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未来への扉を開く、新型Sクラスの進化

words:Yusuke Osumi

新型Sクラスが待望の日本上陸を果たした。その主な概要を紐解く。

Sクラス、そしてメルセデスが掲げ続ける題目

「新しいSクラスの開発は非常に広範囲なものでした。エンジン、エクステリアとインテリアデザインの刷新に留まらず、技術的なパイオニアであり続けているメルセデスのフラッグシップモデルは、自律走行に向けて大きな一歩を踏み出したのです」。これはメルセデスの車両開発責任者の言葉である。近年メルセデスは、多数の高性能カメラとセンサーを使い複雑な交通状況を瞬時に読み取り、安全運転のサポートへと活かし、将来的に事故ゼロを目指すインテリジェントドライブという考え方を推し進めている。他のモデルにも徐々にそれに則る、自律運転の基盤となる技術が与えられてきているが、新型Sクラスは、より高度なレベルへの到達を可能にした。新技術の詳細な内容についてはこちら

アップグレードしたスポーティさ、ユーザビリティ

新しいSクラスのハイライトとして、さらに挙げたいのが、室内のユーザビリティの向上だ。クラフツマンが仕立てた繊細な木目のウッドトリム、柔らかな皮で覆われたドア、コンソール、シートの質の高さはいうまでもない。しかし、インテリアで最も象徴的に進化を表しているのは、メーターパネル部のディスプレイとインストゥルメントパネル中央に配されたディスプレイが同じガラスカバーのなかに収まり、ひとつのワイドなディスプレイのようになっている点である。今まで通り、メーターパネル部のものには車両及び走行状況など、インストゥルメントパネル中央のものにはナビなどが表示されるが、一体となったおかげで操作性、デザイン性が高まった。

一方、エクステリアデザインでまず主張するのは、大型化したエアインテークにツインフィンがあしらわれ、ラジエーターグリルの左右を結ぶラインがツインルーバーとなったことで、勇ましさが強調されたフロントフェイスだ。リアにまわると、再設計されたディフューザーがテールパイプを際立たせ、総じてスポーティさが向上している。

カバーのなかでLEDなどが複雑に構成され、クリスタルのように煌いているライトも特徴的なデザインだ。機能面においてもグレードアップしており、メルセデス初搭載となるウルトラハイビームは最長600mを超える照射距離で視界確保に寄与。前走車や対向車を幻惑させることなく最適な照射を行う、マルチビームLEDも加えられた。

エンジンの効率化による、レンジのスリム化

エンジンレンジがスリムになったことも大きな変更点だ。3.0リッターV型6気筒ツインターボBlueDIRECT(S400に搭載)、4.0リッターV型8気筒ツインターボ(以下、V8。S560、S63、メルセデス・マイバッハ S560に搭載)、そして先述した2モデルに搭載される6.0リッターV型12気筒ツインターボを中心とするラインアップになった。また、トランスミッションは9速ATに統一された。

こういう結果になった大きな理由は、V8の効率化にある。このエンジンのベースとなったのは、メルセデスAMGの最先端テクノロジーが投入されたMercedes-AMG GTに積まれているものだ。特色は最適なエアフローを確保するために、2つのターボチャージャーをVバンクの内側にレイアウトした点。これによってターボラグが低減され、ハイパワーとより高いレスポンスを実現できた。さらに高速巡行の際の低負荷時や、ダイナミックセレクトで「Eco」または「Comfort」モード選択時、かつ低中速エンジン回転での走行時に4気筒が休止するシリンダーマネジメントシステムが採用され、先代比較で約10%の燃費向上に繋がった。要するに、走りと低燃費を両立させ、非常に経済的なV8となったことが、先の“スリム化”に大きな影響を与えているというわけだ。

ABOUT CAR

S-Class Sedan

常に最高峰であり続けるために、自らを革新し続けるSクラス。
そこにあるのは、自動車の行く先の道標となる、揺るぎない未来。

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