旅路をサポートしてくれる、“インテリジェント”な機能
春、つぼみが花開き、山や川沿いの木々が彩られると、クルマを開放的な場所で走らせたいという衝動が、多くの人の心のなかで起きるだろう。冬の間、ずっとつけていた暖房を消し、窓も幌も全開にし、涼しい風を肌で受けながら走れば、最高の爽快感を味わうことができる。今回、新型Eクラス カブリオレと共に向かったのは、静岡県伊豆半島の東南部に位置する河津町。川端康成の代表作にあたる『伊豆の踊子』の舞台となったことで知られるその場所には、手つかずの豊富な自然が残されている。重なり合う山々、深い渓谷、所々で湧き立つ温泉、季節ごとに咲く花々の豊かな彩り。

毎年3月になると、河津桜を観に、そして体感しに、全国各地から多くの人びとが集い賑わいを見せるのだが、観光地にありがちな大きなホテルやアミューズメント施設が建っていない、のどかで牧歌的な雰囲気が漂うところも河津の良い点だ。東京からの距離は約180km。休みなしだと片道3時間弱と、決して短いとはいい辛い。しかし、Eクラス カブリオレにはその旅路をサポートしてくれる、“インテリジェント”な機能が搭載されている。

それが、高速走行から渋滞時まで前走車との最適な距離をキープしながら自動でアクセルとブレーキがコントロールされる、自動再発進機能つきのアクティブディスタンスアシスト・ディストロニック。行き帰りの高速道路上でこの機能を試したが、急な割り込みが入ってきたとしてもバタつくことがない精確な走りはきっと、多くのドライバーに絶大な安心感を与えるはず。アクティブディスタンスアシスト・ディストロニックが特徴的な理由は、単に前走車を追うだけでなく、カーブや車線が不明瞭な場合はガードレールなどを認識するからである。故に、状況に応じたスムーズな加減速が可能になっているのだ。しっかりと守られている絶好の環境のなか、オープンドライブを楽しみたいものだが、まだ時間帯や日によっては少々肌寒いこともあるだろう。しかしEクラス カブリオレには、それを感じさせない、いくつかの工夫が施されている。
最高のオープンドライブを、最高のまま保つ工夫

ひとつ目はヘッドレスト。先に掲載した写真を見て頂ければ、ヘッドレストの下部に空気口が設けられているのがわかると思う。これは「エアスカーフ」と呼ばれるもので、ヘッドレストに内蔵した小型セラミックヒーターによって暖めた空気が吹き出し、首回りを温めるという機構である。もうひとつが、フロントウインドウ上部と後席後方に現れるメッシュ状のウインドディフレクターが、キャビンへの風の巻き込みを低減してくれる「エアキャップ」だ。このふたつが組み合わされることで、オープンドライブにとって、この上ないキャビン環境になった。ちなみにこれらは、E 400 4MATIC カブリオレ スポーツは標準装備で、 E 200 カブリオレ、E 200 カブリオレ スポーツではパッケージオプション設定。

そして何といってもドライバーを鼓舞する最大の要素が、そのプロポーションだろう。オープンカーは一般的に、屋根アリのクルマに比べてボディ剛性が低いため、後席などにロールケージを装備することが多い。しかしそうすると、せっかくの開放的なデザインに無駄が加わり台無しになってしまう。そのネックを解消したのが、高張力鋼板と鋳造アルミニウムを多用したボディ・ストラクチャーである。軽量化のために、フェンダー、ボンネット、トランクカバーはアルミニウム製になっているが、結果的にEクラス クーペとほぼ同等のボディ剛性が確保されたことで、わざわざロールケージを足す必要がなくなり、フラットに近いフォルムが実現できている。これこそ、古くからボディ剛性にこだわり続けてきた、メルセデスならではの流儀といえる。

さらには、三層構造のアウターとウレタンフォームのインナーで構成された「アコースティックソフトトップ」を採用したことで、クローズした状態では、カブリオレであることを忘れてしまうほどに高い遮音性と快適性、耐久性を備えている。幌を閉めたプロポーションは、完璧に美しい2トーンカラーのクーペだ。このふたつのキャラクター、それぞれがもつ魅力を確かめながら旅路を進んでいった。
Day1
12:00
15:00
01
かわづカーネーション見本園
東京を少しゆっくり出発し、まずは花を堪能しようと向かったのはかわづカーネーション見本園。河津町は桜が有名なだけでなく、隣接する東伊豆町と並ぶ静岡産カーネーションの2大産地として知られている。カーネーションの栽培技術を研究する目的で1951年頃につくられた同園では、市場に出回っていない試験栽培のものを含む約360品種、約14,000株ものカーネーションを見ることができる。
静岡県賀茂郡田中11
tel. 0558-34-1946
開園時間 9:00~16:00
入園料 ¥300(一般)、¥100(小中学生)
休園日 毎週水曜日(祝日の場合は木曜日)
駐車場 無料(河津桜まつり期間中のみ有料)
16:00
02
玉峰館
河津駅そばの街中に位置しているにも関わらず、寛ぎ、景観、食、そして温泉と、古から守られている河津のあらゆる贅を体感できる玉峰館が今回の宿。創業は大正15年。当時の趣が建物の柱や建具、勢いよく温泉の湯気を立ち上らせる源泉櫓に色濃く残っているが、全面的に改装されており、中に入ると非常にモダンな佇まいになっている。現代と過去の究極的な融合体といえる空間だ。
静岡県賀茂郡河津町峰440
tel. 0558-34-2041
年中無休
宿泊料 ¥25,000から(1室2名宿泊時の1名料金、夕・朝食つき)
駐車場 7台分
Day2
10:00
03
河津七滝
2日目、玉峰館で伊豆の野菜と魚を組み合わせた優しい味の和朝食を食べたあと、帰路につく前に滝を巡ることにした。伊豆半島の東側は100ほどの単成火山が集まった伊豆東部火山群が分布している。河津に点在している7つの大きな滝、通称、河津七滝(ななだる)はその噴火で流れ出した溶岩によってできたもの。滝つぼに大量の清らかな水が落ち、水しぶきと共に冷たい空気とマイナスイオンをたっぷりと運んでくる。
12:00
04
Antica Torattoria Dal Pirata
東京に戻る前に完全予約制のトラットリア、Antica Torattoria Dal Pirata(アンティカ トラットリア ダル ピラータ)でランチを。お店の目の前には相模湾が広がり、裏を見渡せば山がそびえ立つ。イタリアの16の州で修行を積んだ経験があるオーナーシェフの早川巧磨さんが河津でお店を開くことになった理由は、その恵まれた環境が生むミネラルと旨みが詰まった食材がフレッシュな状態で手に入るからだという。
静岡県賀茂郡河津町谷津484
tel. 0558-34-1788
営業時間 LUNCH 11:30~14:00
DINNER 18:00~20:30 前日までに要予約
定休日 不定休