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FRONT RUNNER -#5【後編】

漫画家・鳥飼茜、EQAと再訪する思い出の地

photo: Yui Fujii(Roaster)
words: Takeshi Sato
direction: Hajime Sasa(Roaster),
Narumi Amano(Roaster)

様々な分野の先頭を走り活躍するメルセデスオーナーが、自身の原点となるスポットを巡る本連載。今回は『サターンリターン』を好評連載中の漫画家・鳥飼茜さんが登場。後編では、ロケ地として神奈川県の東扇島を選んだ理由からスタートし、鳥飼さんの創作活動に切り込んでいく。

FRONT RUNNER -#5【前編】 漫画家・鳥飼茜はこちら

自分が見た景色や体験したことを総動員して描いています

鳥飼茜/Akane Torikai

今回のロケ地に神奈川県の東扇島を選んだのには理由がある。『ビッグコミックスピリッツ』で好評連載中の『サターンリターン』において、東扇島を舞台に重要なシーンが描かれたからだ。ちなみに漫画のあらすじは「30歳になるまでに死ぬ」と学生時代に断言していた友人の死をきっかけに、小説家の加治律子は担当編集者である小出とともに、彼の死の真相に迫る、といった内容。全体を通して心をえぐるようなシリアスさが散りばめられていて、次のページをめくる手が止まらなくなるのだ。
今回、第二巻で描かれた東扇島で撮影を行い、作品についてのお話を訊くことで、鳥飼さんのインスピレーションがどこから湧いてくるのか、知りたいと考えた。

夜の東扇島は、まるで工場が生きているかのようだった

鳥飼茜/Akane Torikai

初めて東扇島を訪れたのは、旦那さんである漫画家の浅野いにお氏とのドライブだったと鳥飼さんは振り返る。
「旦那さんも私と同じ時期に運転免許を取得したんです。彼は運転が好きで、ちょっと遠くの海があるところへ行こうということになりました。夜に見る東扇島は面白い景色でしたね。海鳴りと工場の音が混じりあって、煙突からは時々火が出て……まるで工場が生きているように見えたんです。連載をしているとき、どこかに行くと『ここは作品に使えないか』と常に考えてしまうんですが、東扇島に行ってからこの場所を描きたいと創作意欲が沸いてきました。この場所が生きる展開ってなんだろうって考えながら漫画の構成を立てたんです」

クルマに乗るようになったから、あのシーンは生まれた

鳥飼茜/Akane Torikai
鳥飼茜/Akane Torikai
鳥飼茜/Akane Torikai

東扇島が登場したのは第二巻。主人公である小説家・加治理津子が夫の野田一史と語り合う、物語の重要なシーンだ。二人以外には誰もいない、静寂な空間として描かれる夜の東扇島はどこか神聖な場所にも思わされる。ストーリーが大きく転換するあの場面は、こうした背景から生まれたのだ。ということは、鳥飼さんとご主人がクルマに乗る生活を選んでいなかったら、あのシーンは生まれなかったことになるのだろうか。
「そうですね、主人公が免許を取り、初めてクルマに乗る際味わうスリルや情景も、私自身同じ経験をしたからこそ描くことができました」

鳥飼茜/Akane Torikai 

第二巻で描かれた夜の東扇島の風景。海を挟んだ向こう側に広がる工場地帯が重々しく描かれている

鳥飼茜/Akane Torikai 

漫画で描いた場所に佇む鳥飼さん

新しい経験をしたら、それを作品に入れないと気が済まない

鳥飼茜/Akane Torikai

「刺激的な体験や特別な経験をしたら、それらを極力作品に落とし込むように心がけています。漫画家としてのバリエーションが広がるし、読んでいる人も絵に変化が生まれて楽しいですしね」。自身の体験を総動員して漫画を描くという鳥飼さん。免許を取ってGLAに乗るようになったことは、創作活動にも大きな影響をおよぼしているようだ。

鳥飼茜/Akane Torikai

鳥飼さんには、パソコンではなくアナログで描くこだわりについても伺いたかった。デジタルで描くことも試したことはあるのだろうか?
「以前はやったことがなかったですね。でも、ポリシーがあってアナログで描いているのではなくて、免許を取るのが遅かったことにも通じるんですが、新しいものや新しい技術を身につけることが実は苦手なんです……。ピアスを開けたのも37歳になってからだったし、LINEを始めたのもここ3、4年くらい(笑)」

鳥飼茜/Akane Torikai

「みんなが当然のようにしていることに抵抗感がある」「新しいものを受け入れるのが怖い」と鳥飼さんは語るが、こういった感性が常人には思いつかないようなストーリーや画風を生み出すのかもしれない。
「周りにはデジタルで描く人が多いので、何回かトライしようとしましたが結局ダメで。諦めていました」と笑いながら語っていたけれど、最近になって変化の兆しがあるという。

クルマと同じように、時代の流れも慣れ親しんでいきたい

鳥飼茜/Akane Torikai

「最近iPadで趣味のイラストを描くようになって。初めて新しいものが怖いという気持ちよりも、チャレンジしたいという欲の方が上回ったんです」
さらには、コロナ禍も鳥飼さんがデジタルと向き合うきっかけになったという。
「さすがにリモートワークでアシスタントさんにも来てもらえなくなりました。だから、私がペンで描いてスキャンして、それに合わせてアシスタントさんが背景を描きます。本当だったらこのふたつをパソコンの画面上で合わせれば完全にデジタルで完結するんですけど、アシスタントさんが描いた背景を私がGLAで回収に行って、最終的に紙で修正していますね(笑)」

鳥飼茜/Akane Torikai

これまでアナログにこだわり続けた鳥飼さんだったが、今ではご自身のペースでデジタルにシフトするようになった。
「iPadでイラスを描いていると、自分が億劫がっていたものが意外とこんなもんかって。免許も同じで最初は怖いけどやってみたら意外とやれるもんだなって思いますね」

鳥飼茜/Akane Torikai
鳥飼茜/Akane Torikai 

取材陣を歓迎してくれた鳥飼さんの愛犬モーグくん

新しい情報やモノに溢れ、短期間で目まぐるしく変化する昨今。何を信じて何を試したら良いのか分からず混乱して自分自身を見失うこともあるだろう。かたや、鳥飼さんは新しいものを自分のペースで丁寧に噛み砕きながら少しずつ慣れ親しんでいる。そんなマイペースな彼女だからこそ新しいものに触れたときに感じる新鮮なインパクトを作品にもストレートに投影することができるのではないだろうか。

もしかすると今回、最新の電気自動車であるEQAを体感したことで、彼女の作品に新しい風が吹き込まれるのかもしれない。

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PROFILE

鳥飼茜/Akane Torikai

鳥飼茜/Akane Torikai

大阪府出身の漫画家。京都市立芸術大学に在学中に描いた漫画が賞を受賞したことがきっかけで、2004 年に講談社の漫画雑誌で漫画家としてデビュー。『おんなのいえ』や『先生の白い嘘』、『漫画みたいな恋ください』など、ヒット作多数。『地獄のガールフレンド』はドラマ化され、加藤ローサが主役を演じた。『サターンリターン』の最新刊(5巻)は小学館より発売中。

鳥飼茜/Akane Torikai

『サターンリターン』
最新刊5巻発売中
https://www.shogakukan.co.jp/books/09860314

ABOUT CAR

EQA 250

持続可能なクルマ社会を実現するために、メルセデス・ベンツが新たに立ち上げた電気自動車ブランド「Mercedes-EQ」。EQAは、メルセデスの100%電気自動車であるEQCに続く第2弾となる、小型電動SUV。排熱のための網目がないブラックパネルグリルやテールライトがシームレスに繋がった背面など、先進的なデザインを纏う。機能面では、電気自動車ならではの高い静粛性に加え、メルセデスの特長である高度な操縦安定性、品質などをさらに高いレベルで実現。ドライバーの安全運転を支援するサポートシステム、レーダーセーフティパッケージを標準装備する。

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