「旅する鈴木」とは、映像作家・鈴木陵生とヨガインストラクター・鈴木聡子夫婦によるユニット。結婚2年目の2011年、新婚旅行としてメキシコから世界一周をはじめ、“オット”が“ヨメ”を撮影するというスタイルで、旅の模様を映像サイトで発信。今まで訪れた国と地域は、48か国150都市以上にも及ぶ。しかし、なかなか旅に行けない昨今の事情と、念願の夢だった“森ぐらし”を叶えるため、千葉県いすみ市に土地を購入し、東京と千葉のデュアルライフをはじめた。

ふたりが“森ぐらし”に興味を持ったきっかけは、ガーデニングカウンセラーの岡井路子先生との出会いからだ。“オリーブの仕掛け人”として知られる彼女のスタイルに強く惹かれ、東京にある自宅マンションのベランダでオリーブを育てはじめる。気がつくとオリーブは、苗も含めて100株ほどに。増え続けるオリーブを前に、本格的にオリーブを育ててみたいと思うようになり、一念発起。一から開墾して、オリーブの森をつくろうと、「旅する鈴木」改め「開墾する鈴木」としてふたりの活動を再スタートする。
実は千葉県いすみ市は、関東の移住地ランキングでも上位に挙がる人気のエリア。面積は157.44㎢、人口は37,585人(2020年3月1日現在)。東京湾アクアラインを利用すれば、都心からクルマで約90分とアクセスも悪くない。

深々と緑が輝く山々に青々とした海も有する、豊かな自然が広がる土地で、人々はどのような暮らしをしているのか。ふたりは開墾の道すがら、“森ぐらし”の参考にしようと、メルセデス・ベンツの電気自動車EQAでいすみ周辺の素敵なスポットを訪ねたのだった──。
旅する鈴木 × The EQA
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自然に寄り添い、自然と共に生きる暮らし
ふたりが噂を聞きつけ、最初に訪れたのは、ご近所にある「ライステラスカフェ」。料理研究家の中島デコさんと写真家のエバレット・ブラウンさんが立ち上げた「ブラウンズフィールド」内にあり、この敷地には、カフェのほか、宿泊施設、さらに米や野菜を育てる農園が広がり、農作業やマクロビオティックに関するスクールやイベントも盛んに行われている。10人前後のスタッフがWWOOFer(ウーファー※)として働いており、寝食を共にしているという。
※有機農場を核とするホストと、そこで手伝いたい、学びたいと思っている人とをつなぐWWOOF(ウーフー)に登録し、それを体験する人。

カフェで味わえるのは、スタッフ自らが育てた米と無農薬の野菜、調味料を使った料理の数々。昔ながらの羽釜で炊き上げたご飯はもちもちと水々しい。この日のランチプレートのメニューの一部をご紹介すると、羽釜炊き自家栽培玄米ごはん、ヒエのフライドフィッシュ風 豆乳タルタル、ひじきとお庭の筍のごま醤油炒め、キャベツと新じゃがのオイル煮 ローズマリーの香り……と、どれも体に優しい一品ばかりが並ぶ。
「ライステラスカフェ」のテラスの目の間に広がる芝生には2匹のヤギが放牧され、のんびりとした雰囲気のなかで食事を楽しむことができ、ふたりは心も体も癒されるひと時を過ごした。


SPOT INFORMATION
ライステラスカフェ

https://brownsfield-jp.com/
ADDRESS 千葉県いすみ市岬町桑田1501-1
TEL 0470-87-4501
営業時間 11:00~17:00(L.O.16:30)
定休日 月〜木曜(祝日は不定休)
次にふたりが訪れたのは、1日1組限定のゲストハウス兼キャンプ場「いすみガーデンリトリート&トーテムの家」。どこまでも広がる田園のなかを走り、民家の間の生垣を通り抜け、エントランスに到着すると、まるでおとぎ話に迷い込んだような異次元の世界が目の前に飛び込んでくる。

「人生は冒険の旅。ここはセーブポイント。HP&MPを全回復して再び冒険の旅へ!」というロールプレイングゲームさながらのコンセプトのこちらの施設は、日本初のアースバック建築の宿と1000㎡に及ぶ英国式ガーデンをひとり占めできる。アースバッグ建築とは、イラン人の建築家が発案した建築工法のこと。土と石と石灰という自然素材を使い、有機的な曲線の壁や天井を表現し、幻想的な空間を演出することができる。

偶然にも、こちらのオーナーの髙木繁昌さんは、「旅する鈴木」と同じく、かつてCMの映像関係の仕事で活躍し、東京との2拠点生活を経て、2006年にいすみ市に移住してきた“大先輩”。また、いすみ自然エネルギーという会社の取締役として、ソーラーシェアリングを広める活動もしている。ソーラーシェアリングとは、空中のソーラーパネルで太陽光で発電し、その下で作物を育てるシステムのこと。写真上のEQAの上に設置されているのはソーラーパネル。ここで発電し、施設の電気の一部を賄っているそうだ。
この日の夕食は、いすみの名産である伊勢海老でBBQを満喫。お腹も満たされ、自然に優しい魅惑的な空間で、しばし休息を取り、“HPとMPを回復する”のだった──。
SPOT INFORMATION
いすみガーデンリトリート&トーテムの家

https://hanjoedagaya.wixsite.com/isumigardenretreat
ADDRESS 千葉県いすみ市弥正636-1
TEL 080-5171-7465(受付9:00〜17:00)
次の日、そろそろ充電がなくなりそうということで、EV充電スタンドを探したところ、家のすぐ近くのコンビニ「ファミリーマート いすみ国府台店」の駐車場に急速充電の充電スタンドを発見。メルセデス・ベンツは、全国にある約2万1,000基の充電スタンドと提携しているというが、すでにこんな身近な場所にも充電スタンドが存在している。
SPOT INFORMATION
ファミリーマート いすみ国府台店

ADDRESS 千葉県いすみ市国府台845-1
充電後に、ふたりが向かったのは、狩猟体験もできるグランピング施設「Hunt+(ハントプラス)」。こちらも1日1組限定で、ほぼ山頂にある約4,000坪の広大な敷地を貸し切りできる特別な場所だ。
いすみの山奥のなかを走り、「Hunt+」という木製の看板をみつけ、その先の急勾配の細い坂道をEQAで登っていくと、山の中腹に開けた平地が広がるのが見えてくる。そこには、透明のドーム型テントが設営され、タープが貼られたウッドデッキにはソファとハンモックが置かれ、思わず両手を広げてしまうほど、いすみの雄大な自然のパノラマを目の当たりにできる。
ふたりは到着するなり、野生動物を身近に感じることができる狩猟体験へ。猟師でもあるオーナーの石川雄揮さんは、この日、ふたりを山奥へと案内してくれた。実はいすみは、外来種のシカであるキョンが約6,000頭いるといわれ、キョンやイノシシなどの害獣による農作物被害が深刻な問題になっている。石川さんは、猟師として高級ジビエをフレンチシェフなどに卸すだけではなく、害獣駆除も行なっている。そのなかで、野生動物・自然と私たち人間の関わりをもっと深く知ってもらいたいと、この狩猟体験をはじめたという。

石川さんに連れられ、ありのままの自然が息づく、険しい山道を進む。獣の足跡やフンや食痕など、石川さんは野生動物がそこかしこにいた痕跡を次々と教えてくれる。ほどなく山を登り切った後、地面に座ってしばし瞑想する。呼吸を整え、心と体を自然と一体化させ、木々のさえずり、野生動物たちの鳴き声に耳を澄ます──もともとは人間も自然の一部、命のサイクルのなかで生きるひとつの存在──そんなメッセージを受け取り、山を後にする。


狩猟体験から戻った後は、ハーブ風呂の“クリアスパ”で山登りの疲れを癒し、夕食はお待ちかねのジビエBBQを堪能。希少なキョンをはじめ、イノシシ、シカのお肉に、いすみの旬の野菜と魚介類、自家製ピザなど、充実したメニューを味わうことができる。夕食後は、夜の野生動物に巡り会えるナイトサファリ体験もご用意。この日はあいにく天候に恵まれなかったが、晴れていれば透明ドームテントから満天の星を眺めることができる。ふたりはテントのなかで、今まで以上に自然を身近に感じながら、深い眠りへとついたのだった──。
SPOT INFORMATION
Hunt+/ハントプラス

https://www.hunt-plus.com/
ADDRESS 千葉県いすみ市山田6229
TEL 050-6874-1464
※宿泊施設はチェックイン15:00、チェックアウト10:00、レイトチェックイン・アウトは応相談
※狩猟体験はほぼ毎週日曜14:00~開催、別日で受注開催も可、要予約、宿泊者はオプションで体験可(開催時間なども変更可の場合有、応相談)
※クリアスパはオプション
※夕食メニューは変動。キョン肉は狩猟体験参加者にのみ試食提供
自然のなかに溶け込む、電気自動車EQA


1日1組限定のグランピング施設「Hunt+」を後にしたふたりは、まだ日の出も間もない早朝に、いすみのビーチへとEQAを走らす。電気自動車ならでは静粛性とあたりの静けさも相まって、アクセル操作を感じさせない静かさが際立ち、リラックスした気持ちでビーチへ到着。ヨガで心と体をリフレッシュし、次の目的地である隣町の睦沢町にある「道の駅むつざわ つどいの郷」へと向かった。


「道の駅むつざわ」は、市場、温浴施設、イタリアンレストラン、カフェ、ドッグラン、オリーブ加工場などを併設した複合施設。普段ふたりが利用するこちらの施設の駐車場にも充電スタンドがあることを知り、町内産を主体とした地元の新鮮な農産物や名産品が並ぶ市場で買い物しがてら、充電が完了するのを待つことに。
「道の駅むつざわ」は、“むつざわスマートウェルネスタウン”を掲げ、サステナブルな社会の実現に向けた後押しを行っている。施設内の電力は、地元の天然ガスを活用。さらに天然ガス採取時に汲み上げた、かん水を発電した際の廃熱で加熱することで「むつざわ温泉」にも利用され、地産地消、省資源、省エネルギーにひと役買っている。こんな最先端のスマートシティが睦沢町には存在しているのだ。
SPOT INFORMATION
道の駅むつざわ

https://mutsuzawa-swt.jp/
ADDRESS 千葉県長生郡睦沢町森2-1
TEL 0475-36-7400
営業時間 つどいの市場 9:00〜18:00
むつざわ温泉つどいの湯 10:00〜21:00
Trattoria Due 11:00〜21:00
サイクルステーション 9:00~17:00(11月~2月は16:00まで)
オリーブの森のカフェ 9:00〜17:00
定休日 年末年始

30分の急速充電が完了し、最後の目的地となる「房総オリーヴ」へ。「房総オリーヴ」は、農業従事者の高齢化による担い手不足で、年々増加傾向にある耕作放棄地を活用し、新しい農業にチャレンジし地域活性化につながるようにと、オリーブの栽培を行っている団体だ。代表の金子健一さんを訪ね、オリーブの畑をいくつか案内してもらった。
主にイタリア産の5種類のオリーブ苗を育てているが、まだまだ収穫量が足りなく、オリーブを商品化するまでには至っていない。だが、ようやく今年の収穫期には、「房総オリーヴ」第1弾となる加工商品が販売できるかもしれないという。先駆者でもある「瀬戸内オリーブ園」とも提携し、金子さんの努力がようやく実を結びはじめている。房総エリアが新たなオリーブの産地になる日もそう遠くないはずだ。
SPOT INFORMATION

数日ぶりに、ふたりは自分たちの山へと戻った。カフェから宿泊施設、オリーブ畑まで、“森ぐらし”の参考には十分すぎるスポットを巡ることができた。まだ、ふたりの森には東京のマンションから持ち込んだ4本のオリーブしか植えられていないが、これから徐々に数を増やし、素敵なオリーブの森へと生まれ変わることだろう。
今回の道々で出会った人たちに共通するのは、自然に逆らわず、自然と共に暮らす生き方。持続可能な社会の実現のためには、それは近い未来のあるべき姿、いや、むしろ我々人間が忘れていた本来のあるべき姿なのかもしれない。
電気自動車もまた、近い未来のあるべきモビリティの姿。いや、むしろ我々の生活の中に自然に溶け込み、今後なくてはならない存在になってきているのかもしれない。
PROFILE
旅する鈴木

映像作家・鈴木陵生とヨガインストラクター・鈴木聡子夫婦によるユニット。2011年より夫婦で世界一周を始める。旅の様子を日々発信する映像サイト「旅する鈴木」が、平成26度文化庁メディア芸術祭推薦作品に。
DVD&Blu-ray「旅する鈴木/World timelapse(KADOKAWA)」、書籍「Ta Bird Books(いろは出版)」など。
https://tabisurusuzuki.com/
ABOUT CAR
EQA 250
持続可能なクルマ社会を実現するために、メルセデス・ベンツが新たに立ち上げた電気自動車ブランド「Mercedes-EQ」。EQAは、メルセデスの100%電気自動車であるEQCに続く第2弾となる、小型電動SUV。排熱のための網目がないブラックパネルグリルやテールライトがシームレスに繋がった背面など、先進的なデザインを纏う。機能面では、電気自動車ならではの高い静粛性に加え、メルセデスの特長である高度な操縦安定性、品質などをさらに高いレベルで実現。ドライバーの安全運転を支援するサポートシステム、レーダーセーフティパッケージを標準装備する。