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EQCの開発責任者が語る、CASE時代を象徴する新しい電気自動車の開発とは

photo:Tatsuya Ozawa
words: Taichi Fujino

ダイムラーAGで多くのモデルのチーフエンジニアを務め、EQCの開発責任者という立場にあるミヒャエル・ケルツ氏に新しい電気自動車の開発ストーリーを尋ねた。

メルセデスひと筋32年、ミヒャエル・ケルツ氏は、現在、すべてのモデルの開発ディレクターであり、Eクラス、CLS、Cクラス、GLCの開発責任者を務める、ダイムラーを代表するエンジニアの一人だ。

EQCの開発責任者が語る、CASE時代を象徴する新しい電気自動車の開発とは

ミヒャエル・ケルツ●1987年からメルセデス・ベンツに加わり、エンジニアとして数多くの車両に携わってきた。現在はEクラスやCLS、GLC、Cクラス、そしてEQCの開発責任者を務める。2014年にスタートしたEQCのプロジェクトは、従来のスタイルとは異なる開発チームを結成することから始まった。

そしてEQCの開発責任者として新たな電気自動車(EV)をまとめあげた人物でもある。メルセデス・ベンツ初の電気自動車であるEQCの開発が本格的にスタートしたのは2014年のことだった。

「2009年に新しい後輪駆動のアーキテクチャーを作ったときに、EVについて検討をはじめました。しかし、当時はまだ早いという判断がくだされました。2014年に電気自動車と燃料電池車のGLC F-CELLのコンセプトデザインができたことで取締役会にEVの開発を提案して、プロジェクトのゴーサインが出たのです」

EVをSUVにすることは開発当初から構想としてあったという。

EQCの開発責任者が語る、CASE時代を象徴する新しい電気自動車の開発とは

「EVの世界的なマーケットや市街地での使い勝手、技術面などを考慮したときに、ミッドサイズのSUVにすることが、もっとも汎用性が高く、応用範囲も広いという結論に至りました。そこでGLCをベースに開発しようと決めたのです」

最初に着手したのは、従来とは違うやり方で開発チームを編成したことだった。

「クルマの開発は通常であれば、パワートレインやエクステリア、インテリアと分業で動きます。しかしEVはバッテリーやモーターなど新しいコンポーネントがあって、それぞれが互いに大きく影響します。したがってできるだけ緊密に連携をとって進めていく必要がありました。まずスマートの電気自動車などで経験を積んだエキスパートを集めてひとつのチームにまとめて、開発スピードを上げるために可能な限り統合し、従来よりもコンパクトなチームとしました」

内燃エンジン車とは異なる電気自動車の開発を手掛けるにあたって、車両のパッケージングや重量増、衝突安全性、そして生産性など課題は山積みだった。ケルツ氏は振り返る。

「モーターはトルクの立ち上がりがとても速いため、トルクを前後に配分するシステムやESPの制御はとても難しいものでした。ブレーキ性能もより強化しています。冷暖房に関してはエネルギー消費を抑えて航続距離を伸ばすことが可能なヒートポンプ式を採用するなどしています。そして生産は、GLCなどを作っているドイツ・ブレーメン工場で行っています。内燃エンジン車と混流生産することで、需要に柔軟に対応し、工場の生産能力を最大限に活用できます」

EQCは前後アクスルにそれぞれ1つずつ、計2つのモーターを搭載。2つのモーターをあわせた最高出力は408PS (300kW)、最大トルク765Nmを発生する。前後アクスル間のフロア部分に80kWhの高電圧バッテリーを搭載し、WLTCモードでの航続距離は400kmを実現。6.0kW までの交流普通充電と、50kWまでの直流急速充電(CHAdeMO規格)にも対応しており、国内販売については、全国約 21000 基での充電利用料及び月額基本料を1年間無料とするサービスも付帯している。

ケルツ氏に、内燃エンジンをもったメルセデスとEQCのドライブフィールはどのように違うのか尋ねてみた。

「乗り心地やステアリングフィールなど、EQCでも典型的なメルセデスのドライブフィールを味わうことができます。メルセデスのことをよくご存知の方であれば、EVでもあっても(我が家に戻ってきたような)ウェルカムホームといった感覚を得ることができると思います。そしてEVであることの大きなメリットの1つに静粛性があります。それが快適性を最大化しています。さらにもちろんスポーティさも忘れてはいません」。

最後に初めてメルセデスのEVの開発を手がけたことに対する想いを聞いた。

「エンジニアとして、いい仕事ができたと感じています。しかし、常に決して満足しない、改善の余地はあるとも思っています。1つをやり遂げれば、次の挑戦が見えてくる。EQCに関しては、進めながら次の改善点が見えてきた場面がいくつもありました。最初に決めたビジョンや1つのスペックに縛られることなく、『The Best or Nothing.(最善か無か)』を一番に考えながら、追求を続ける姿勢はエンジニアにとって大切な能力だと思います。EQCには、このタイミングにおいて最先端のものを盛り込むことができた、と自負しています」

EQC

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