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New G-Classで越える、ピレネー山脈

The road trip across the Pyrenees
with the new Mercedes-Benz G-class & Mercedes-AMG G 63

プロローグ

夢のような話だが、New G-Classでヨーロッパを駆けてきた。フランス最南部の町“ペルピニャン”から、スペインとの国境に連なるピレネー山脈を越えバルセロナまで、New G-Classに乗ってのロードトリップ。道ゆく人々の視線が熱い。警察までもが振り返る。そして優越感に浸ってしまうその旅路には、メルセデスの最高のおもてなしが待っていた。盛りだくさんだった。そんな極上の旅を、みなさまにお伝えしたいと思う。

 

フランクフルト空港

旅立ち

早朝。フランクフルト空港に集合したこの旅の参加者は、各国のメディアに加え、YoutuberやInstagramerといったインフルエンサーたち。総勢20名ほどだった。日本からは、今回ずっとご一緒させていただいたGQ Japanの森口氏と僕が参加している。ここからペルピニャンへは、チャーター機で行くらしい。いつもなら航空会社名が表示されているはずのチェックインカウンターには、メルセデスのロゴが光っていた。搭乗口には、出来立ての朝食とテーブルが用意されている。おもてなしはすでに始まっている。

 

空港前の、New G-Class

空港前の、New G-Class

ペルピニャンの小さな空港に到着し、ブリーフィングが始まった。今回の旅の道のりを聞いた後、1組ずつにキーとiPhoneが手渡される。iPhoneには、もちろんMercedes meアプリが入っていた。ニコニコしながら受け取り外へ出ると、いきなり目の前に主役たちが並んでいた。New G-Class G500とMercedes-AMG G63が前後に6台ずつ。揃ってこちらを向いている。その様はもはや荘厳であり重厚であり、派手だった。「おおっ」と思わず声がでた。

かなり余談だけれど、僕はG-Classと同じ年。なんかちょっと嬉しい。1979年から39年ぶりの大幅な改良と言う割には、並んだNew G-Classの見た目は、街中で見慣れたそれと同じだと思った。変わらない四角のシルエット。車幅が非常にわかりやすいウィンカー。ドアの音も、あの「ヴァンッ」と言う重い音のままだ。僕たちがまずチョイスしたのはG500。荷物を積み込み乗り込んで、早速出発だ!

 

フランスの田舎道

フランスの田舎道

空港から僕らが向かう先は、“Châteaux de Lastours”というところ。ワインとオフロードラリーのメッカなのだそうだ。そこで僕らはオフロードコースを走らせてもらえる。ペルピニャンの町外れにある空港から、まずは北に向かった。フランスの田舎でよく見かける、石積みの古い家が並ぶ集落と畑とが、交互に過ぎ去る田舎道。5月の南仏はまだ少し肌寒いが、風が気持ちいい。New G-Classはスイスイ走る。

大変恐縮ながら、実は僕は今まで、舗装された道でG-Classに乗ったことがない (砂漠を横断したことはある)。だから、走行性能が劇的に変わったとか、正直わからない。が、スイスイなのだ。まるで乗用車のように走るし、それよりもパワフルな気がする。四角い巨体が、重みを持ったまま颯爽と進んでいく感じ。

何より、このフランスの田舎道をこの高さで走り抜けることが、僕には楽しくて仕方がなかった。グネグネの道も農道も、道を気にせず風景を眺めていられる。この安定感。本当に楽しいのだ。

 

オフロードコースを走る

オフロードコースを走る

Châteaux de Lastours”に着くと、僕らが乗ってきたNew G-Classの他に、違うGが並んでいた。マイナーチェンジを繰り返した歴代のG-Classたちだ。聞くと、これらも全て試乗が出来るらしい。急ぎ足で昼食をとり、オフロード用のG500に乗り換える。隣にはメルセデスのインストラクターが乗り込んで、まずは一通りの操作を教えてくれた。砂利の道を少し走ると、G500はオフロードの道に入った。

スピードメーターはモニターになったが、デフロックボタンはボタンのままだ。こういうところがカッコいい。インストラクターの指示のもと、ローレンジにして山道を登り始める。なんてことない、すんなりと登って行く。中腹ぐらいのところで、え?ここ登るの?と思うほど急な道を行けと指示がくだる。デフロックを入れて、ゆっくりと登る。だんだん、前が上になる。フロントガラスからは、青空しか見えなくなった。傾斜角度は36°と出ている。それでも、登ってしまうのだ。山頂まで、簡単に登れてしまった。

 

山頂のMercedes-AMG G 63

山頂のMercedes-AMG G 63

山頂から一旦くだり、G63に乗り換える。さすがMercedes-AMG、最初の砂利道から違いが分かった。こんな悪路でも、アスファルトの上みたいに進んで行く強さ。地面をパワーで押さえつけるように、山道をモノともしない。ここまで違うものかと正直驚いた。

今度は山頂まわりを走らせてもらうことにした。急な坂ではないが、デコボコの山道。そんな道でインストラクターは「もっとスピード出せ!アクセル!」と、こんな超高級車を運転しているのに無茶を言う。自慢じゃないが、過去に未舗装の道で2度、スピンして止まらなくなった経験がある。一回はイースター島で、一回はナミビアだった。どちらも酷い道で、ちょっとブレーキ踏んだら途端に制御不能になり、綺麗に一回転した。トラウマになった。そしてこの場所は、その時とそっくりな道なのだ。だが彼は「More! More! 」としきりに言う。

そこまで言うならと踏んでみた。後ろはすごい砂埃だが、大丈夫。全然大丈夫じゃないか。安定感がすごい。Mercedes-AMGのパワフル加速でも、地面にくっついてるかのように悪路を曲がる。滑らない。僕は調子にのった。こんなに運転していて楽しい車に乗ったのは、初めてかもしれない。悪路でもこんなに違うのかMercedes-AMG。インストラクターの彼は、満足げだった。

 

今日の宿は中世の城

今日の宿は中世の城

日も暮れはじめ、一行はそれぞれ今日のホテルに向かい出した。宿泊地は“カルカソンヌ”という、世界遺産の城塞都市だ。ディズニーの“白雪姫”のモデルになった場所だそうだ。要塞の門の前にG-Classを停め、城下町を歩く。細い路地に石畳の道。歴史を感じる。道の一番奥、カテドラルの前にその“ホテル ド ラ シテ”はあった。フロントの横には、エリザベス女王の記帳サインが飾られている。

メルセデスのおもてなしは、とめどない。中世のシャトーを利用したこの建物にいると、王族になった気分になる。僕の部屋は20畳ほどのベッドルームと、12畳ぐらいの脱衣所で構成されていた。広すぎる脱衣所だが、これがセレブかなんて1人で納得していた。

夕食は、城内のホールのような場所で、New G-Classがいたるところに飾られていた。次々と出てくる料理はどれも初めてのものばかりで最高で、飲みながらG-Classの総責任者のグーテンケ氏にお話を伺うことができた。やはり、今までのG-Classの良さを残してフルモデルチェンジをするのは、相当大変だったようだ。

 

そして、山脈を越えてバルセロナへ

そして、山脈を越えてバルセロナへ

翌朝、映画のようなホールで食事をとったあと、僕らは白のG63に乗り込んだ。参加者同士で早い者勝ちだ。今日はここからピレネー山脈を越えスペインに入り、夜までにバルセロナへ到着する。距離は320kmほど。運転を楽しむにはちょうど良い距離だ。

山の国道を走って行く。あいにくの天候で雨模様だが、だんだん変わって行く景色が面白い。曲がり道が続くようになると、雪の残った山脈の麓を走り出した。G63は相変わらず力強く、運転していても疲れを感じない。走りを楽しみながらも、ただただ安定感を感じて運転していた。

雨がやみはじめたと思った頃に、バルセロナと書かれた看板が見えはじめた。なんだかあっという間だ。まだ時間に余裕があったので、僕らは遠回りして海岸沿いを走るルートをとった。地中海が見えた頃にはすっかり雨もやみ、旅の終わりが近づいてきた。

 

旅の終わりはダイハード

旅の終わりはダイハード

バルセロナといえば、サグラダファミリア。例の巨大なバシリカを通り過ぎようと街中を走る。田舎道でもそうだったが、街行く人々の目線がいよいよ最高潮になってきた。G63を見に、レストランから従業員が出てくる。観光客もこちらを見ている。恥ずかしいやら嬉しいやらだが、街で見かけたら僕もきっと見てしまうだろう。

あらかじめナビに設定されていたゴールは、波止場の倉庫のような場所だった。薄暗い中へ車ごと乗り入れると、なんと、そこは特設のカーシアターになっていた。スクリーンに向かってG-Classたちが並んでいる。しばらくすると、映画がはじまった。「ダイ・ハード / ラスト・デイ」。

この発想はなかった。企画された方、洒落がきいていて素敵だと思う。この映画はメルセデス・ベンツが壮大に車両提供した有名映画。序盤にはブルースウィルスが運転するGクラスが大活躍する。今日いちにち大活躍してくれたG-Classに座りながら、さらにG-Classの活躍を見られるとは。

 

エピローグ

映画の中でも、G-Classはタフだった。去年砂漠で走った時も、最強の車だと思った。フルモデルチェンジをして現代的な内部にはなっても、G-Classの一番肝心な部分は変わらない、そう最後に伝えられた気がした。映画が終わり、皆それぞれホテルへと向かった。今晩のホテルも、もちろん良いホテルだろう。スクリーンに向かったG-classたちの写真を撮って、僕もホテルへと向かいだした。

鈴木陵生 / Ryosei Suzuki

鈴木陵生

映像作家 / 旅人。1979年名古屋市生まれ。劇団での役者経験を経て映像業界へ。数年後カナダに拠点を移し、ミュージックビデオ、映画などの演出、技術スタッフなどを歴任。2008年日本へ帰国し、DRAWING AND MANUALに参加。演出と技術両面の豊富な経験を生かし、NHK大河ドラマのタイトルバックやオリンピック招致映像など、映像作家として数多く作品を手がける。2011年、携わったNTT docomo TVCM「森の木琴」がカンヌライオンズ三冠受賞。翌2012年より長年の夢であった世界一周をスタートし、その旅の様子をリアルタイムに発信するサイト「旅する鈴木」が、第18回メディア芸術祭 推薦作品に選定。Google Android TVCM「見せたい写真、パッと出る篇」など各種メディアにも出演し、執筆、講演と、旅と映像をテーマに多岐にわたり活動を続けている。
http://ryoseisuzuki.com

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