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「電化」を果たした新世代エンジン搭載のS450を試す。

メルセデス・ベンツSクラスに新たに追加されたS450が、ユニークなパワートレーンを搭載したことで、話題を呼んでいる。このモデルにナビゲーターの河口まなぶが試乗した。

Sクラスに、ユニークなパワートレーンを搭載

メルセデス・ベンツSクラスに新たに追加されたS450が、ユニークなパワートレーンを搭載したことで、話題を呼んでいる。

メルセデス・ベンツSクラスに新たに追加されたS450

S450に搭載されるのは、メルセデス・ベンツとしては20年ぶりに復活した直列6気筒エンジン。しかもこれは単純なガソリンエンジンではなく、イマドキらしく「電化」しているのが特徴だ。

では、どんな「電化」が図られたのかといえば、直列6気筒エンジンとトランスミッションの間に、モーターを組み合わせた。これはISGと呼ばれるもので、インテグレーテッド・スーターター・ジェネレーターと呼ばれる。エンジンとトランスミッションの間に最高出力22ps/最大トルク250Nmを発生する電気モーターを与えているのだ。

インテグレーテッド・スーターター・ジェネレーター

そしてこのモーターがスターターとジェネレーターを兼ねる。そして、そんな仕組みのISGは48V電源システムと組み合わされる。そうしてISGは減速時には回生ブレーキによって発電を行い約1kWhの容量を持つリチウムイオン電池に電気を貯められる。

また加速時にはエンジン回転の低い領域で補助動力のモーターとして使われて、力強い加速を実現してくれる。

 

48V電源をもちいて、ISGを動かす

これまでも同様の方式を持つ、いわゆるマイルドハイブリッドと呼ばれるクルマが他メーターにもあった。しかしこのISGが新しいのは、48Vという比較的大きな電源を用いて運用することにある。

自動車には通常12Vのバッテリーが搭載されており、これによってエンジンの始動やその他を行なうが、ISGは48Vでモーターを回したり発電したりする。なので、先に記したように比較的大きなモーターを回すことが可能になったのだ。

ではこれでどんなメリットが生まれるのか? 実際にクルマを走らせる工程を想像しながら、この先を読んでいただければ分かりやすいはずだ。

メルセデス・ベンツSクラスに新たに追加されたS450

 

これまでのエンジン搭載車とは全く違う感覚

Sクラスの運転席に座って、始動のためにスターターボタンを押す。するとエンジンが当然のように始動するのだが、ISG付きのこのモデルでは、一般的な始動時の振動や音がほとんどしない。

しかもエンジンが始動しても、アイドリングは約500回転という低回転に保たれているので、エンジンがかかっているかいないか分からないほど。Sクラスはもともと静かだが、エンジンを始動してもなお静かな感覚が続くのだ。

シフトレバーでDを選び、アクセルを踏んで走り出す…と衝撃的なフィーリングが伝わってくる。

メルセデス・ベンツSクラスに新たに追加されたS450

アクセルを踏んだ瞬間、クルマが動き出す。当たり前のように思えるが、よくよく思い出していただきたい。通常のエンジンを搭載するクルマは、発進時にアクセルを踏むと車体が動き出す前に、「グッ」と一瞬の“タメ”があってタイヤが転がり動き始める。

だがISG付きのS450はまるで、ハイブリッドやEVのようにスッと抵抗なく動き出す。Sクラスは決して車両重量が軽いクルマではない。そんなSクラスが抵抗なく即座にスッと動き出す感覚は圧巻だ。

メルセデス・ベンツSクラスに新たに追加されたS450

なぜならこれがISGの仕事。実は動き出す時には、250Nmを発生するモーターが瞬時に力を発揮してくれるのだ。エンジンはアクセルを踏んでから回転が上がらないと力が生まれず、エンジンだけではどうしても動き出す瞬間は一瞬の“タメ”が生まれる。その部分をISGのモーターがカバーしてくれているのだ。

そうしてスピードが上がっていくと、さらに滑らかな力が湧き上がっていくのを感じる。

モーターだけでなく、電動スーパーチャージャー、ツインスクロールターボがアシスト

搭載される直6エンジンは、3.0Lの排気量で最高出力367ps/最大トルク500Nmと、エンジンだけでも十分以上の性能を実現している。そして最初の出だしは250Nmを発生するモーターがアシストし、それ以降は違うメカがさらにきめ細やかなアシストを行う。これによって、たゆまぬ力強さが持続するのだ。

メルセデス・ベンツSクラスに新たに追加されたS450

最初の出だしをモーターがアシストし、エンジンが苦手とする低回転をカバー。そしてエンジン回転が上がると今度は、さらに中回転域までを、電動のスーパーチャージャーがアシストする。さらに今度はツインスクロールターボチャージャーが以降を受け継ぐ。

S450に搭載されるISG付きの直列6気筒エンジンはこのように、モーター/電動スーパーチャージャー/ツインスクロールターボというアシストが常に加わってその走りを生み出している。だからどの回転からでも力強く気持ち良い加速が得られる、普通のエンジン以上に。

また様々なシーンでこのISGは効果を発揮する。例えば高速道路では、走行モードをエコモードにした状態でアクセルから足を離す。するとエンジンはスッと回転を停止する。これはコースティングと呼ばれる機構で、燃費の削減に効果を発揮する。

メルセデス・ベンツSクラスに新たに追加されたS450

そしてエンジンが停止している状態から再びアクセルに足を載せると、エンジンは再始動するが、この再始動も判別不能。モーターがアシストして始動するので、エンジンがかかる時の振動が皆無だからだ。

もちろん交差点で止まってアイドリングストップして、さらに再発進する時も、あのエンジン再始動の振動は感じない。

また一般道でも高速でも、巡行状態からの再加速が実に気持ち良い。アクセルを踏み込んだ後の間髪入れずに生まれる加速の伸びやかさは、EVに匹敵する滑らかで力強い。

 

20年ぶりに復活した直列6気筒の素晴らしいフィーリング

こんな具合で実に素晴らしいフィーリングを生み出してくれながら、燃費等にも効果を発揮するISGだが、さらに20年ぶりに復活した直列6気筒そのもののフィーリングもすこぶる良い。

メルセデス・ベンツSクラスに新たに追加されたS450

直列6気筒は“完全バランス”と言われ、振動が皆無で回転フィーリングも気持ち良い。それをこの回のS450では存分に味わえる。特に走行モードをスポーツにして走った時のエンジンのサウンドは久々に聞く気持ち良い音、と表現できるものだ。

ISG機能付きの直列6気筒エンジンを搭載したS450に乗ってみると、そこには内燃機関に電化がもたらされ、巧みな制御が行われることによって、これからの時代を生き抜いていけるだろう、エンジンの未来を感じたのだった。

S450に搭載されるこのISG機能付きの直列6気筒エンジン、型式名M256は、まさに、電気モーターの良さと内燃機関の良さを実に見事に融合し、表現したものといえる。

メルセデス・ベンツSクラスに新たに追加されたS450

 

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S-Class Sedan

常に最高峰であり続けるために、自らを革新し続けるSクラス。
そこにあるのは、自動車の行く先の道標となる、揺るぎない未来。

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