他の誰でもない存在で居続けること
幼い頃、「8時だョ!全員集合」の加藤茶さんによる「ちょっとだけよ、あんたも好きねえー」のBGMとして使われていた、ラテンナンバー「タブー」で洗礼を受け、ラテン、パーカッションの魅力にハマっていったというパラダイス山元さん。進学した日本大学芸術学部美術学科インダストリアルデザイン専攻を卒業した後に就いたのは、自動車メーカーのデザイン部門。しかし、それまでずっと活動を行っていたバンドに数社のレコード会社から声がかかり、プロミュージシャンとしてのキャリアがスタートする。当時は「好きな音楽で、一生飯が食えるなんて思っていませんでしたから、諦めがついたら、またカーデザイナーに戻るつもりでいました」という、期間限定の活動だったと思っていたそうなのだが、それから数十年経った今でも、常に第一線で活躍していることは広く知られている。

「当時、カーデザイナーは花形職業でしたが、レコード会社から良い条件を提示してもらえたので、勢いでデビューしてしまいました。私は昔から、人の真似だけはしたくない、仕事、持ち物、着ている服、そして大人になってから乗るクルマ、すべてにおいて、他人とかぶるのは嫌だなと感じてしまう性格でした。『8時だョ!全員集合』に影響を受けてミュージシャンを志し、実際にプロになってしまった人も私だけだと自負しています。加藤茶さんにこの話をしても、ぜんぜん信じてもらえませんでしたが(笑)」

パラダイス山元さんはミュージシャンに留まらない、とても多彩な顔をもっている。「マン盆栽(盆栽の上にフィギュアなどをレイアウトする楽しみ方)」の家元、バスソルト「蔓潤湯」の責任監修をする入浴剤ソムリエ、グリーンランド国際サンタクロース協会から認定を受けた、アジア唯一の公認サンタクロース。完全会員制の餃子レストラン「蔓餃苑」のオーナーシェフ。さらに自動車以外に鉄道、飛行機のスタイリング、カラーリングまでも手がける。飛行機のマイル制度にも精通し、自著、専門誌で「マイル修行体験」を詳細に記し、世の中に数多くの「マイラー」を生み出すきっかけにもなった。おそらく、肩書きの正しい記し方は「パラダイス山元」。一人総合商社のような、唯一無二の存在で居続けること、オリジナリティを追求することがパラダイス山元さんのモットーなのではないだろうか。

ウニモグに代わる選択肢とは
パラダイス山元さんが演奏するラテンパーカッションは、コンガ(上写真でパラダイス山元さんが抱えているもの)、ギロ(下写真のドリンクホルダーに収められているもの)ボンゴ、ティンバレス、マラカス……と、大きなものから小さなものまで様々で、形もそれぞれが異なる。ライブでもレコーディングでも、管楽器や弦楽器に比べると機材がたいへん多い。それゆえ演奏目的の長距離移動は、国内であれば、飛行機や新幹線などではなく概ねクルマだという。大量の楽器を載せて長距離を走るパラダイス山元さんの現在の愛車/機材車が、メルセデスの多目的作業車「ウニモグ」であることも有名な話だ。一般的には働くクルマとして知られ、日本国内では、自衛隊、鉄道、高速道路、競馬場のメンテナンスなどで使用されている。ナンバーを取得して、都内で個人所有している人は限りなく少ない。

「購入した当時は、丸みを帯びた、瓢箪(ひょうたん)のようなデザインのクルマが世の中に溢れかえっていて、自分ではどうしてもそれらとは違うクルマに惹かれました。尖っていたり、真四角のクルマがないのかな、と。そこで、四角くて世界最強の四駆は何かと考えていくと、行き着く先がウニモグになったというわけです。ちなみに都内で2度ほど、ウニモグとすれ違いました。ひとつは融雪剤を撒いていて、もうひとつはスノープラウが取り付けられていたものでした。しかも、両方とも首都高速上で(笑)」
ただ、想像に難くないが「ウニモグを運転するには相当な体力が必要」とパラダイス山元さんは話す。そこで今、注目をしているのが荷物をたくさん積むことができて、かつデザイン性も優れているVクラス。聞けば、ドイツで何度か乗る機会があり、その性能の高さに納得していたのだという。
「乗りたいと思えるワンボックスカーが出ないかなと期待していた時に、ちょうど初代のVクラスが登場して、購入しようか迷いました。その後、ヨーロッパに行った際、レンタカーで借りたことがあって、乗りはじめは運転席のポジション、車幅の感覚に慣れず、取り回しが難しいクルマなのかなと思ったのですが、アウトバーンを走っているうちに印象が変わっていき、どんどん扱いやすくなっていきました。今のVクラスのデザインは当初のものより角が取れていて、商用車っぽさが皆無になってとても好ましいスタイリングになりました。一方で、機能性、積載性はきちんと確保されている点が、私にとって嬉しいポイントです。シートを倒せば、コンガが14本は入りそうですね(笑)。体力的に、ウニモグが取り回せなくなったら、次はこれかなと思っています」

パラダイス山元さんが今回Vクラスに搭載したのは、アメリカン・アッシュ材を使用した、コンガの名手ジョバンニ・イダルゴの最上級モデルを、現代美術作家の中村哲也さんが塗装・加工を施した贅沢なオリジナルモデル。普段は専用ケースに入れて積んでいるが、それをパラダイス山元さんはVクラスのシートに逆さに乗せ、シートベルトをかけながら「Vクラスの本革シートなら安心だ」と太鼓判を押した。
Vクラスは確かに、利便性や多目的な用途などを考慮して生まれたワンボックスカーに分類されるモデルではあるが、クルマを走らせる/所有する喜びも併せもつ、“唯一無二”のワンボックスカーだといえる。フロントグリルにあしらわれた大きなスリーポインテッドスターは、そのことを何よりも証明している。
「ここからさらにエグゼクティブ仕様を極めた、例えば運転席はエアバスの最新鋭の飛行機のコクピット、2列目以降はルフトハンザのファーストクラスに乗るような仕様なんてどうかしら? プライベート・ジェットのようなスーパー・ラグジュアリー・モデルが現れたら面白いかもしれません。著名な芸能人、私の友人で乗り換える人が続出しそうです(笑)。私は、Vクラスに家族、親戚を乗せて、日本中を旅して回ってみたいですね」
PROFILE
パラダイス山元 / Paradise Yamamoto

1962年、札幌市生まれ。カーデザイナーを経て、東京パノラママンボボーイズを結成、ミュージシャンとしてメジャーデビュー。現在は会員制餃子レストラン「蔓餃苑」のオーナーシェフのほか、マン盆栽家元、グリーンランド国際サンタクロース協会公認サンタクロースなど、多岐に渡る活動を行っている。近著に『マン盆栽の超情景:ミニチュアと樹木のテーブルガーデニング』(誠文堂新光社刊)、『うまい餃子』(宝島社刊)、『デキる男とモテる女は、なぜ飛行機に乗るのか?』(ダイヤモンド社刊)がある。
ABOUT CAR
V-Class
広大な室内空間に機能性を極めたモダンで上質なインテリア。メルセデス最新のクリーンディーゼルエンジンを搭載し、セグメント最高水準の低燃費を実現。
Vクラスは「レーダーセーフティご購入サポートコース」対象です。