
極上のスパイスを探しに、生姜専門店へドライブ
初回は旬の魚や野菜を求めて鎌倉へ。前回は最高のBBQ術を学ぶべく軽井沢を訪ねた、ビームスのコミュニケーションディレクター・土井地博さん。今回は、土井地さんと同じ職場、ビームスの宣伝統括本部で働く、関根修二さんにカレーの指南を仰ぐ。
もともと関根さんは大の料理好きで、4年ほど前からカレーの魅力にどっぷりとハマり、スパイスを買い集めて試行錯誤を繰り返し、半年ほど前にようやく自身が納得する味のカレーを完成させたという。そのカレー愛好ぶりはビームスでも話題になり、1カ月ほど前に社内のパーティーでも振る舞われ、大好評を博した。
「生姜はカレーには欠かせないスパイス。何より味噌汁に入れるぐらい、僕が『生姜ラー』だから今日はこだわりますよ」と話す関根さん。新型のAクラスに土井地さんと関根さんは乗り込み、極上の生姜を求め、埼玉にある専門店へと向かった。
「ハイ、メルセデス」、「どうぞお話しください」。車内に響く土井地さんの声と自動音声。新型Aクラスならではの最新機能、MBUXをさっそく活用。話しかけるだけで起動し、「近くの駐車場を探して」などの呼びかけでカーナビの操作、「今日の天気教えて」などの質問で天気予報の情報をレスポンスし、さらに「ちょっと暑い」などのリクエストで、車内の温度や照明などの環境設定の機能も簡単に使いこなせるのがうれしい。
ハンドルを手にした土井地さんはサングラスをセット。「スタンダードな形のayameの『ATMOS』は僕の中の定番。丸みを帯びたMOSCOTの『LEMTOSH』やRay-Banの『Round アセテート』などは、来年ぐらいにまたブームが来ると思うから、先取りしてます」(土井地さん)。サングラスはドライブの際には常に2、3本は持ち歩く、必須のアイテムだという。

カレーに最高に合う生姜をゲット! ついでにスイーツも満喫
集合場所のビームス本社のある原宿から一路、埼玉県の戸田へ。首都高から中山道に入り、約30分のドライブだ。Aクラスには新開発の高機能なエンジンを搭載している。「加速がスムーズだし、車体がコンパクトだから操作もしやすく、爽快な乗り心地」と、土井地さんの気分も上々だ。
関根さんがリサーチして発見した、中山道沿いにある生姜専門店「GINGER FACTORY 戸田支店」は、熊本出身のオーナーが地元の無農薬栽培の生姜を広めたいと開いたお店。店内には生姜そのもののほか、その生姜を使ったジンジャーシロップや生姜チップスなどの加工品がずらりと並び、さらにジンジャーエールや生姜を使ったプリンやアイスなどもその場で味わうことができる。

「土っぽい香りとピリッとした辛味がある生姜はカレーのベースの風味を形作るため重要なんです」と話し、茶色く色付いた根生姜を手に取る関根さん。「すりおろした生姜をたっぷり使うのが僕のカレー。炒めながら水分を飛ばすことを考えると、収穫した後に貯蔵庫で寝かせ、程よく水分が抜けた根生姜の方がベターでしょうね」(関根さん)。
店では熊本産以外に、名産地の高知県の生姜も取り扱っている。「熊本産は香りや苦味が濃く、高知産はジューシーで辛味が強い傾向があります」という、ショップスタッフさんの説明を興味津々の顔で聞く二人。今回はより水分が抜けているという、高知産の根生姜を選んだ。
買い物をしながら、ジンジャーエールに生姜プリンとアイスまで堪能した土井地さんと関根さん。求めていた、香り高い上質な生姜を手にお店を後にし、都心へとクルマを走らせた。
店舗紹介
GINGER FACTORY 戸田支店

http://ginger-factory.net/
ADDRESS 埼玉県戸田市下前 2-12-9-1F
TEL 048-483-4146
営業時間 午後~17:00(不定)
定休日 不定休

丹念に火入れする。じっくり時間をかける男の料理
今回関根さんが作るのは、インド料理をルーツにする本格派のチキンカレー。旨みがあふれやわらかな肉質の大山鶏のもも肉を使い、他の材料も玉ねぎやトマトピューレなど入手しやすいものばかり。ただし、小麦粉は使わず、スパイスは一から調合する。ずらりとテーブルの上に並んだ約20種のスパイスは、関根さんが都内の輸入食品店で入手したものが揃う。最近は新大久保にあるネパール人経営の食品店に足を運ぶことも多いそう。

- 土井地
- このスパイスの種類、すごい!
- 関根
- それぞれ開けて嗅いでみてください。このカシアっていう木の皮は、シナモンと同じ種類のものなんですけど、ちょっと苦味みがあり、ニュアンスが違いますよね。このベイリーフも、シナモンの木に生える葉なんです。
- 土井地
- 1つの木からいろいろスパイスができるんだね。面白い。まずは玉ねぎを切るところからスタート? 目が痛いんだよね…。クルマ用のサングラス出していいかな(笑)。
- 関根
- 今まで玉ねぎの形状はいろいろ試したんですよ。くし切りにしたり、フードプロセッサーにかけたり。でもこの1センチぐらいの粗みじん切りにするのが僕は一番好きなんです。
- 土井地
- やっぱり手慣れてるね。そして本当にエプロンが似合う(笑)。
- 関根
- ありがとうございます(笑)。次はスパイスを調合しましょっか。サブジの方はアバウトでもいいんですが、カレーはきっちり、大さじと小さじを駆使して分量を量ります。
- 土井地
- カレーのスパイスを4つに分けているのはなぜ?
- 関根
- 鋭い指摘、さすがですね。スパイスは、水に溶けることで風味が出るもの、油で加熱すると出るもの、あまり熱を加えない方がいいもの、仕上げにかけるだけでいいものと、性質で分けているんです。大事なポイント。もしおいしくなかったら土井地さんのせいです(笑)。
- 土井地
- 責任重い(笑)。ここでいよいよ買ってきた生姜の出番?
- 関根
- どっさりすりおろします。僕が持ってきた、このMicroplaneのすりおろし器は生姜の繊維がしっかりと切断できるので、さらさらの滑らかなペースト状にできる優れものなんです。にんにくもすりおろします。
- 土井地
- 俺やるよ。あ! 香りがすごい!! 普通の生姜と全然違うね。
- 関根
- 本当ですね。ここまで準備できたら、いよいよ火を使って調理していきますか。まずは玉ねぎを炒めます。ふたをして蒸らしながら、タイマーで計り3分間炒めて、水を足して、というのを繰り返します。普段だと僕はこの辺で缶ビールをプシュッと開けます(笑)。
- 土井地
- 玉ねぎの香りが立ってきたね。ちょっと俺、やってみようか?
- 関根
- いや、ここは任せられない(笑)。さっきより重要な工程なんです。コンロの火力にもよりますが、だいたい15分。玉ねぎを茶色になるまで焦がし、メイラード反応を生み出すことで、ぐっと香ばしさと甘みを引き出します。東銀座の有名なインド料理店「ナイルレストラン」の3代目のナイル善己さんはこの工程を6分でやりきるらしいんですけど、すご過ぎる。
- 土井地
- ほとんど何にもやってないな、俺(笑)。ご飯を炊く準備は、もう炊飯器のスイッチを押すだけかな。(ふたを開けてみる)お、黄色いスパイスが入ってる!
- 関根
- ターメリックです。よくカレー屋さんだとサフランを使うこともありますが、サフラン自体を長時間、水に漬けておく必要があったり、そもそも高級品だったりするので使いにくい。手に入れやすく、粉末を入れるだけなので、今回はターメリックにします。これも香りが良いんですよ。紅花油を少したらしておくと、ご飯の仕上がりにつやが出ます。
- 土井地
- 玉ねぎの方は時間がかかりそうだから、後は、付け合わせのジャガイモのサブジの用意を手伝おうか? ところでサブジって何?
- 関根
- サブジはインド料理の蒸し煮です。ジャガイモは定番の具材ですが、簡単に言うと、スパイスをまぶした粉ふきいもみたいなイメージです。カレーと一緒に混ぜながら食べると、深みが増しますよ。
- 土井地
- ジャガイモの皮をむいて切って、あとは茹でると。隣のコンロの玉ねぎの方もだいぶ茶色になってきたね。そろそろトマトやヨーグルト、鶏肉を順に加えていく感じ?
- 関根
- 加えて混ぜましょう! あと、ここでテンパリングオイルも準備します。さっき言った油で加熱するのに適したスパイスを、別のフライパンで油で炒めながら、香りを油に移して行く方法です。四川料理などで唐辛子の辛味だけを溶け出させた油を使うことがあるでしょ。あれに近い。このテンパリングオイルも、玉ねぎと鶏肉の鍋の方に加え、弱火で煮込んで行きます。
- 土井地
- なかなか複雑な工程。レシピ見ながらだったらできるかなあ(笑)。
- 関根
- 完成です! ご飯も上手く炊けてます。盛り付けましょう。
(食べ始めるふたり)
- 土井地
- うまい! スパイスの複雑な香りが感じられるし、生姜のピリッと感も際立っていて、鶏肉の旨みが引き立つね。
- 関根
- サブジも一緒にどうぞ! 上手にできてよかった!!
- 土井地
- 関根さんのこのカレーはさ、作る過程が男らしくていいよね。さっさと処理するのではなくて、一つ一つの調理にじっくり丁寧に向き合う。玉ねぎを炒めるのにこれだけ時間をかけるのがその良い例だよね。でもそのこだわりがすごく格好いい。
- 関根
- うれしいこと言ってくれますね! ありがとうございます。スパイスは必須のものだけでも十分おいしく作れますよ。
- 土井地
- そして俺も着実に料理が上手くなっている、はず(笑)。次回は最終回。どんな食材を手に入れて何を作るか、楽しみだね。
RECIPE
チキンカレー

材料(8人前)
鶏モモ 約600g(2枚)/玉ねぎ 約500g(中3個)/トマトピューレ 100g(ホールトマトでも可。その場合は200gを目安に)/ヨーグルト 100~150g/ココナッツファイン 大さじ2(なければ風味糖やてん菜糖)/塩 小さじ2/紅花油 大さじ4/水 600ml~900ml
【パウダースパイス】クミン 小さじ3/コリアンダー 小さじ3/ターメリック 小さじ1/2/パプリカ 小さじ1/チリ 小さじ1/2(お好みで増減)/塩 小さじ1
【ホールスパイス A】<必須>クローブ 10個/カルダモン 6個 <あれば>マスタードシード 小さじ1︎/コリアンダーシード 小さじ1
【ホールスパイス B】<必須>カシア(シナモン) 1かけ/ローリエ 1枚/唐辛子 1個 <あれば>フェヌグリーク 小さじ2
<あれば>【ホールスパイス C】カスリメティ 2つまみ
【ターメリックライス】米 4合/ターメリック 小さじ2/紅花油 小さじ 1(なければオリーブオイル)
1.鶏肉を一切れ20~30gくらいになるようにカットし、塩を振って軽くお酒(分量外)をふって漬けておく。米は研ぎ、分量の水(分量外)を加え、ターメリックと紅花油を加え、炊く。
2.玉ねぎを1センチの粗みじんにカットする。塩一つまみを加え、中~やや強火で3分ごとに水分を足しながら蒸し焼きにし、茶色くなるまで炒める。できあがったら1/4くらいをサブジ用に取り分ける。
3.炒めた玉ねぎにトマトピューレとヨーグルト、塩ひとつまみを入れて水分がなくなるまでじっくり炒める。
4.水分がなくなったら弱火にしてパウダースパイスと塩小さじ1を加える。焦がさないように注意しながら混ぜ合わせ、香りが立ってきたら鶏肉を加え、表面が白くなるまで中火で炒める。
5.テンパリングオイルを準備する。フライパンに紅花油を入れ温め、ホールスパイスAを入れ、ふたをして弱火でじっくり炒める。マスタードシードが跳ねるのが収まり、カルダモンがぷっくりと割れてきたら、ホールスパイスBを加え、唐辛子が黒くなるまで火を通す。
6.テンパリングオイルを4の鍋に加え、全体をかき混ぜる。水を少しずつなじませながら加えて行き、仕上げにホールスパイスCを指先で揉みながら加える。味をみながら塩加減を調整し、油と液体が完全に分離するまで弱火で20分煮込む。
ジャガイモのサブジ

材料(8人前)
ジャガイモ 中5個/玉ねぎ 100g/塩 小さじ2/紅花油 大さじ2
【パウダースパイス】ターメリック 小さじ2
【ホールスパイス】クミン 小さじ2/マスタードシード 小さじ2
1.ジャガイモは2~3センチ角にカットし、芯がなくなるまで茹で、一旦ザルに上げる。
2.鍋に紅花油を入れて温め、マスタードシードを入れ、ふたをして弱火で炒める。
3.マスタードシードが跳ねるのが収まったらクミンを入れ、泡立ってきたらチキンカレーで残しておいた炒めた玉ねぎと、塩を加える。
4.かき混ぜて全体をなじませてからターメリックを入れ、さらに混ぜ、ジャガイモを加える。
5.味をみながら塩加減を調整し、ジャガイモをつぶさないよう混ぜ合わせる。
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PROFILE
土井地 博/Hiroshi Doiji

株式会社ビームス / コミュニケーションディレクター。PR業務を行いつつビームスが実施する各コラボレーション事業やイベントを担う。また、ファッションだけではなく音楽やアートイベント等も手掛ける中心人物。現在はビームス グループ全体の宣伝・販促を統括し、社内外における「ビームスの何でも屋さん」というネーミングを持つ。昨年より、ラジオ番組「BEAMS TOKYO CULTURE STORY」でDJを務めている。
@hiroshi_doiji
関根 修二/Shuji Sekine

ビームス / デジタルコミュニケーションマネージャー。ビームスの神戸店オープニングスタッフとして入社。店舗勤務を経て、東京へ転勤。顧客サービスサイトの立ち上げや、公式サイトの運営と2度のサイトリニューアルのディレクションを行った。2014年より現職。電子メディアを通じた企業プロモーションや、店頭イベントのデジタルコンテンツ制作を担当するほか、テクノロジーでファッションを楽しむためのハッカソンを他社との協業で実施するなど、デジタルマーケティングに従事している。
INFORMATION
HAPPY OUTSIDE BEAMS
外遊びカルチャーを表現するスローガン「HAPPY OUTSIDE BEAMS」では音楽フェス、キャンプ、BBQ、サーフィン、釣り、スケートボード…
“外遊び“を全力で楽しみながらハッピーアウトサイドなモノ、コト、ヒトを発信・提案します。公式インスタグラムではBEAMSスタッフによる写真を日々アップしています。
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