友達と遊びにいく息子を駅に送り届ける車中から、助手席の妻はずいぶんとご機嫌だ。半月ほど前から約束していた、休日のランチデートがよほど待ち遠しかったらしい。その様子を横目に僕は、自宅からいちばん近いメルセデス・ベンツのディーラーへ。お目当てはCクラスをマイカー気分で、自由にドライブすることができるCクラス 1day 試乗キャンペーン。出かける約束をしてすぐ、Mercedes meを通じてこっそり申し込んでおいたのだ。ほとんど週末にしか乗らない生活とはいえ、結婚前はいろんなクルマを乗り継いでいた僕にとって、メルセデスはやっぱり憧れの対象。最新のメルセデスを運転できることにワクワクしていた。
いまひとつ事情が飲み込めていない妻には「レンタカーみたいなものだよ」と説明したけれど、じつを言うと最新のメルセデスにしっかり触れてもらうことがいちばんの目的だった。というのも前回の買い換えのとき、「メルセデスは贅沢すぎるんじゃない?」と意見されて購入することになった国産車がもうすぐ車検。つまり、「次こそメルセデス!」と決めている僕の下心をはらんだ、クルマにさほど興味がない妻のOKをもらうための作戦だったのだ。

AMGラインを装着したC 200 アバンギャルドの佇まいは、スポーティ&エレガンスそのもの。力強く始動もシフトチェンジもすこぶるスムーズな1.5ℓ直列4気筒直噴エンジン+BSG(ベルトドリブン・スターター・ジェネレーター)の走りは、知識ベースの想像を遙かに超えていた。理想的な旨味がギュッと詰まった、濃密な乗り味にノックアウト寸前の僕の隣で妻は、車内を興味深そうにチェックしている。第一印象は上々みたいだ。

「ステアリングのタッチコントロールボタンでも、ほとんどの設定ができるんだよ」と言って、渋滞の中でアクティビティディスタンスアシスト・ディストロニックをONにする。前のクルマと一定の距離を保ちながらの自然な加減速や停止はもちろん、停車後30以内なら自動で再発進までする様子には、ふたりとも驚きと感心を隠しきれない。「私の使い方だと、自動駐車(アクティブパーキングアシスト)と死角にクルマがいるのを知らせてくれる機能(アクティブブラインドスポットアシスト)はとくにうれしいな」。と妻は言った。

初めてのメルセデス、初めてのCクラス、初めての多彩な機能を楽しみながら、ナビは2人を埼玉へと案内する。小手指駅から少し離れた住宅街にある<うなぎ屋酒坊・画荘 越後屋>が、妻が予約してくれたランチデートの目的地だった。

海のない埼玉は昔から、貴重なタンパク源として鰻食が広まり、高級食材といえば鰻なのだそうだ。そのため各店が腕を競い合い、全国に名を轟かせる名店をいくつも輩出している……といった情報は、僕より断然、食に情熱的な妻が教えてくれたもの。そんな土地柄にあって、ここ<うなぎ屋酒坊・画荘 越後屋>は、仕入れる鰻にも焼き方にもひとかたならぬこだわりがあり、しかも、大変めずらしい趣向まであるという。

カウンター越しのライブ感あふれる仕事場で素早く、正確無比にさばかれていく鰻は、店主の島崎さんが見初めた鹿児島県産の“筑紫金うなぎ”や愛知県三河産の“三河鰻咲(まんさく)”などの定評ある銘柄。もちろん養殖業者との強い信頼関係からいずれも良質なものばかり、希少な天然物も入ってくる。

「混んでいるときはお応えできませんが、ご希望があれば、なるべくこうして目の前で調理するようにしています」。お子さんが産まれたのを機にいっそう仕事に打ち込み、全国区の名店を作り上げた島崎さん。鰻は当然、調味料や出汁、炭には備長炭の中でも最高級の“細丸”を使うなど隅々にまでこだわりがおよぶのには、こんな想いがあるからだという。「申し訳ない気持ちになってしまうので、鰻をさばくのは本当は嫌なんです。それでも、さっきまで生きていたものをいただくのであれば、完璧な仕事をして、最高においしい状態でお出ししなければいけません」

食欲をくすぐる香りの中でお話しをうかがいながら待つこと数十分、美しいうな重が運ばれてきた。お腹がいい具合に減った少し遅いお昼どき、できたてを頬ばる至福の時間。妻の視線がニンマリする僕に向けられている理由が、このあとわかった。一枚はなじみのある、蒸してから焼く関東風。もう一枚はなんとなく避けていた、蒸さずに香ばしく焼く関西風なのだ。「鰻屋の慣習では良しとされないことではありますが、使う鰻との相性もありますし、両方味わってみたいじゃないですか」と島崎さん。結婚前から言われ続けている、「あなた、食べず嫌いだもんね」に返す言葉がない。
Spot Information
うなぎ屋酒坊・画荘 越後屋

www.echigoya-jp.com
ADDRESS 埼玉県所沢市小手指町4-21-22
TEL 0429-33-801
営業時間12:00〜14:00/18:00〜21:00
月曜定休・不定休
駐車場あり
島崎さんの想いがこもった美味な料理に満たされたあとは、返却の時間に間に合うよう帰るだけだ。でも、まだCクラスを走らせたい自分の気持ちに従い、新緑が広がる多摩湖の周辺を抜けて少し遠回りすることにした。Comfortモードで走行していたのをSport+モードに変えて、レスポンシブに様変わりするエンジンフィールを楽しもう。

マイカーを持たないことを何度か検討したことがあるけど、こうしてふらりと自由に出かけられるのはクルマだからできること。妻も運転することを考えると、適度なボディサイズに高い安全性と快適性を備えたCクラスは、やっぱり理想的な1台だ。40も半ばにさしかかった僕には、どこまでも忠実に穏やかに応えてくれる走りもちょうどいい。

さまざまな想いを巡らせながらCクラスを満喫していると、新緑のトンネルをフロントガラス越しにスマホで撮っていた妻が思いがけないこと言い出した。「私も運転してみたい」。今日2度目の驚きだった。

シートを合わせて走り出した妻の運転は、サッカークラブに通う息子の送り迎えをしていることもあって不安はない。そして、まんざらでもない様子で運転する姿を助手席で眺めながら、下心をはらんだ僕の作戦がうまくいったのを確信した。
「次はCクラスを検討してもいいかも!」
キャンペーン概要
実施期間:4月25日(木)〜6月30日(日)
実施場所:全国のメルセデス・ベンツ正規販売店
貸出時間:10:00〜17:00(定休日除く)
http://www.mercedes-c.jp/campaign/1daycampaign/