GT Cはどんな位置付けなのか?
メルセデスAMGのGTシリーズに、また新たな1台が加わった。その名は「Mercedes-AMG GT C ロードスター」。果たしてこのモデルは、どういった存在なのか? まずはそれを紐解こう。
AMG GTシリーズは、通常のAMG GTがあり、さらにより高出力なAMG GT Sが存在していた。ここに最強モデルとして、AMG GT Rが加わったのは記憶に新しいところ。そしてさらにここに、AMG GT Cというモデルが加わったのだ。

GT Rは、通常のAMG GTやGT Sに比べると、エンジン性能が大幅向上しており、最高出力575ps/最大トルク71.4kgmにまで性能アップされている。そしてそれと同時に、ボディはワイド化されているのが特徴だった。

ではGT Cはというと、ボディはGT Rに準ずるワイド化が図られている。そして搭載エンジンは、さすがに最強モデルであるGT Rよりも出力は抑えられているが、それでも最高出力557ps/最大トルク680Nmとされており、GTやGT Sよりも高出力が実現されたモデルとなっている。

さらにAMG GTシリーズには、クーペとオープンの両ボディが用意されるようになったが、今回試乗しているのはGT Cのロードスターであり、GTやGT Sに用意されるロードスターとは、ボディの幅やエンジン性能が異なる。それだけにこのモデルはAMG GTシリーズのオープンモデルとしては最強の1台、という位置付けになるわけだ。
そして今後は、このGT Cにもクーペモデルも用意されることになる。

とてもユニークな「AMGリア・アクスルステアリング」
さらにユニークなのは、このGT CがGT Rからリアのステア機構である、「AMGリア・アクスルステアリング」を譲り受けたことである。
GT RにおいてAMGリア・アクスルステアリングは、後輪を操舵することによって高い旋回性能を確保して、主にサーキット等でその効果を強く発揮してきた。しかし一方で有効なのは、ロングノーズなAMG GTの取り回しを楽にしてくれることでもある。
実際に今回のGT Cでは、GT Rの時には感じられなかったほど、クルマが小さく感じるかのような取り回しを感じるのだ。
実際に走らせると、街中でもキビキビとした感覚を強く感じる。最初は思ったより曲がると感じるかもしれないが、慣れるとこの機構を備えるからこその取り回し感が気持ちよく感じられるようになってくるのだ。

そして街中だけでなく、首都高のようなカーブの多い高速や、ワインディングロードなどを走ると、実に気持ち良いフィーリングを味あわせてくれるのも特徴。GT Rはそのハードな乗り味と圧倒的な速さで、リアステアの存在に気付きにくいが、このGT Cではハンドル操作に対して、クルマが実にレスポンスよく反応してカーブを曲がっていく様が存分に感じられる。結果、走りはGTシリーズの中で、最も軽快な味わいが出ており楽しさを強く感じることになるのだ。

さらに、このGT Cは絶妙なサスペンションセッティングを感じさせる1台でもある。GT Rはそのキャラクターから当然ハードさを感じさせる走りだったが、GT Cでコンフォートモードを選択した際には、実に滑らかな乗り心地も提供してくれる。フロント19インチ、リア20インチという大径タイヤを装着していることを考えると、そのノリ心地は相当に頑張ったといえるものだ。
GT C ロードスターならではの楽しみ
そしてGT C ロードスターには、さらなる楽しみがある。それはもちろんオープン機構を備えることによるもの。
走行中でも50km/h以下なら開閉可能な幌は、ボタンひとつの操作でわずか11秒で開閉が可能。なので動画の中でも走行しながら屋根を開ける動作が行われている。
そうして気軽に屋根を開けて走ると、今度はGT R譲りのエンジンサウンドが後方から、通常のクーペモデルよりもよく聞こえてくることになる。そう、屋根が空いたことによって迫力のエグゾーストサウンドを、直に耳にする機会がもたらされるのだ。

そうしてエグゾーストサウンドを味わいつつ走り、ハンドルを操作すると、そこには再起に記した通りの軽快な走りが生まれていることに気づく。
そしてオープンの心地良さとサウンドの気持ち良さ、ハンドリングの意のまま感がハーモニーすることで、最高の走りの楽しさ気持ち良さを味わえる…それがGT Cロードスターというクルマの生み出す時間でもある。

事実、ナビゲーターである僕・河口まなぶも、数あるAMG GTシリーズを試してきたが、最新モデルであるGT C ロードスターが、これまでで最も楽しく感じた1台といえるほど。
それほどの絶妙のバランスの上に成り立った1台なのである。
