

慣れ親しんだメルセデス
EQBにも感じる“らしさ”とは
建築家という仕事の枠を自ら広げ、さまざまな分野で活躍する谷尻誠さん。故郷である広島をはじめ、東京、千葉で多拠点生活を実践し、最近は北海道にも準備を始めている。そんななか、2022年9月に会員制貸別荘「DAICHI ISUMI」を完成させた。場所は、千葉県いすみ市。太平洋に面した美しい海岸線や、国立公園に指定される森林や渓谷があり、農業も盛ん。サステナブルな電気自動車EQBにマッチする自然豊かな場所だ。住宅やインテリア、ランドスケープなど多種多様なデザインを手掛ける谷尻さんの目にEQBはどのように映るのか。いすみ市ののどかな道を舞台に、クルマの感想を伺った。


「動力が電気とはいえ、運転席に座った限りではいつもの慣れ親しんだメルセデス。純粋にクルマとしての完成度の高さがひしひしと伝わってきます」
そう語る谷尻さんは、都内ではGLC、北海道ではGクラスに乗っている。平日は仕事の移動、プライベートではキャンプと、長い時間をメルセデスと共に過ごしている。だからこそEQBに触れた瞬間、“らしさ”を敏感に感じ取ったのだろう。
「操作が簡単で扱いやすいしドライビングのフィーリングも良く、長い距離を乗ってもストレスがない。そういうところが良くてメルセデスを選び続けていますが、EQBでも健在ですね」

電気自動車に乗るなら、
クルマとして完成されたEQBは最適解
「でも大きく違うのは、アクセル操作のフィーリング。これには驚きました。運転手の操作に俊敏に反応して、キビキビと走ってくれるところがとても心地良い。電気自動車に乗るのは初めてではないですが、この感覚は新鮮です」と興奮気味に語る谷尻さん。
彼が運転するEQBは、畑や森を縫うように走る県道を軽快に進んでゆく。そもそも谷尻さんは電気自動車についてどんな考えを持っているのだろうか。
「エネルギーの観点で言えば、やっぱりガソリンを燃やし続けるというのは、そろそろやめにしないといけないのかなと感じていて。今後、自然エネルギーを活用したサイクルが確立されていけば電気自動車を選ぶ人は確実に増えていくだろうし、今よりもっと生活に密着したものになっていくはず。個人的には次に買うなら電気自動車だと思っていますよ」

MBUXで近くの充電ステーションを検索

「実は数年前、北海道で乗るクルマを考えていたとき、電気自動車も候補のひとつでした。ただ、当時は充電ステーションの数に不安があったので断念しました。今は、都内なら自宅にソーラーパネルと充電器を設置して、エネルギーの循環を考えた上で乗りたいです。航続距離の面でも、今回訪れている片道100kmほどの千葉県いすみ市と都内の往復くらいは楽にこなしてくれますし、頼もしいです。このエリアは自然が豊かなだけでなく、農家の方もサステナブルな意識を持っている人が多い。クルマに乗るなら、EQBのような完成された電気自動車が似合います」

中と外がゆるやかに繋がるリビングが
能動的ラグジュアリーをもたらす
「DAICHI ISUMI」があるのは、千葉県最大の流域面積を誇る夷隅川のほとり。谷尻さんが手掛ける事業の一つで、豊かな自然環境を生かした宿泊施設の企画開発・運営を行う「DAICHI」初の会員制貸別荘として建てられた。アウトドアだからこそできる体験に価値を見出す “能動的ラグジュアリー”が表現されている。
この地を選んだ理由を谷尻さんに訊ねると、「川の目の前だったから。これ以上の理由は必要ないですよ」と言ってニヤリと笑う。
「高価な素材や高級なインテリアを使わないとラグジュアリーにならないと思っている人は多いかもしれませんが、そうではありません。DAICHI ISUMIはラグジュアリーな空間を目指しましたが、床はモルタル、壁は合板や外壁に使う塗料で仕上げていて、値段が高いものは一切使っていないんです」
それでもラグジュアリーを感じるのは、何ものにも代え難い豊かな自然体験があるから。それを表現するために谷尻さんがこだわったのが、場所と建物の関係性だ。建物の中にいながら自然をダイレクトに感じられる仕掛けが、随所に散りばめられている。
「例えば、あえてエアコンを付けていません。その代わり天然のエアコンがある。夷隅川で冷やされた風が大開口のリビングを冷やしてくれるんです。開口部の反対側には大きな窓があって、それを開けると風が吹き込み、常に空気の動きを感じられます。それでも暑いときはプールに足を入れて涼めばいいし、冬の寒い時は暖炉で薪を燃やして、サウナで温まればいい。そうやって自然を感じながら豊かな時間を過ごすということが、何よりもラグジュアリーな体験だと思うんです」

これからの時代に必要なのは
テクノロジーと自然体験のバランス
「自然自然と言っても、別に原始時代に戻ろうっていうことを提唱しているわけではありません。むしろ、自然を楽しむために快適さをテクノロジーで補うことこそが重要だと思っています。例えば、ここのキッチンにはワインセラーがあり食洗機がある。同じように、クルマでの快適な移動というのは『DAICHI ISUMI』での体験に欠かせないピースのひとつです」
都市の中での知的能動性と、自然の中におけるプリミティブな体験。これからの時代には両方が必要であり、そのバランスこそが重要なのだと谷尻さんは言う。“電気で走るクルマでの移動”という先進的な体験は、「DAICHI ISUMI」でのひとときの休憩をより特別なものにしてくれる。新時代を切り拓くメルセデスのEQBは、最適の存在と言えそうだ。
PROFILE
谷尻 誠 / Makoto Tanijiri
1974年、広島生まれ。2000年建築設計事務所SUPPOSE DESIGN OFFICE設立。2014年より吉田愛と共同主宰。広島・東京・千葉の3ヵ所を拠点とし、インテリアから住宅、複合施設まで国内外合わせ多数のプロジェクトを手がける傍ら、穴吹デザイン専門学校特任講師、広島女学院大学客員教授、大阪芸術大学准教授なども勤める。近年「絶景不動産」「tecture」「社外取締役」「toha」「DAICHI」をはじめとする多分野で開業、事業と設計をブリッジさせて活動している。
主な著書に『職業=谷尻誠』(エクスナレッジ)、『美しいノイズ』(主婦の友社)、『谷尻誠の建築的思考法』(日経アーキテクチュア)、『CHANGE-未来を変える、これからの働き方-』(エクスナレッジ)、『1000%の建築~僕は勘違いしながら生きてきた』(エクスナレッジ)、『談談妄想』(ハースト婦人画報社)。
ABOUT CAR
メルセデスの電気自動車ブランド「Mercedes-EQ」初の7人乗りコンパクトSUVモデル。最大限のスペース効率を追求して生まれたスクエアなボディが特徴。電気自動車ならではの静粛性とトルクフルな走り、高度な操縦安定性を高いレベルで実現している。