やちむんの里で出会った夫婦と、益子で再会

三宅さんが沖縄の焼物「やちむん」と出合ったのは、今から20年以上前。ミッドセンチュリー家具を中心としたライフスタイルショップ「モダニカ」に勤めていたときのことだった。
「沖縄に行った際、店のスタッフたちに土産感覚で買って帰ったのが最初でした。日本人って、家具がどんなに欧米のスタイルでも、結局はお箸を使ってご飯と味噌汁を食べるわけじゃないですか。だからライフスタイルの中に日本の民芸をミックスしたら面白いかも、と思い立ち、店で扱うようになったんです」

三宅さんが営むショップ「58」で販売されている陶器たち
以来、三宅さんは窯元が集まる読谷村の「やちむんの里」に通いつづけ、現地の窯元と関係を育んできた。現在自身が営むショップ「58」では、約20の工房と付き合いがあるという。
「やちむんは、沖縄では日常使いの器。『視点を変えてみると絶対面白いと思うので!』と僕らがいくら言っても、職人さんたちは『民芸店で売る物だから』と最初はなかなか理解してもらえませんでしたね」


中でもよく通っている窯元のひとつが、横田屋窯(ゆくたやがま)。今日訪ねるキマノ陶器は、そこの弟子だった夫婦が益子町で開いた窯だ。
「独立してからは初めて会うので、楽しみにしていたんですよ。長距離運転は不安でしたけど、走りに安定感のあるSクラスは疲れをまったく感じさせませんね。ここまであっという間でした」
伝統を継承しつつ、独自に昇華させたやちむん


キマノ陶器があるのは、益子の中心地からは少し離れた里山のふもと。木間伸哉さん、彩(ひかり)さん夫妻が広い敷地に建つ日本家屋と工房を購入し、2020年秋に開窯した。「素敵な工房ですね。張りの造りに沖縄の雰囲気をちょっと感じます」と三宅さん。キマノ陶器はどんな窯元なのだろうか。
「沖縄で学んだことをそのまま表現するのではなくて、色使いや柄の入れ方をアレンジしながら、2人の新しいスタイルを追求していると僕は感じます。僕は彼らの師匠のこともよく知っているから、その雰囲気が残っている感じもすごく分かるんだけど、ちゃんと2人のオリジナリティがある。ミックス感が格好いいですよね」
伸哉さんが次に続ける。
「そう言ってもらえると嬉しいですね。益子の土にもようやく慣れてきて、僕らの作りたいものが形にできるようになってきました。強く意識しているわけではありませんが、心掛けているのは無国籍な雰囲気。器の形も沖縄の伝統的なスタイルとは少し変えていて、一般の人が使いやすいよう、和にも洋にも寄りすぎない、オリジナルに近い形を取り入れているんです」


ガス釜の前に無造作に並べられた器を眺めながら、三宅さんは終始楽しそうな表情を浮かべている。
「僕は陶器が醸し出す独特の力強さがすごく好きなんですけど、特に“釉がけ”といって、筆で書くのではなく、釉薬を掛けて表現した柄に惹かれます(写真左)。そしてこの唐草の柄の器(写真右)。コバルトブルーが良い発色していますよね。沖縄では対面で2方向から入れられることの多い柄なのですが、3方向から入っていて。こういうところがオリジナリティのある雰囲気を生み出しているんでしょうね。すごく気に入りました」
直感的に肌で感じる、Sクラスの凄み

久し振りの再会を喜び、話が尽きない三宅さん。傍らには、今日、ここまで乗ってきたS 580 4MATIC longが佇んでいる。最後に、自身の休日にSクラスを取り入れた感想を聞いた。
「器を見るときに何を一番気にするかというと、インスピレーションです。説明だけいろいろ聞いてもダメで、ピンとくるモノしか僕の店では仕入れません。バイヤーとして、グッとくる直感を重要視しています。これはどんな場面でも僕の人生では大切にしていること」
その点、S 580 4MATIC longは、見た瞬間、乗った瞬間に伝わってくるものがあったという。
「高度な技術や手間暇が掛かっているんだけど、それがトータルで伝わるものにまとめ上げていることが、最も魅力的に感じました」

モデルやバイヤーなど、様々な経験の中で審美眼を磨き続けてきた三宅さん。上質とは、美とは何かを知る彼だからこそ、その目にはSクラスの魅力が一層輝いて映る。東京から約140km、益子町までメルセデスが運んだ縁は、この先、きっと新たな芽を生み出してくれるに違いない。
ABOUT CAR
「世界の自動車の指標」と評されるメルセデスのフラッグシップセダン。全長5,290mmのロングボディに3982ccのV型8気筒ガソリンターボエンジンを搭載し、370kW(503ps)の最高出力と700Nmの最大トルクを発揮。メルセデスが提案する新時代のラグジュアリーを体現。