She’s Mercedes meets Japan / Vol.16

徳島県 徳島市(撫養街道)後編 美馬のうだつの町並みと茶里庵

歴史的建築物のある街並みで、郷土料理を味わう

撫養街道(むやかいどう)を進み徳島へと向かう旅の後編。江戸時代に栄えた美馬市脇町のうだつの町で、独自の郷土料理をいただきます。

photo/ 戸松愛 text&edit/石崎由子(uraku) navigator/田沢美亜(uraku)

古くから人の営みがある町

吉野川をさかのぼり、美馬市脇町のうだつの町並みに残る「藍商佐直 吉田家住宅」を訪れ、この地に暮らした人々の営みに触れた私たちでしたが、そろそろお腹がすいてくる時間を迎えたので、今日のランチはここでしか味わえない郷土料理いただこうと、「藍商佐直 吉田家住宅」のお向かいにある「茶里庵」を訪れました。
「重要伝統的建造物保存地区」に選定された美しい街並みを眺めながら、食事と甘味がいただける場所です。この旅のお供のC 220 d STATIONWAGON AVANTGARDEのダイヤモンドホワイトは、風情あるうだつの町にすっかり溶け込んでいて、気持ち良く細い路地を走り抜けます。細かなハンドリングにもストレスなく対応してくれるので、町中の移動にも問題なく快適に進めます。
さて、車を駐車場に止めて、先ほど車の中から眺めたこの美しい街並みの中を、食事前にゆっくり歩きながら「茶里庵」へ向かいます。
中編でも触れましたが、ここ脇町は、もともとは脇城を有する城下町でした。
室町時代に近畿地方で権勢を振るった、三好氏が築城したとされています。
その後戦乱期を経て、蜂須賀氏の治める場所となり、平和な時代廃城となりましたが、戦乱期においては、阿波の西を守る要所でもありました。この吉野川流域はかなり古くから人々が住み、営みを重ねていたようです。古代においても、大和朝廷を支えた忌部氏の拠点として栄え、その頃から麻や太布の生産や、藍染めは行われていたようです。想像以上に古い歴史を持つこの地で食されてきた郷土料理がいただけるのかと思うと、ワクワクしてきます。

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郷土料理「そば米雑炊」

暖簾をくぐって中へ入ると、店主の藤本さんが笑顔で迎えてくださいました。
この「茶里庵」は、うだつの町並に残る大正時代に建てられた古い日本家屋を改装し、営業を始めて20年ほどとのこと、趣ある店内はゆったりと時間が流れているかのようです。
藤本さんは、もともとはここから北西方向の山あいの場所、江原というところでお茶を製造されていて、こちらのお店もお茶屋さんとしてお店を始めたのですが、うだつの町に甘味や軽食をいただける場所がなかったということもあり、お店で扱い始めてみたのだそうです。始めてみたら「そば米雑炊」はすっかり人気となってしまったのだとか。今ではお茶と並んでお店の看板メニューとなっています。そんな愛されているお料理「そば米雑炊」を早速、注文していただくことにしました。

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山間部で生まれた郷土料理

「そば米雑炊」は、徳島県の西部、祖谷(いや)地方で食されている料理で、農林水産省選定の「農山漁村の郷土料理百選」で選ばれた徳島県の郷土料理です。
この辺りは高い山に囲まれ平野部が少なく、寒暖の差が激しい気候ため、昔から稲作に向かない地域でした。そのため栽培期間が短いそばを作り始め、この地域の主食代わりとして、当たり前のように食卓に上がっていたとのことです。今では徳島県全域で愛されている郷土料理として知られています。
「そば米雑炊」日本の他の地域のように、そばを粉にしないでそのままの状態で「そば米」としていただく珍しい料理です。「そば米」とは、そばの実を収穫後、塩茹でして皮をむき乾燥させたものを指します。それをだし汁で野菜や山菜、鶏肉などと一緒に茹でて雑炊として一緒にいただく料理です。茹でたそば米はプチプチとした独特の食感があり、その歯触りが心地よく病みつきになります。
外はまだ肌寒かったので(撮影した時は初春でした)暖かい汁がゆっくり体に染み渡るようでした。祖谷(いや)は特に寒さが厳しい地域なので、このようにして体を温めながら、同時にたくさんの栄養も取り入れていたのだなと、想像しながらゆっくり味わいました。

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変わらない人の営みと吉野川

この郷土料理の発祥にはこの地ならではの歴史的な言い伝えがあります。
徳島県西部、人里から離れた山深い地の祖谷に、壇ノ浦の源平合戦で敗れた平家の落人が住み着いたとのことです、その場所で限られた食材を使用して、都を偲んで正月に作ったことが「そば米雑炊」の始まりとされています。
今では徳島の代表的な郷土料理となっていますので、それぞれの家庭で様々な食材を使用し、家庭の味を作り出しているそうです。徳島の方に伺うとまさにおふくろの味なのだそうです。
平家一門は水運を得意としていたと言われています。戦いに敗れた平家一門が吉野川をさかのぼり一番奥地の祖谷にたどり着き人目をしのび、集落を作れたのも、やはり吉野川がこの地に流れていたからなのだなと思います。
古くから人々が行き交い、集落が築かれたこの吉野川流域は、このような歴史の様々な場面とつながる出来事や、産業、技術に溢れているのだなと、またここでもしみじみと感じていました。
この徳島の旅で、私たちは、吉野川は、衣・食・住、全てにおいてこの徳島に暮らす人々の傍に寄り添いなくてはならない存在なのだなと改めて感じ、自然が生み出す雄大さを知り、暖かい気持ちになりました。それはまるで暖かい「そば米雑炊」が冷え切った体を少しずつ温めていくような、暖かい母親のぬくもりにも似た、じんわりと心に少しずつ染み渡っていくような感じでした。

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店舗データ

茶里庵

茶里庵

〒779-3610 徳島県美馬市脇町132-5
tel: 0883-53-8065
https://tabelog.com/tokushima/A3603/A360302/36000674/
定休日:不定休
営業時間 : 10:00~17:00(LO 16:30) 
専用駐車場あり

<urakuプロフィール>  http://urakutokyo.com/
ファッション誌や広告などで活躍中のモデル田沢美亜(たざわみあ)と
TOKYO DRESS などのプレスやアパレルブランドのディレクションを勤める
石崎由子(いしざきゆうこ)2人で立ち上げたユニット。
日本各地に残るぬくもりある手仕事や確かな技、それら日本人が大切にしてきた美意識や心を現代の生活や次世代に残し伝えて行く事を目的にしています。またそこから海外への発信、架け橋になるようにと活動を続けています。

<Special Thanks>
Continuer:Sunglass

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