する時に最適な、と切れのない加速と、安定感が魅力です。
「鈴廣」さんから「グリル木の実」さんは、そう遠くない場所にあります。でもせっかく小田原に来たのだから、少しだけ遠回りして海辺をドライブしながら向かいます。
箱根駅伝で毎年お正月に見られる海辺の風景を気持ち良くドライブしていると、ちょうどお腹がすいてきました。

C-Classのクーペモデル、カラーはダイアモンドホワイト C-Classのクーペモデル、カラーはダイアモンドホワイト
C-Classのクーペモデル、カラーはダイアモンドホワイト C-Classのクーペモデル、カラーはダイアモンドホワイト

東京オリンピックの2年前に開業

国道1号線を走っていると、赤い三角屋根で煉瓦作りの、趣ある建物を見つけることができます。それが「グリル木の実」さん。東京オリンピックの2年前、1962年に開業し、当時としてはハイカラな洋食さんだったそうです。
現在のオーナーは2代目にあたる角田尚美さん、創業者のお父様から思いを引き継ぎ、お店を営んでいます。
店内は趣味の良いクラッシクな内装で、ゆったりとお食事ができます。訪れたランチの時間は日の光が柔らかく差し込んで気持ちの良い空間でした。夜はまた違った顔になるのかなと想像しながらメニューを見て注文です。
メニューを説明してくださるホールマネージャーの坂口さんは、ダンディーでよく通る声が魅力的な方です。こちらのオーナーに口説かれて「グリル木の実」15年前に、いらっしゃったのだそうで、以前働いていたレストランは本郷の「くすのき亭」というところだそうです。ここはこのメルセデスの旅のVol.1でご紹介した「本郷弓町の大楠」が目印のレストラン、今はもう違うお店になってしまいましたが、なんだか不思議な縁を感じる出会いでした。

メニューを説明してくださるホールマネージャーの坂口さん メニューを説明してくださるホールマネージャーの坂口さん
「グリル木の実」 「グリル木の実」

さてランチですが、私たちはランチコースに名物のカニクリームコロッケとカレーをプラスしていただくことにしました。
どれもこれも、素材を生かし、手を加えすぎず、シンプルながらも深みがあり、どこか懐かしさも感じられる味わいです。
ランチコースは、オードブル、スープ、肉料理と魚料理を盛り合わせたメインプレートに、自家製パンかライス、デザート、と盛りだくさんで、目で見るだけで満足してしまうほどの華やかさです。オススメのカニクリームコロッケは、まさに癖になる美味しさで、一度いただいたらリピートしてしまう気持ちがわかります。
ランチコースにはデザートもついてくるのですが、チョコレートサンデーが名物と伺い、こちらも即注文してしまいました。
生クリームとアイスクリームとチョコレートのシンプルな素材ですが、どれも絶妙な甘さと、なめらかさで本当に美味しくてびっくりしました。見た目も可愛らしくて、こちらも、またこれを食べに来たいと思わせるメニューでした。

車好きに愛されたお店

当時、まだ珍しかった車が大好きだった初代のオーナーさんが、駐車場が広く、箱根や伊豆に遊びに来た都会の人が立ち寄れる、美味しいレストランを作りたいと思い、このお店を作られたそうです。もともとは映画館の館主だったそうで、その頃茅ヶ崎の映画館で働いていて、同じ車好きだった、歌手の桑田佳祐さんのお父様を誘い、始めたそうです。今でも車好きの方は多くいらっしゃるそうで、私たちの旅には、なんだかとてもぴったりだなと、また不思議な縁を感じました。
オープン当初から代々来ていただくお客様も多く、初代オーナーの「肩ひじ張らずに本物の味を楽しんでいただけたら」の思いが引き継がれているのだなと思いました。
現在のオーナーの角田尚美さんも、その思いをしっかり受け継ぐ、気取らない暖かな雰囲気の中に、キリッと筋を感じる素敵な女性です。
店内やお料理にも反映されている、シンプルでありながら品格と深みがありながら親しみやすい雰囲気は、角田尚美さんのお父様から受け継がれた思いなのかなと思いながら
「グリル木の実」を後にしました。

650年続く老舗

お腹をいっぱいにしたらお土産を探しに行こうと、次に向かったのは「ういろう」さんです。もともとは博多、その後京都へと移り、こちらは北条早雲に呼ばれて1504年にお店を開業されたそうで、現在の当主でなんと創始者から数えて25代、実に650年続く、小田原きっての老舗です。こちらも小田原の市街地、旧東海道でもある国道1号線沿いにお店があります。
お城を思わせる店構えは、とても目を引くので、すぐ見つけられるはずです。
「ういろう」と聞くと殆どの方は、お菓子を思い浮かべると思いますが、こちらは昔ながらの薬屋さん「ういろう」というお薬を650年作り続けている老舗です。
創始者は1368年に中国より日本に渡り、帰化した医療などに長けたお役人さんで
中国での役職名「礼部員外郎(れいぶいんがいろう)」から、外郎を日本風に「ういろう」と名乗ったのだとのこと、もともとこちらのお薬は「透頂香(とうちんこう)」という名前だったのですが、「ういろう」さんが作っているということで次第に「ういろう」の名前で親しまれるようになったそうです。
そのお薬を求めてやってくるお客様をおもてなししたお菓子が、私たちがよく知るあの「ういろう」で、全国で唯一、両方を扱うこのお店では、「お菓子のういろう」と呼ばれ区別されています。
そんな長い歴史を持つ「ういろう」の現在の当主、外郎藤右衞門さんにお話を伺いました。

地域の健康を守るということ

お店は落ち着いた雰囲気で、調剤室もあるまさに薬局という部分と、カフェやお菓子のウインドウがあるお菓子屋さんの部分が調和した不思議な空間です。
奥には「ういろう」さんの歴史を詳しく知ることができる資料館があり、店員に声をかければ、案内して詳しくお話を聞かせていただけます。
私たちは当主の外郎藤右衞門さんに、贅沢にも案内していただきました。
650年の歴史を持つといういだけあり、お話は尽きることなく本当に盛りだくさんの様々な出来事に溢れていました。
ここで紹介するには、ちょっと長さが足りないので、是非、現地に訪れて直接お話を伺っていただきたいなと思います。「ういろう」さんの歴史だけでなく、小田原の歴史も感じられてとても興味深い時間が過ごせます。
こちらの「ういろう」はこの現地でしか買うことができません。通販なども行っていません、今も手作りで丁寧に作られています。
物を販売することが目的ではなく、伝えられてきた良い物を、確実にお客様の手元に届けること、薬局の担う「地域の健康を守る」ということに徹しているからだそうです。

自らの目の行き届く、責任を持って提供できる範囲で営むこと、それが一番大切にしている「地域の健康を守る」ということにつながっていくということ、この話は小田原前編で訪れた「鈴廣」さんの身の丈にあった企業のあり方に通じるものがあるなと感じました。
大量に販売することを行わないことは商品の安定だけでなく、「薬に頼らない意識作り」という健康感覚をも生み出します。「ういろう」さんは店頭で販売するときにそんな意識の伝達のようなカウンセリングも行っているのだとか、もの造りや、販売が持つ、本来の大切な考え方を引き継いでいる会社なのだなと改めて実感しました。
この小田原という街に来て思ったことは、長いスパンで物事を見据え、地域のことを大切にしながら、本来の商いを行っているお店が数多くある場所だなということです。
まさに北条早雲の思いが、脈々と受け継がれ、小田原の街全体を包み込んでいるようです。大量生産、大量消費、対価の喪失、などが生み出した現在の日本社会の問題に、何かヒントをあたえてくれる、そんな街なのではないかなと思い、私たちは小田原の街を後にしました。

 

店舗データ

グリル木の実

グリル木の実

神奈川県小田原市本町1-11-9
tel: 0465-22-2912
http://www.grill-konomi.jp
定休日:毎週水曜日
営業時間:11:00~21:00
専用駐車場はございます

 

店舗データ

ういろう

ういろう

神奈川県小田原市本町1-13-17
tel: 0465-24-0560
http://www.uirou.co.jp/uiro.html
定休日:毎週水曜日 第3木曜日(12月31日、1月1日はお休み)
営業時間:平日:10:00~17:00
専用駐車場はございます

<urakuプロフィール>  http://urakutokyo.com/
ファッション誌や広告などで活躍中のモデル田沢美亜(たざわみあ)とTOKYO DRESS などのプレスやアパレルブランドのディレクションを務める石崎由子(いしざきゆうこ)の2人で立ち上げたユニット。
日本各地に残るぬくもりある手仕事や確かな技、それら日本人が大切にしてきた美意識や心を現代の生活や次世代に残し伝えていく事を目的にしています。またそこから海外への発信、架け橋になるようにと活動を続けています。

<Special Thanks>
Comptoir des Cotonniers:Jacket
Comptoir des Cotonniers:Pants

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