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ゴットリープ・ダイムラーが残した功績──メルセデス・ベンツと自動車のはじまり

words: Kohei Kawakami


direction: Narumi Amano
(Roaster)

メルセデス・ベンツの知られざる歴史やウンチクをお届け。今回はメルセデスの誕生に大きく関わり、歴史に名を残した人物「ゴットリープ・ダイムラー」の偉業について紐解いていく。

自動車誕生前史。ダイムラー・ベンツが自動車に着目するまで

ゴットリープ・ダイムラーは、1834年3月17日にドイツの田舎町ショルンドルフで生まれた。家は代々パン屋を経営していたが、幼い頃から機械に興味を持っていた彼は中等学校を卒業すると地元の銃工職人のもとで金属加工の基礎を学んだ。その後、機械加工を学ぶため工業専門学校に入学。さらにフランスやイギリスへと渡り研究に没頭していった。

その頃から彼は、当時の長い移動時間と限られた交通手段のなかで、世界を変える発明品について考えるようになった。後日彼は「私は当時、夏の混雑した鉄道に嫌気がさしていました。その長い移動時間は自動車について考えさせられる時間でした」と語っている。

ダイムラーの手によって生まれた新たな動力源

世界初の四輪自動車「ダイムラー・モトールキャリッジ」

世界初の四輪自動車「ダイムラー・モトールキャリッジ」

1885年、ゴットリープは二輪車に取り付けたガソリンエンジンを発明し、特許取得に成功した。現在、世界初のオートバイとしても知られている大発明である。翌年、そのエンジンは駅馬車とボートにも取り付けられた。駅馬車とは世界初の四輪自動車のことで、今日では「ダイムラー・モト―ルキャリッジ」と呼ばれている。

変革の時代を生きた天才技術者

ゴットリープ・ダイムラー。享年65歳

ゴットリープ・ダイムラー。享年65歳

自動車のパイオニアであるゴットリープが、実際に自動車そのものを販売するのは晩年の1892年だった。この頃、日本は第二次伊藤内閣の明治時代。クルマと言えば人力車や大八車が走っていた時代だ。当然、自動車は存在すらしていないことを考えれば、いかにドイツが時代の先を走っていたのかがわかるだろう。
1900年、ゴットリープ・ダイムラーはこの世を去る。奇しくもこの年の12月、低重心のスチールフレームにハニカム・ラジエーターと4気筒5.9ℓエンジン、多段ギアのトランスミッション等々、今日のクルマの原型とも言える「メルセデス35PS」が誕生している。

ダイムラー・ベンツの哲学は今もメルセデスのなかで生き続ける

メルセデスのブランドロゴである「スリー・ポインテッド・スター」は、ダイムラー社の活動が陸・海・空に亘ることを示している。ダイムラーは自動車のみならず、船やレール・カー、気球、飛行船などへも自身が開発したエンジンを応用した。その歴史は現在のメルセデス・ベンツのブランドロゴにも残っている。
“Das Beste oder nichts(最善か無か)”。これはゴットリープの口癖と言われ、メルセデス・ベンツの企業理念である。最高水準のクルマをつくるためには、決して安易な妥協はしないという意味だ。先進的な技術を生み出すために最善を尽くし、完璧を目指す強い意志は、世界初の自動車を生み出した彼の人生そのものと言える。ゴットリープ・ダイムラーの意志と情熱は脈々と受け継がれており、今後も変わらず生き続けていくだろう。

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