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都市のライフスタイルとクルマの関係を小さな一台から考えてみた

photo:Masaya Abe
words:Takashi Niigami
movie:zona inc.

コンパクトなボディとシンプルなデザインが都市生活者の心をくすぐるsmart forfour。動画でその取り回しや利便性を紹介するとともに、ライフスタイルアナリスト・二井上貴司氏が分析。

smartが生まれた時代背景、現在に至るまでに進化の過程

ここ数年、バブル時代の文化が取り上げられることが増えた。日本の経済は絶好調で、物質的にも恵まれていた。人々の心に余裕があったのかもしれないし、夢見がちで、浮かれていた時代だ。こんな時代があったんだと若い人たちが驚き、笑っている。そこに透けて見えてくるのは、本当の豊かさというよりも、大きいこと、力強いこと、華美なことに豊かさがあると信じ、皆が同じ方向を向いていた滑稽な世界か。
けれど、その後の社会・経済状況の変化の中で日本人に新たな価値観が芽生えた。それが「自分らしく生きること」だったように思う。
大きいものを好む人もいれば小さいほうがいいという人もいる。そして、それを当たり前のように振舞い、胸を張って自分らしい生き方を謳歌する。様々なライフスタイルが生まれ、多様な価値観を持つ人が現れた。

そんな時代へのひとつの回答として、都市生活者のスマートな生き方にマッチした1台が現れ、今やクルマに詳しくない人でも知っているブランドとなった。まさに「smart」という名のそのブランドは、2000年から日本での販売が始まり、今も日本の都市を軽快に走っている。

smart forfour turbo crosstown limited

smartが日本の市場に与えたインパクトは「小さいのに高いクオリティ」のクルマという、それまでの常識からのパラダイムシフトではないだろうか。例えば都内で生活していると、世田谷あたりの狭い道を走る時や街中で駐車スペースを探す時、小さいクルマだとどれだけ運転が楽だろうかと感じることが多い。しかし、smartが現れるまでの日本では、小さなクルマに乗ることに豊かさを見出せないでいたように思う。クルマそのものも安く仕上げるためにできるだけコストをかけず、インテリアはチープで、エクステリアも然り、そして各部の剛性感に欠けていたというところがあった。そんな時代に現れたスマートはデザインコンシャスで、かつメルセデスならではのボディ剛性や信頼性を纏い、意識の高い都市生活者に受け入れられた。そんなsmartはどのように進化したのだろうか。4人乗りのforfourを見てみよう。

「シンプル」が生み出す美

smartの最大の魅力とは、その「シンプル」さであろう。
シンプルという言葉は多分に誤解されがちだ。「何もない」「そっけない」ことをシンプルとは言わない。無駄な機能や華美な装飾を排し、プレーンで統一感があるデザインや構造を持つことがシンプルと理解すべきだ。

smartは都市生活者のためのクルマとして、無駄のない、まさにシンプルな1台だ。「無駄のなさ」の筆頭として挙げられるのは、そのボディサイズ。コンパクトさとリアエンジン・リアドライブという駆動方式の採用により、4.1mという軽自動車並みの最小回転半径(前輪外側のタイヤが回れる半径)を実現。これは、路地から日本のあらゆる道路を苦もなく走り回れることを意味している。

3,550mmという短い全長に、日本の5ナンバーサイズに余裕を持って収まる1,665mmの全幅、ほとんどの立体駐車場に入庫できる1,545mmという全高は、都内中心部においても駐車スペースに苦慮しないということを考えれば第一の美点と言えるだろう。とにかく取り回しが楽だ。

そして、シンプルであるがゆえの美しさをもったインテリアも、smart forfourの魅力だ。

smart forfour turbo crosstown limited

車内に乗り込むと、余計なスイッチ類やインフォメーションを排し、必要最低限にまとめられている。それでいて直感的に操作ができるので、iPhoneなどとも通底するものを感じた。ただ、指に触れる部分については、しっかりとした手応えがあり、こういったところに手を抜かないのがドイツ車らしさ、メルセデスらしさではないだろうか。
デザインについては、エアコンの吹き出し口の形状などに遊び心を感じさせるが、それも過剰なものではないという点にも好感がもてる。

smart forfour turbo crosstown limited

試乗したのは、online store限定のsmart forfour turbo crosstown limitedというモデルで、全体的な色調はモノトーンにまとめられていた。埋め込み型の大画面9インチディスプレイは存在感があり、プレミアムSDナビ、LEDヘッドライト、リアビューカメラ、ETCにも対応しているという。

小さなボディに、メルセデスならではの安心感

今回試乗したsmart forfour turbo crosstown limitedは、グラファイト×ブラックという2トーンの限定色をまとい、フロント/リアのアンダーガード、サイドスカートにcrosstownデザインを採用。

smart forfour turbo crosstown limited

足元は、ブラックペイントを施した16インチの8スポークアルミホイールが装着されている、オフロードテイストを演出したもの。

smart forfour turbo crosstown limited

走りはじめてすぐに感じたのは、小さなボディならではの取り回しの良さよりも先に、その剛性感だった。まず、ステアリング。握った瞬間に凡百のコンパクトカーでは得られない安心感を得られた。少なくとも、旧来の「車格」という考え方では数ランク上といった印象だ。デュアルクラッチ式のトランスミッションは変速のリズムにやや慣れを必要とするが、アクセルをしっかりと踏み込めば、それに応えてくれるスポーティなもの。排気量897ccの直3DOHCターボエンジンは、最高出力66kW(90PS) / 5,500rpm、最大トルク135Nm(13.8kgf/m) / 2,500rpmと驚くほどのパワーこそないが、1,060kgという車両重量の軽さもあり、街なかをキビキビと走り回る。ブレーキもタッチが自然で、しっかりとした制動力があるので、軽自動車などでは得られない安心感がある。

ボディ剛性も高く、リアエンジン・リアドライブの採用によって生み出された広い室内空間により、大人4人でもゆったりと乗車が可能。

忙しく都市を動き回り、たまに家族や仲間とドライブに出かけるというような都市生活者にはうってつけの1台だと考える。
近年クルマ離れという言葉をよく耳にするが、たとえ公共交通機関の便利な都市中心部で生活をしていても、電車や自転車などでは見ることが出来ない景色、体験できない時間がクルマを所有することで得られるものだ。smartには、そんなことを思い出させてくれる“fun”があった。

※記事内の数値はsmart forfourのものです。

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smart forfour turbo crosstown limited

オンラインストア限定のオフロードデザインで、さらに際立つダイナミックな個性。街を、道を、愉しみ尽くせ。

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