
かき氷で埋め尽くされた原田さんのInstagramはほぼ毎日更新され、しかも、複数アップもめずらしくないが、「過去最高は1日で10食。普段でも1日5食は欠かしませんね」と言うのだからそれもそのはず。ここ数年は、年間1500食前後(!)をたいらげているそうだ。
原田さんが“かき氷の世界”に足を踏み入れたのは、美大に通っていた19歳か20歳のとき。暑さ厳しい夏の京都の老舗でたまたま口にした抹茶のかき氷との出会いがきっかけだった。「言葉ではうまく言い表せないのですが、とにかくおいしくて。こんな食べ物があるんだ!ってものすごい衝撃を受けました(笑)」
例えば生姜焼き定食なら、「ごはんは不要でお肉だけをひたすら食べたい人」という元来の嗜好も手伝ってか、かき氷の魅力にどっぷりとハマり、Instagramへの投稿を始めた原田さん。SNSの時代、かき氷への愛情ほとばしる突き抜けたキャラクターが放っておかれるはずもなく、有名カフェのかき氷プロデュース依頼、そして、テレビなどのメディアにも登場するようになる。


某人気テレビ番組で“かき氷の女王”と命名され、2016年にはOL時代の“かき氷貯金”をもとに自身のお店をオープンさせた原田さんの悩みは、以前ほど食べ歩きに時間を割けなくなったこと。埼玉の名店に向かう今日は、だからこそ心から楽しみにしていたという。

「MBUX(メルセデス・ベンツ ユーザーエクスペリエンス)」との会話や充実した装備に感心しきりの原田さんを助手席に乗せたBクラスは、都内から埼玉県久喜市へとスイスイ北上。かき氷愛を熱く語る原田さんとの会話が弾む。そして東北自動車道・白岡菖蒲I.C.を降りてしばらくすると、郊外の幹線道路沿いでよく見かけるような、オーソドックスな果物屋が現れた。

原田さんが楽しみにしていた「雪みるく」の駐車場は、小雨の平日だというのに駐車場には他県ナンバーのクルマがちらほら。2週間前からの予約が必須という絶大な人気を誇る、今や全国に名を知られるかき氷の名店の人気を支えているのは、新鮮で上質で食べ頃のフルーツをお財布にやさしい価格で提供する、果物屋だから可能なスタンスだ。

フルーツを惜しみなく使ったとろっとろのオリジナルシロップしかり、原田さん同様にかき氷を愛する店主の創意工夫を映しだすメニューは常時10種類以上。ここでしか味わえないおいしさを逃すまいと、全国のかき氷ファンがやって来るのである。

「やっと来られたので、がっつり食べます!」と笑顔の原田さん。生すいか、スペシャル生メロン、白桃、ティラミス、ピスタチオエスプーマ&ラズベリーショコラ、ベリーレアチーズ、生マンゴー&ココナッツミルク、すももヨーグルトエスプーマと、メニューのほとんどをオーダーし、ビジュアル映えも文句なしのかき氷たちを恍惚の表情でたいらげていく。
おかわりまでしたこの日の個人的ベストワンは、「甘味と酸味のバランスが最高~!」というピスタチオエスプーマ&ラズベリーショコラ。エスプーマとはご存じのとおり、あらゆる食材を亜酸化窒素でムース状にする調理法だが、そのために「雪みるく」では専用の機械を導入。食材をいっそうおいしく提供する、枠にとらわれないこだわりを見るにつけ、なんとしても予約を入れて訪れたい名店の凄みを感じるのだった。

「天然氷も機械で作る氷も、どちらにも良さがあって、個人的にはとくにこだわってはいません。それより、溶けやすい夏場なら、粗めと細かめに削った氷を上手く組み合わせているといったこだわりなどを見ちゃいますね」
京都での運命的な出会いからかき氷にハマり、さまざまな知見を自然と広げながらかき氷専門店のオーナーにまでなった原田さんだが、フルーツ系のメニューを食べるようになったのが最近というのは意外な事実だった。
Spot information
雪みるく

ADDRESS 埼玉県久喜市菖蒲町菖蒲6008
TEL 080-5073-0369
営業時間 水〜金 11:00〜17:00/土・日 10:00〜17:00
定休日 毎週月曜・火曜
駐車場あり
※完全予約制(予約受付時間 水〜日 7:00〜8:00/18:00〜20:00)
「フルーツ系かき氷は甘酸っぱい味のものが大好きで、そればかり食べていましたが、とあるお店ですいかを食べたら、京都で抹茶のかき氷と出会ったときと同じような衝撃が。かき氷でフルーツの旬を知りました(笑)。だから今日はホントに大満足です!」
極上のフルーツ、こだわりの技術、かき氷への情熱、そのすべてが揃った「雪みるく」は、この取材のあと都内に戻ってからもかき氷を食べに行くという、“かき氷の女王”をも満足させる天国だった。ハイシーズンを迎えた今の季節こそ、かき氷には縁遠いというあなたも、今どきのかき氷に出会いたくなったのでは?
PROFILE
原田麻子(はらだ・あさこ)

偏食と偏愛に導かれた(?)“かき氷の女王”の異名をもつかき氷マニア。オーナーを務めるかき氷専門店「氷舎mamatoko」では、器に自ら足を運んで仕入れたやちむん(沖縄の焼き物)を使うなど、かき氷への愛情は細部にまでおよぶ。「人気のかき氷屋さんに行くなら冬場もいいですよ。空いているのでおすすめです!」
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