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GLC F-Cell試乗レポート。燃料電池×バッテリーならではの走りとは

words: Manabu Kawaguchi

メルセデス・ベンツのSUV、GLCに新たに加わった燃料電池プラグインハイブリッドモデルであるGLC F-CellにMerCナビゲーターの河口まなぶが迫る。

人気モデルのSUVであるGLCに、新たにGLC F-Cellというモデルが加わった。このモデルは一見他のGLCシリーズと同じに見えるが、その心臓部にはモーターを搭載しており、なおかつ水素を燃料として用いて走行する未来のクルマ、いわゆる燃料電池車である。

GLC F-Cell試乗レポート。燃料電池×バッテリーならではの走りとは
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燃料電池車は、通常のガソリン車やディーゼル車と異なり水素を充填するタンクを持っており、ここに水素ステーション(全国で約130拠点、2020年7月現在)で水素を充填して走る。水素(H)を酸素(O)と化学反応させると水(H2O)になるが、この際に電気が発生する仕組みを利用したのが燃料電池だ。この発電を利用して、電気を作りながらモーターを動かして走ることのできる仕組みを持っている。そしてこの仕組みがGLC F-CELLの中で展開されている。

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だからGLC F-Cellは通常の燃料タンクがある位置と、室内の床下の一部に水素タンクを持っており、もともとエンジンが入っていた場所には燃料電池システムや制御系が入っている。また同時にGLC F-Cellはプラグインハイブリッド車でもあり、コンセントを使って充電することも可能となっている。結果、GLC F-Cellは700気圧の水素タンクに水素を約4.4kg貯蔵できて、これを使うと約336kmの航続距離があり、加えてこれと別に13.5kWhのバッテリーを備えており、こちらに充電を行えば最大約41kmの航続距離となるので、合計で約377kmの航続距離を実現する(いずれも欧州参考値)。しかもクルマの使い方が通勤先との往復など、定常的なもので、往復40km以内であればほとんど電池だけで走れて水素を消費しないで走れるともいえるわけだ。

GLC F-Cell試乗レポート。燃料電池×バッテリーならではの走りとは

実際に乗ってみるとGLC F-Cellの走行フィーリングはまさに、電気自動車のそれ。モーターだけで駆動しているので、エンジン音もなく、燃料電池の作動音が聞こえる程度で極めて高い静粛性を実現している。メルセデス・ベンツには現在、EQCという電気自動車が存在するが、感覚はまさにそのEQCとほぼ同じだ。そしてEQC同様にあまりに静かなため、逆にタイヤと路面が接する際のロードノイズを感じるほど。そしてこの静けさはやはりEQC同様で、最上級モデルのSクラスに匹敵する感覚だともいえる。

そしてモーターは瞬時に力強さを手にすることができるので、印象は極めてパワフル。さらに力の出方もリニアで滑らかなことこの上ない。だからGLC F-Cellは電気自動車の特徴である「静かで滑らかで力強い」をそのまま実現しているといえる。

さらに燃料電池による発電と、プラグインによるもともとのバッテリーを持つ機構を活かし、様々な走行モードを持っている。HYBRIDモードでは、燃料電池による発電とバッテリーの電池をバランス良く使って走る。 F-CELLモードは燃料電池の発電だけで走る。そして BATTERYモードは電池の残量のみで走る。さらにCHARGEモードでは燃料電池の発電で得た電気を、プラグインのバッテリーに貯めつつ走る。そうした多彩なモードで、その時の状況に応じて使い分けが可能だ。

GLC F-Cell試乗レポート。燃料電池×バッテリーならではの走りとは

また走りだけでなく、装備がGLCのラインアップの中でも高水準となっているのがGLC F-Cellの特徴で、インテリアではブルメスターのオーディオやダッシュボード等に配されるウッドがブラウンアッシュウッド仕様とされるなど、気持ち良い室内が展開されているのも特徴。さらに水素を燃料とするだけに、燃料補給に関しては水素ステーションでの充填が必要となるが、これもCOMAND/ナビにて水素ステーション検索ができるようになっており、ガソリンスタンドと同様の方法で検索が可能となっている。

そんなGLC F-Cellの走りは先に記したように、電気自動車EQCと同じように通常のガソリン車やディーゼル車よりも重い車両重量を活かした重厚な乗り味走り味に加え、モーターで駆動するからこその「静かで滑らかで力強い」フィーリングに溢れており、まるでSクラスのようだ。しかしながらEQCとGLC F-Cellが異なるのは、EQCが前後にモーターを備えた4MATICという駆動方式なのに対し、GLC F-Cellの場合は後輪駆動を採用しているのが特徴。それだけにハンドルから伝わる滑らかな感触は、他のメルセデスの後輪駆動モデルであるCやEやSクラスのものに近いのだ。加えて後輪がクルマを押し出してくれる感覚も、まさにそれらのメルセデスと似た感覚を伝えるものになっている。

GLC F-Cell試乗レポート。燃料電池×バッテリーならではの走りとは

そう考えるとGLC F-Cellというのは未来のクルマといえるメカニズムを内包しながらも、そこに作られた味はまさにこれまでのメルセデスを継承するという極めてユニークな1台といえる。みなさんもこの不思議な感覚を是非味わってみてはいかがだろうか?

PROFILE

河口まなぶ/Manabu Kawaguchi

河口まなぶ

1970年5月9日茨城県生まれ、AB型。日大芸術学部文芸学科卒業後、自動車雑誌アルバイトを経てフリーの自動車ジャーナリストに。 1997年よりA.J.A.J(日本自動車ジャーナリスト協会)会員、2009-2011年A.J.A.J理事。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員を2002-2003年度より連続して現在まで務める。
 
メルセデス・ベンツに関するコンテンツを発信するコミニュティ「MerC(メルク)」ナビゲーター。
https://www.facebook.com/cclassroom/

ABOUT CAR

GLC F-Cell

水素による燃料電池とリチウムイオンバッテリーを搭載した燃料電池プラグインハイブリッドモデル。

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