メカニズムはEクラスやSクラスから受け継ぐ
新型CLSのメカニズムは、基本的にはEクラスと同じである。しかし今回、日本で販売されるCLSのラインナップは2種類に絞られた。
まず上級のSクラスに設定されたS 450と同様の、48Vで駆動するISG(インテグレーテッド・スターター・ジェネレーター)付き3.0L直列6気筒を用意した。

さらにもう一方は、新世代のクリーンディーゼルである2.0Lディーゼルを搭載したモデルを用意した。つまり通常のガソリン・エンジン搭載モデルが用意されないという、実に割り切ったバリエーションとされている。
まず試したのは2.0Lのディーゼルを搭載したCLS 220 d Sports。スペックはEクラスと同様で、基本的な印象も変わらない。2.0Lの新世代ディーゼルは相変わらず扱いやすく、アクセルをわずかに踏むだけで日常域をこなせる柔軟性がある。またE 220 d同様に素直な操縦性と乗り心地のしなやかな感じも健在だった。
印象深いCLS 450 4MATIC Sports
とはいえ今回の新型CLSで印象的だったのは、ISGを組み合わせた3.0Lの直列6気筒ツインターボ搭載モデルであるCLS 450 4MATIC Sportsだった。
ISGはSクラスのものと同じで、最高出力22ps/最大トルク250Nmを発生する電気モーターを与えたマイルドハイブリッド。48Vと高電圧を発生するバッテリーを使うのが特長で、モーターがスターターとジェネレーター(発電機)を兼ねている。

既にS 450の時にもレポートしたように、セルを使わないのでエンジンが振動を発せずに始動。アイドリングも500回転以下で静か。動き出しはモーターのため、ハイブリッドやEVのようにスッと抵抗なく動き出す。
またエンジンはS 450のように電動スーパーチャージャーを備えないものの、3.0Lの排気量から最高出力367ps、最大トルク500Nmを実現する点は同じである。
そして発進がモーター、それ以降の加速をツインスクロールターボが受け持ち、極めて滑らかな加速と力強さが実現されている。また変速時はモーターを用いてシフトショックを無くすため、実にスムーズな感覚をもたらしてくれる。

そしてさらにCLS 450 4MATIC Sportsに場合は、そんなドライブトレーンの滑らかで力強い印象に加えて、エアボディコントロールサスペンションを標準装備しているため、実に滑らかな乗り心地が加わる。
人生を愉しむ乗り物としての価値
その乗り味は実に濃密な感覚のもので、1,950kgのボディを路面へしっかりと押さえつけつつも、シルクを思わせる滑らかな感触の乗り味を提供してくれるのだ。
試乗し始めた当初は、Eクラスとほぼ同じ? という印象を覚えたが、乗るほどにあらゆる部分から、Eクラスにはない味わい深さを感じたのだった。それはCLSの真骨頂であるデザインで顕著ではあるが、実はその乗り味走り味にも、人生を愉しむ乗り物としての価値がしっかりと感じられる1台だった。
