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冒険家マイク・ホーンと行く、Gクラスの砂漠旅 in オーストラリア part2

旅の様子を日々発信する夫婦ユニット「旅する鈴木」が、世界的な冒険家マイク・ホーンと共に、猛暑のオーストラリアにある砂漠へ。その貴重な旅の記録を、前後編の2回にわたり、映像と写真・文章でレポートする。

part1はこちら

旅は続く

出発前にもらった旅程表の通り、2日目も3日目もただただ砂漠を走り続けた。ただ、どこまで走っていても、全く飽きないのだ。飽きるどころか、砂漠の悪路に慣れてどんどん楽しなってくる。道中ほぼヨメが運転をしていたのだが、彼女は「砂漠をものにした!」と言い張るほど上手に砂丘を乗り越えるようになり、デフロックを使いこなし、加速減速もうまいことやり、車自体の揺れも減っていた。助手席に乗ったマイクが恋愛話の途中に褒めてくれたのを聞いて、嬉しそうな顔をしていた。しかし、初心者のヨメでもこんな悪路を簡単に進めてしまうのは、間違いなくGクラスの力だ。この悪路でこの安定感は、さすがとしか言いようがない。しかも初心者の運転でだ。凄さを肌で感じる日々だった。

たまにアクシデントは起こった。まず、大事な大事なワインが2本割れた。その時の、その場に漂った悲しい空気は忘れられない。そして、マイクと同行カメラマンのアレックスのドローンがそれぞれ墜落した。その後しばらくマイクは一言も喋らなかった。あと、他のGクラスが最後まで給油をしない中、僕らのGクラスだけがガス欠になった。ノリノリになりすぎたヨメがアクセルを踏みすぎたのだった。「ビッグプロブレムだ」と助手席のマイクがニヤニヤ言うが、Gクラスのトラックに積んであった予備燃料で事なきを得た。ヨメはメカニックの方々に平謝りしていた。

旅の終わりへ

僕らの最終地点、“Dalhousie Springs”は、温泉が湧いているオアシスだ。実は今回の企画は2グループに分かれていて、僕らはここからエアーズロックへ向かう次のグループと交代する。Gクラスとの、お別れの地だ。砂埃の果ての3日目の日暮れに到着した一行は、テントを張るのも忘れて3日ぶりの風呂に飛び込んだ。深緑の湖の水は、ぬるめのお風呂ぐらいの温度。周りを見たこともない鳥が周りを飛び交い、夕日に照らされた木々が静かに揺れる。浸かりながら、旅のみんなと口々に旅の感想を言い合った。

心から楽しかった。二度と出来ない、素晴らしい体験だった。皆はそう口々に言う。

確かに、数百キロの砂漠の旅は、最高だった。砂漠はこの世とは思えないほど広大で美しかった。幾つの砂丘を超えたのか、もはやわからない。マイクを筆頭に旅の仲間は、素敵な人ばかりだった。そして何よりも頼もしかったのは、やはりGクラスだ。今回の旅で、ヨメがガソリンを切らした以外、パンクもスタックもなく、車の問題は一度もなかった。あれだけ過酷な走りをしたにもかかわらずだ。これだけ楽しめたのは、Gクラスのおかげに他ならない。お湯の湖のから出ると、いつの間にか、太陽は地平線の彼方に沈んでいた。

翌朝、Dalhousie Springsから少し走って、僕らは“mt Dare”という土地へ向かった。一軒のホテルと砂利の滑走路があるだけの場所だった。すでに到着していたチャーター機の真後ろまで乗り付け、この後も旅を続けるマイクと別れを言い合う。相変わらず彼の握手は力強く、ヨメは抱きかかえられて振り回されていた。またぜひ日本で会う約束をし、皆ともお別れをし、僕らは飛行機へ乗り込んだ。外が良く見える座席を陣取る。窓の外を、並んで砂埃をあげながら、Gクラスたちが走り去って行くのが見えた。

7台のGクラスが並ぶと、ものすごい迫力だ
今回の旅の仲間たち。本当に素敵な人ばかりだった。またどこで必ず会おうと約束して別れた
Gクラスは本当に頼もしい。それを一番感じていたのは、四駆初心者のヨメだと思う
ランチタイム。朝食と一緒にシェフが作ってくれるのはラップ。オーストラリアの定番ランチなのだそう
砂漠での走行は窓を開けられない。終始砂埃でいっぱいなのだ
車の上は気持ちがいい。マイクは僕らのGクラスに、走行中に乗った。さすがの冒険者だが、落ちて来やしないか僕らはハラハラだった
どこまでも続く地平線。オーストラリアの大地
太陽が沈む時が、宿泊地への到着の時
テントを張ると、まずはみんなで乾杯。ビールもワインも飲みきれないほど積んである
砂漠の星はとんでもなく綺麗。いくつも流れ星を見た
旅が終わってしまうのが、本当に寂しかった。素敵な体験だった
マイク・ホーンという人は、素晴らしい人だった。短時間だったけれど、たくさんのことを学ばせていただいた

 

PROFILE

マイク・ホーン / Mike Horn

Mike Horn

冒険家。1966年ヨハネスブルグ生まれ。1997年、アマゾン川7000kmを自力で下る冒険を皮切りに、人力のみの赤道世界一周、原住民と同じ生活をしながらの北極圏2万キロ航海、8000m級峰の無酸素サポートなし登頂など、数々の冒険を達成している。現在、Pole2Poleという南極点と北極点を経由して地球を縦に周回するプロジェクトを行なっている。また、フランスの二つのテレビ番組「À l’état sauvage」「The Island」のプレゼンターを務め、どちらも高視聴率番組として人気を博している。

旅する鈴木 / TravelingSUZUKI

TravelingSUZUKI

ヨガ講師の“ヨメ”鈴木聡子と、映像作家の“ダンナ”鈴木陵生による旅夫婦ユニット。2011年より東周りで世界一周新婚旅行を始め、アフリカ縦断、エベレストベースキャンプまでの登山、インドでのヨガ修行などを経て、6年経った現在も未だ続いている。旅の様子を伝える映像ブログ「旅する鈴木」が、第18回文化庁メディア芸術祭の推薦作品に選出。KADOKAWAより映像作品集「World Timelapse」(DVD/Blue-ray)、いろは出版より「Ta bird books」シリーズが販売中。


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