
宮崎の地で、今季の新たなる戦いへ
取材に訪れた宮崎は日向市、小倉が浜。大原プロが2023年シーズンの初戦として参戦する大会「whitebuffalo HYUGA PRO」の開催地となる。本大会は、連戦をこなす上でも重要となるグレードQS3000に位置しており、ここで好成績を収めて幸先よく滑り出したいところだ。
大原プロは、一週間ほど早めに現地入りして、練習をスタート。その合間に取材と撮影の機会を得た。昨年は怪我もあり、思うような成績が残せなかっただけに、今シーズンに懸ける思いも並々ならぬところだろう。
「この大会が、僕にとっての復帰戦となります。今年自分の目標とする世界大会へ向けての大切な存在。怪我をしていた昨年は、試合に出たくてムズムズしていましたから」

サーフィンというのは、潮汐力や地球の自転など、スケールの大きな自然現象である波を相手に戦うスポーツ。運によって結果が左右されることも。それだけにメンタルの維持も欠かせない。
「波の上でもどれだけ平常心でいられるかが大事。局面ごとのプレー選択に、自分のメンタルコンディションが大きく関わってくるんです。試合に入ると当然テンションが上がるんですが、気持ちが前にかかり過ぎてしまうと、乗る波のチョイスも間違えてしまいます。
ときには、波をひとつやり過ごして、次のよりよい波に乗る選択も必要。ここを間違えると相手を次のいい波にライドさせてしまうことになりますから表裏一体ですね」
波に乗りこなすという身体的な技術以外にも、一対一の相手と複雑な駆け引きが生まれる。このあたりもサーフィンの大きな魅力である。
「だから、平常心を保つためにも、僕は早く現地に入っておきたいタイプなんです(笑)。自然相手なので、波の癖などもつかんでおきたいですし、その海が見せるいろいろな表情を肌で感じておきたい。練習時間をバラして、より多くの局面を知るようにも努めますね。ちょっとでも不安があると行動に出ちゃうので(笑)。ただ、どれだけ準備しても、それまで経験したことない状況が訪れるのも海なんです」
自然相手のスポーツの難しさもあるが、多くのサーファーから感じられるハッピーなムードは、「なるようにしかならない」状況をもいなせるメンタリティ研鑽の賜物かもしれない。

宮崎の練習へは家族で参戦。大切なリラックスの時間を過ごす。 コンドミニアムに宿泊しながら、平常心で試合に臨む。
このようなサーフィン漬けの日々を過ごしている大原プロのオン・オフのスイッチはどのようなものだろうか。
「仕事でもありますが、趣味でもあります。結果を追い込む“オン”のサーフィンと、自然と溶け合ってひたすらリラックスする“オフ”のサーフィン。自分にはどちらも大事で欠かせません。海とともに過ごしてきたから、海に触れていないとヘンな感じなんです(笑)」
海とともに生き、オン・オフを自在に切り替える。大原流の心構えが垣間見える。

次世代のEVとともに練習時間を過ごす
このたび、大原プロの現地練習のお供となるのが、メルセデスの電気自動車シリーズの7人乗りSUV「EQB」。大荷物のあるサーファーにとっては、自動車は切っても切れない相棒となりうる。実は、愛車もメルセデス・ベンツという大原プロが、自身でも初めてという電気自動車にトライした。
「思いのほか、パワフルな印象ですね。軽くアクセルを踏み込んだだけでも、強い推進力を感じます。ガソリン車である自分のクルマだと、荷物が多く、家族を乗せるとさらに重さを感じるのですが、EQBは、スムースでパワフルな点が驚きです」
続けて、メルセデスへの思いも語ってくれた。
「ヨーロッパでの大会で、たまたまメルセデスのレンタカーをリースしたのが、初の出合い。それまでも好印象でしたが、運転してみてその挙動やデザインに一目惚れ。自身でもつなら“コレしかない”と、荷物も乗せられるパワフルなメルセデスを選んだんです」
そんな大原プロが、自然と対峙するサーファーとしても、環境問題にも強く関心があるなかで、次の車の選択肢としても挙がるのが、電気自動車のシリーズだという。
「街中でこのシリーズを見かけるたびに見惚れてました。やはり、地球環境について考えるうえでも、ガソリン車からEVへの切り替えは不可避なのかなとも考えていて、その点でも興味がありました。もちろん、大好きなメルセデスの電気自動車であるEQBは、自分のなかでも次なる選択肢として上位に位置します。しかも、重要な大会の直前に同行できるので、モチベーションはさらにアップしますよね」
昨年、お子様も生まれて、ご自身の生活のなかで自動車の重要度がいっそう増したという大原プロが、クルマに求めるのは安全性だという。
「メルセデスの持つ安心感は、今のクルマにも十分に感じていますが、次代を担うEQBの先端的なテクノロジーならば、さらに安全性が高まっているのでしょうね。期待しています」

地元開催で出場を果たした「波乗りジャパン」を経て
大原洋人の名前が注目を集めたのは、やはり2021年に開催された東京の大会での好成績だろう。開催地であった千葉・一宮で育った大原洋人は、メダルにこそ届かなかったものの見事5位入賞を果たし、故郷に錦を飾る格好に。一定の満足感はあるなかで複雑な思いも去来する。
「代表に選出されたときは、子供の頃から慣れ親しんだ海で、初の正式種目としての大会に出場できるうれしさと、これまで海でお世話になった人たちの前で最高のパフォーマンスがしたいという思いが第一でしたので、5位入賞という結果には納得はしています。
ただ、いざ終わってみるとメダルの有無は結構大きかったなと。獲りたい気持ちは終わったあとのほうが強く感じているかもしれません」
準決勝で自身が敗れたイタロ・フェレイラ選手が金メダルを獲得したこともメダルへの想いに拍車を掛けた。
「この大会で自分がハイスコアを出したのが、敗れたイタロ(フェレイラ)との準々決勝の試合。100%は出しきれたので、そこに悔いはありません」

「波乗りジャパン」の大きな経験を糧に、彼の目線は次へと向かっている。
「とにかく、復帰戦で好結果を残して、このあとオーストラリア開催の大会に出場したいです。結果を出し続けていくのが、プロサーファーとしての僕の使命。現役で試合をやっている間は、しっかりと結果を出し続けるのが目標です」

現在のアスリートとしての強い思いを吐露する。そして、彼から続く言葉は、さらにその先の未来を見据えたものだ。
「僕らの時代は、“世界のトッププロになる”という具体的な夢を思い描くのは、なかなか難しかった。海外の試合に出て、結果を残すことが今では当たり前のようになりましたが。
だから、僕らの世代が引っ張って、世界のトッププロになる、なれるんだという具体的な目標として、そこに少しでも近道をさせてあげたいと思うんです。僕らが遠回りしたぶんだけ」
サーフィン界の未来をも思い描き、壮大なヴィジョンを描く大原プロの活躍に注目していきたい。
PROFILE
大原洋人
1996年千葉県一宮町生まれ。小学1年性より父の影響でサーフィンを始める。2015年には、栄誉ある大会「Vans US Open of Surfing」を18歳にして日本人初の優勝を飾る快挙を達成。コンスタントに結果を出し、地元開催となった東京2020大会のサーフィン種目に、日本代表チーム「波乗りジャパン」として出場し、5位入賞。私生活では1女の父でもある。
ABOUT CAR
メルセデスの電気自動車ブランド、EQに加わる7人乗りコンパクトSUV。AC200Vの普通充電と急速充電規格(CHAdeMO)に対応。バッテリーフル充電での航続距離は、EQB 250のWLTCモード使用時で520km(※状況により異なる)。最先端のテクノロジーにラグジュアリーなエクステリアが融合する次世代のユーティリティカーとして期待が集まる。