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『AMG DAY in SUZUKA CIRCUIT』レポート

photo:Shunsuke Mizukami
words:Yusuke Aoki

“究極のハイパフォーマンス”を追及するメルセデス AMG 設立50周年を記念し、AMGの魅力を存分に体験できるスペシャルなイベントが鈴鹿サーキットで開催された。このイベントはAMG、メルセデス・ベンツ、smart のオーナーを対象にしたもので、SUPER GT第6戦 インターナショナル SUZUKA 1000kmにあわせて、8月26日(土)の予選、27日(日)の決勝をピット上にある特設のAMGラウンジから観戦することと、28日(月)には『AMG DAY in SUZUKA CIRCUIT』として、メルセデス AMGの “ドライビング・パフォーマンス”をオーナー自身が国際レーシングコースである鈴鹿サーキットで体感できるというものだ。
特に『AMG DAY in SUZUKA CIRCUIT』では、自らのAMG車両によるフリー走行や、45シリーズや43シリーズでの隊列走行、現役レーシングドライバーやインストラクターが運転するメルセデス AMGに同乗し、ピークパフォーマンスを体験するサーキットタクシーといったコンテンツが用意され、メルセデス AMGの“ドライビング・パフォーマンス”を十分に体験ができ、かつメルセデス AMGの50周年を祝うにふさわしい祭典となっていた。

メルセデス AMGはいうまでもなく、メルセデスのハイパフォーマンスモデルの象徴だ。もともとは独立したチューニングブランドとして1967年にスタートし、その後メルセデスファミリーになってからは、レースで培われた技術を、市販車におしみなくフィードバックすることで世界にその名を知らしめてきた。だからこそ、日本のモータースポーツの歴史そのものである鈴鹿サーキットで、このイベントが行われた意味は大きいといえるだろう。

8月27日(日)のSUPER GT第6戦 インターナショナル SUZUKA 1000km 決勝当日。天気は、夏らしいこれ以上ない快晴。26日の予選を終え、メルセデス AMGチームは4位に「グッドスマイル 初音ミク AMG」、9位に「LEON CVSTOS AMG」、19位に「GAINER TANAX AMG GT3」、22位「エヴァRT初号機 Rn-s AMG GT」、29位「アールキューズ SLS AMG GT3」となった。AMGラウンジには、オープンと同時にお客様が続々と入場。観戦テーブルは、すぐに満席となった。テラスに出れば鈴鹿サーキットのホームストレートが一望でき、さらに眼下ではチームのピットの様子もしっかりとみることができる特等席だ。
ほどなくして、AMGラウンジではメルセデス AMG勢のドライバーたちによる挨拶が行われた。今日のレースにかける意気込みを語り、さらに記念撮影やサインに応じてくれた。そのおかげでラウンジに集まったお客様にもある種の一体感がうまれ、このあとの決勝に向けメルセデス AMG勢の応援にも気持ちが乗ってきたようだった。そして、ピットウォークがはじまる。憧れのドライバーのサイン会やそれぞれのチームの記念品のプレゼントなど、ファンにはたまらないコンテンツが提供されていた。各車ウォームアップ走行を終え、スターティンググリッドにつくと次はグリッドウォークだ。グリッドガールが華を添える各マシンの前でドライバーの表情や、なかなか見ることができないホームストレート上からの風景に気持ちが高ぶる。日本でもっとも人気のあるツーリングカーレース、SUPER GTが始まる期待がいよいよ抑えられなくなってくる。いっぽうラウンジではビュッフェ形式の昼食が供され、バルコニーは観戦するお客様でいっぱいになった。そして12時30分についに決勝がスタートした。

決勝レースは序盤からクラッシュが多発し、荒れ模様の展開。1000キロの長丁場だが、AMGラウンジはお客様を楽しませることを忘れない。ほどなくして「サービスロードツアー」が始まった。普段はドライバーさえも入ることはない、サーキットそばの連絡路をVクラスで周るのだ。運転するのは元GTドライバーや現役のプロドライバーたち。彼らが鈴鹿サーキットを解説しながら、普段見ることのできないレースシーンを間近に見れる体験は、とても貴重だったといえるだろう。

そして陽が落ちようという時間帯。9位スタートだった「LEON CVSTOS AMG」はラスト15分にして先頭を捉え、抜き去ると蒲生尚弥選手がステアリングを握る「LEON CVSTOS AMG」は、ついにトップに躍り出た。その瞬間ラウンジは拍手喝さいにつつまれ、この日一番の大きな歓声があがった。そのまま「LEON CVSTOS AMG」が1位でフィニッシュ。予選9位から優勝する大逆転劇に、AMGラウンジは大いに沸いた。

前日のSUPER GT第6戦決勝の興奮冷めやらぬままむかえた28日(月)は、いよいよ『AMG DAY in SUZUKA CIRCUIT』である。鈴鹿サーキットに続々とオーナー様のAMG車両が集結する。AMG 45オーナー向けサーキット走行会 「AMG 45 Driving Club」でもおなじみのCLA 45やGLA 45に加え、E 55 AMGやSLS AMG、さらに稀少なSL 65 AMGブラックシリーズが参加するなどAMG50周年にふさわしいラインナップとなった。

参加者が到着すると早々に車検に入る。メカニックがサーキットを走るための安全基準を満たしているかどうかチェックするのだ。タイヤの摩耗やブレーキパッドなど一台一台、入念にチェックを受ける。1Fピットには待合スペースが設けられ、前日、GT300クラスで優勝した「LEON CVSTOS AMG」のAMG GT3が、チェッカーフラッグを受けたそのままの状態で展示されている。その他にもAMGの創設者の一人であるエルハルト・メルヒャーによって開発された4バルブシリンダーヘッド搭載のエンジンを持つAMG 560 SEC 6.0(1991年式)や1971年のスパ・フランコルシャン24時間レースでクラス優勝した300 SEL 6.8(1971年式)などAMGの歴史を語る車両が展示されていて、参加者は記念撮影をしたり、AMG50年の軌跡が記されたパネルを眺めたり、思い思いの時間を過ごしていた。

そしてブリフィーングが終わると、いよいよ待ちに待った隊列走行が始まった。自分の車両で参加するグループとAMG車両を借りて参加するグループに分かれ、インストラクターに先導されて10分間を2本ずつ交互に走る。サーキットは、昨日のSUPER GT第6戦の余韻が漂い、ブレーキの跡などレース痕が残っている。そのなかを参加者自らの運転で走ることは、貴重な体験となったことだろう。普段はEクラスに乗っているという男性は、「素晴らしいです。乗りたかったC 63 AMGを鈴鹿サーキットで乗れて最高です!」と、満足そうな笑みを浮かべる。

一方東京から自分の94年式のW124型のAMGで参加された男性は隊列走行を終えると、柔らかい物腰で笑顔を見せた。「1、2周走れればいいって気持ちで参加しましたが、充分、満足できましたよ」。訊けばW124型にずっと憧れていて、4年前に購入。それ以来、大事にしながら20年選手のAMGを乗られてきたようだ。「これからもずっと乗り続けたいと思っているんです」。その笑顔に、このイベントの意義を見た気がした。

さらにフリー走行が始まり、あわせてプロドライバーによるサーキットタクシーもスタート。車両はC 63 S CoupeとMercedes-AMG GTに加え、AMG50周年イベントということもあり、SUPER GTに参戦した「グッドスマイル 初音ミク SLS」のサーキットタクシーも実施された。前日のSUPER GTで活躍された片岡龍也選手が駆るSLS AMG GT3に同乗した参加者は紅潮した表情で目を輝かせた。「レースではもっと凄いんでしょうね。ドンとブレーキを踏まれたかと思うとすぐに強烈な横Gがくる。あのGと暑さのなかで何十周も走るプロドライバーは本当にすごいですね」

また、サーキット以外でも様々なコンテンツが用意された。少し離れたGPスクエアでは、GTドライバーのタイムに挑戦する「カートチャレンジ」を実施。アドバンスカートに乗り気軽にモータースポーツを体験できるということだったが、結構な体感スピードに力が入った。3周のタイムアタックのチャレンジに大人から子供まで大いに盛況であった。ゲストラウンジでも、休憩中の参加者や同行されたご家族のためのアトラクションもにぎわいをみせる。レーシングシュミレーションゲーム「グランツーリスモSPORT」の試遊機が設置され、AMG GT3を駆り、鈴鹿サーキットを走るタイムアタックが行われた。GTドライバーのタイムが掲出され、そのタイムを上回れば記念品がもらえる。さらに隣にはPOLAの女性専用のハンドトリートメントコーナーがあり、丁寧なスキンケアとハンドトリートメントを受けて女性たち憩いの場になっていた。前日見事な優勝を遂げた「LEON CVSTOS AMG」の黒澤選手と蒲生選手によるGTドライバートークショーも盛況で、レースの作戦やドライバー心理などリアルな声を聞くことができ、興味深いものであった。終わると記念撮影をして思い出づくり。プレゼントをかけたじゃんけん大会も盛り上がりをみせ、ホスピタリティも抜群だったといえるだろう。

先立って行われた「AMG 45 Driving Club」にも参加していた男性は、笑顔で語る。「中山は中山で良かったけれど、鈴鹿はやっぱり良いですね。『カートチャレンジ』も面白かったし、様々なコンテンツがあって家族みんなが楽しめました」。そして今回、フリー走行にあたって前回の「AMG 45 Driving Club」でインストラクターに指摘された改善点を、ちゃんと反映できたことに満足したとのことだった。自分だけでなく、家族も楽しめ、あらためて自分がAMGファミリーの一員であることに気づく。各自が持ち帰るものはとても貴重なものだったに違いない。トークショーに参加していたGTドライバーの黒澤治樹選手はいう。「レースも普段も車に乗る目的は一緒なんです。早く、安全に目的地に着くこと。AMGはその点において唯一無二の存在だということを知ってもらいたいですね」

SLSで徳島から参加している女性の言葉が印象的だった。現在まで数々の車を所有しているけれどSLS AMGは「最後に乗る車」と決めて、いたく大事にしているという話だった。AMG 50年の歴史は、現在の24車種46モデルに脈々と受け継がれ、それを所有したオーナーひとりひとりの愛情の積み重ねでもある。その感慨深い日をセレブレートする場所として、鈴鹿サーキットは日本のモータースポーツを支えてきたという意味でAMGの50周年に、もっともふさわしい場所だったに違いない。実際にAMGの競技車両でレースを戦う競技者、そしてその車両を作るメーカー、そしてAMGへの愛情に満ちたお客様が一堂に会する。そして同じ時間と空間を楽しむこのイベントは、これまでの50年を記念するだけでなく、記憶にとどめ、AMGの次なる50年に向けた布石となるイベントであった。

黒澤治樹選手の感想:
今日は、AMGの50周年ということで色々な車が集まりましたね。貴重なところでは SL 65のブラックシリーズ。SL 65は知人が乗っていて運転した経験があります。他にもSLSを見て「懐かしいな、これでレースをしたな」と記憶が甦りましたし、AMGはそういった思い出のある車がたくさんあります。僕自身メルセデス・ベンツやAMGが大好きなので、この50周年は感慨深いものがありますね。AMGの一番の魅力は、メルセデスの世界最高峰の技術を一早く投入してくるところだと思います。例えばシャーシのアルミの接合があります。そういったモータースポーツで培った技術を惜しみなく市販車に取り入れる。それはメルセデスの真のすごさのひとつではないでしょうか。その意味では、自動車界のリーダーですよね。レーサーの立場でいうと、F1で大活躍している理由が全てだと感じます。スピードが速い車を造れることは、それに基づく理論を知っているということですから。

Mercedes-AMG 50周年スペシャルサイト

Day 1

AMGラウンジでは決勝レース前にドライバーの挨拶が行われた。記念写真やサインを求め長蛇の列。
ピットウォークの1シーン。LEON CVSTOS AMGチームも大盛況だった。
グッドスマイル 初音ミク AMGの谷口選手もサインに応じる。ウェイトハンデ100キロの戦いがこの後、待っている。
LEON CVSTOS AMG GT3の勇姿。ラウンジのテラスからも距離が近く、緊張感がそのまま伝わってくる。
ホームストレートを爆音とともに疾走するLEON CVSTOS AMG GT3。どのチームよりも先にピットに入り、追い上げる作戦が功を奏した。
グッドスマイル 初音ミク AMGのグリッドガールが華をそえる。それもまたSUPER GTの風物詩。
ラウンジのテラスの様子。ホームストレートを一望でき、眼下にはピットがあり、各チームの様子をうかがえる特等席。
ブッフェは和食洋食にくわえ、デザートも充実。レース観戦しながら心ゆくまでゆっくり食事を楽しめた。
サービスロードツアーはVクラスがエスコート。レーシングドライバーが運転し、鈴鹿サーキットの特徴や貴重なエピソードを話してくれた。
サービスロードツアーの車内からの眺め。すぐ近くを走るGTカーに息をのむ。
AMGラウンジ内に設置された「グランツーリスモSPORT」は子どもたちに大人気! つねに歓声が響いていた。
AMGラウンジでは、POLAのハンドトリートメントも実施。化粧水でたっぷり保湿してから心ゆくまで癒してくれる。
Mercedes-AMGとモータースポーツの歴史をまとめたボードは、50年の歴史は読み応え十分。
グッドスマイル 初音ミク AMGとGT500クラスのレース中の1シーン。SUPER GTの魅力は性能差のある車両が混在して走るところにある。
AMGラウンジ内に多数設置されたモニターで戦況を見つめる。画面の向こうでは手に汗にぎるバトルが繰り広げられている。
LEON CVSTOS AMG GT3の優勝のチェッカーフラッグが振られた瞬間、チーム関係者と抱き合う黒澤治樹選手。
表彰台でトロフィーをかかげる黒澤選手と蒲生選手。熱く長い戦いのときは終わった。

Day 2

受付時間になると続々と参加者が来場。スタッフの説明を聞きながら一日の流れを把握する。
スタッフにヘルメットの装着の仕方を教えてもらう。サーキット走行は、安全のためヘルメットが必須。
サーキット走行前に車両点検をするメカニック。タイヤの溝の深さとブレーキパッドのすり減り具合をみる。
ドライバーズブリーフィングではメルセデス・ベンツ日本代表取締役社長、上野金太郎より参加者に挨拶。この日の思いのたけと参加者の安全を語った。
サーキット走行での注意などのドライバーズブリーフィングにはひときわ熱が入る。走行される参加者もご家族も真剣に聞き入っていた。
様々なメルセデスAMGが集結。隊列走行にむけてサーキットへ移動が始まると、参加者にもスタッフの表情にも緊張がはしる。
先導車を担当するインストラクターの谷口信輝選手。レースと同様の集中した表情。
サーキットタクシーに乗り込み、昨日まさにレースが行われていたサーキットへ。非日常の扉はもうすぐだ。
待合ピット前ではMercedes-AMG GT Rの車両説明が行われた。AMGのフラッグシップモデルだけあって、参加者の関心も高い。
隊列走行を待つ参加者とAMG。車窓越しにも緊張感が伝わってくる。
AMG50周年のスペシャルステッカー。今回用意されたAMGモデルにはすべて貼られていた。
一定の間隔を開けつつ、コーナーを走る。安全のためインストラクターによる走行アドバイスを聞きながらの隊列走行。
ホームストレートは、参加者にとってAMGのポテンシャルを体感できるスポットだ。
ひときわ人気の高かったMercedes-AMG GTのサーキットタクシー。マグネタイトブラックのカラーリングが車両のキャラクターに一致していた。
当日のインストラクターもつとめた黒澤治樹選手。昨日のレースとは打って変わって穏やかな表情でスタッフと談笑。
サーキットタクシー出発直前に期待と緊張感が漂う。 “究極のハイパフォーマンス”を体験する。
中谷チーフインストラクターより、フリー走行の説明を受ける参加者。ホームストレートのみ追い越しOKには歓声があがる。
フリー走行は1グループ5台程度で走行。走行と休憩を交互に繰り返す。
鈴鹿サーキットを疾走するMercedes-Benz SLS AMG。571馬力をフルに解放できる歓びはまたとないはず。
美しいAMGグリーンマグノのMercedes-AMG GT R。その姿に、参加者たちの注目も集まった。
サーキットタクシーとして、4人乗ってもフルパワーで疾走するMercedes-AMG C 63。参加者たちは存分にその走りを堪能しただろう。
ホームストレートに入る直前のSLS AMG。 “究極のハイパフォーマンス”を体感できる瞬間。
昨日のレースのタイヤ痕だろうか。まだSUPER GT決勝の余韻が残るサーキットを走るという貴重な体験。
ゲストラウンジ前のバルコニーには走行を見守る同伴の方々の姿。写真や動画に残してやがてAMG DAYに集まった参加者全員の記憶に残るだろう。
GTドライバートークショーには昨日GT300クラスで優勝した黒澤選手と蒲生選手が登場。熱戦の模様を笑顔で振り返った。
GTドライバートークショー後のインストラクターのサイン入りキャップがあたるじゃんけん大会では、参加者も選手も大いに盛り上がった。
当日はメルセデス・ベンツコレクションのグッズ販売も行われた。写真は本革のキーカバー。
AMGモータースポーツの歴史をまとめたパネル。参加者にとっては自らの車両がこの歴史の点のひとつであることを認識されるにちがいない。
待合ピットにはAMGのヒストリックカーと昨日優勝したAMG GT3がレースの余韻が残るままで展示され、記念撮影やオーナー同士談笑する姿が見られた。
たくさんのAMGモデルがAMG DAYのために集結し、展示されていた。
先導するグループの参加者と会話する黒澤選手。コース上で気をつけなければいけないポイントなどをアドバイスする。
GTドライバーのタイムに届かなくても、クルマ好きならその魅力のとりこになるカートチャレンジ。
コントローラーを握ると走りだすスロットカー。お子様にも大人にも大人気だった。
「グランツーリスモSPORT」でタイムアタックに挑戦する参加者。リアルなグラフィックに自然に笑顔があふれる。
女性限定のPOLAハンドトリートメント。日ごろの疲れを癒すこともでき、同伴された女性にとっては嬉しいサービスとなった。

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