新緑を愛でる春から、青葉が力強く茂る夏、そして、街路樹が一斉に黄金色に輝く秋から、枯葉舞い散る冬へ――。そんな四季折々の美しい姿を見せる、神宮外苑いちょう並木。都内でも屈指の観光スポットであり、人気のドライブスポットでもあるそんな場所も、スタイリストを生業とする久保さんにとっては、「いつもそこにある、日常の光景」なのだとか。

「仕事柄、服のリースなどで港区、渋谷区界隈をクルマで走りまわっているので、いちょう並木は毎日のように通る道。しかも、この絶好のロケーションですから、ファッション誌の撮影などで訪れることも多く、自分にとってはとても馴染みのある場所ですね」

毎日忙しく飛びまわる久保さんが、空き時間があるとよく訪れているのが、いちょう並木に店舗を構える「Royal Garden Cafe AOYAMA」。開放的なテラス席に腰を据え、ランチを楽しみながら一息つくのが至福の時間だという。この日、オーダーしたのは「生ハムとモッツァレラ、バジルペーストのカプレーゼサンド」(1100円、スープ付き)。限られた時間のなかで、さっと食べられて、野菜もとることができるサンドイッチは定番メニューだとか。
「ここでは、リースのアポイントを入れたり、クライアントと電話で打ち合わせをしたりと、もちろん仕事もしますが、極力、リラックスすることを心掛けています。一度、自分の気持ちをリセットすることで、その後のスケジュールを冷静に組み立てることができたり、ふとスタイリングのアイデアが浮かんでくる。そんな場所として、このカフェ、そしていちょう並木は最適ですね」

そう語る久保さんの現在の愛車は、1994年式のE 320。仕事柄、多くの荷物を載せて走るため、おのずとステーションワゴンがファーストチョイスとなる。
「もともとクラシックな、角張ったフォルムのクルマが好きで、いつかW 123やW 124に乗りたいと思っていたんです。当時のメルセデスは、もっとも贅沢にクルマを造っていた時代だと思っていて、仕事で毎日クルマに乗る僕としては、パフォーマンス的にも申し分ないだろうと。そんな折、知り合いのヘアメイクさんが紹介してくれたのが、この一台。まさに一目惚れでしたね」

Alt:撮影用の小道具を詰め込んだグローブ・トロッターが鎮座する荷台
「内装の上質感もさることながら、アクセルを踏んでみても、これまで乗ったクルマとは加速が違う。重たいボディには、常に守られているような安心感があるし、国産車にはない重厚さを身に染みて感じました」
久保さんにとって、初のメルセデス。乗り始めて3年が経った今となっては、撮影用の小道具を詰め込んだグローブ・トロッターが鎮座する荷台は、なんとも堂に入ったものだ。

何を隠そう、外苑前にある高校に通っていた久保さん。当時はテニス部に所属し、赤坂御用地のまわりをランニングしたり、この並木道では筋力トレーニングに励んでいたという。なるほど、「いつもそこにある、日常の光景」というのも頷ける。
「立ち並ぶ店は変わっても、僕にとってこの並木道から見える景色は、昔と何も変わらない。ここでふと立ち止まり、23年前のがむしゃらに頑張っていた自分を思い出すことで、自然と冷静になるのかもしれません」
今ではこの並木道を、お気に入りのメルセデスで走る久保さん。10年後、そして20年後はどんなクルマで、この神宮外苑いちょう並木を走り続けているのだろうか。
Spot information
Royal Garden Cafe AOYAMA
https://royal-gardencafe.com/
ADDRESS 東京都港区北青山2-1-19
TEL 03-5414-6170
ACCESS 東京メトロ「外苑前駅」「青山一丁目駅」徒歩5分、都営大江戸線「青山一丁目駅」徒歩5分
営業時間 11:00~23:00(LUNCH 11:00~15:00、18:00以降予約可)
定休日 無休
駐車場 無し ※隣接する青山駐車場(神宮外苑内)を2時間まで100円/hで利用可能。
PROFILE
久保コウヘイ/Kohei Kubo

1977年、東京生まれ。2002年にスタイリストとして独立。『MEN’S CLUB』『GOETHE』『LEON』などのメンズファッション誌をはじめ、広告やカタログ、タレントのスタイリングまで幅広く活躍中。