仕事からキャンプまで。クルマはライフスタイルに欠かせない“道具”
数々の賞を受賞する人気の建築家でありながら、空間デザイン情報検索サービス「tecture」、映像制作会社「toha」、キャンプ用品ブランド「CAMP.TECTS」ほか9つの会社を立ち上げ、起業家としても活躍の幅を広げている谷尻誠さん。一方、プライベートではキャンプが趣味で、週末には自然の中に身を置き、家族や仲間と過ごしているという。そんな谷尻さんにとって、クルマは仕事に趣味に欠かせない道具的な存在だ。
スポーティな走りと頼もしい積載力


「クルマ選びは洋服をスタイリングする感覚に近いと思っていて、重視したいのは自分の生活スタイルに合っているかどうか。僕の場合、週末は自然の中に身を置いて、平日は都内で仕事をするという、本来対極である場所を行き来しながら暮らしています。なので、キャンプだから大きなSUV、都市だからスポーティなクルマを選択するということではなく、“どちらの顔も持っている”キャラクターが良いと考えていました」


自宅の駐車スペースの前にて
しかし、最新のGLC 220 dと対面した際、まず目に入ったのは充実した積載スペースだったという。
「ラゲッジスペースの積載力はクルマ選びにおいて悩んだ部分でした。荷物を積むことを考えると、SUVタイプのGLCはやっぱり魅力的。実は一時期、本当に買い替えを迷っていたくらいなんですよ。今回、実際にクーラーボックスやテントを積ませてもらいましたが、積み込みやすさはいつもと変わらない慣れた感覚。でも、上部の空間に余裕があって、頼り甲斐があります」
建築に置き換えると、“終の棲家”のような存在

谷尻さんの愛車であるGLCクーペ。ルーフキャリアを搭載させたスタイルでファミリーキャンプを楽しんでいる(写真提供:谷尻誠さん)
ちなみに、GLCクーペは谷尻さんにとって初めてのメルセデス。3年間乗ってきた中で、どんな印象を持ったのだろうか。「もともとはエクステリアのスタイリッシュなデザインに惹かれて購入したのですが、乗り始めてみるとシックなインテリアや8.4インチディスプレイを備えた『COMANDシステム』を搭載しているなど機能面の充実度にも驚きました。知れば知るほど便利で手に馴染む。今ではほかのクルマに乗り換えたいとは思わなくなりましたね。建築に置き換えると、“終の棲家”でしょうか。このままずっとメルセデスでいいなと思わせてくれる、そんなクルマです」
⾕尻誠が⼿掛けた3つの作品を巡る

デザインアワードや建築賞を数多く受賞し、最前線で独創的なアイデアを⽣み出し続ける⾕尻さん。そんな彼が手掛けた作品の中から近年話題となった3つの名建築を紹介しよう。
1.さまざまな要素が“同居”する「社食堂」


谷尻さんの建築設計事務所「SUPPOSE DESIGN OFFICE」。その中にあるレストラン「社食堂」は、一般の人も利用できる社員食堂だ。半地下の店に入ると中央に大きなキッチンカウンターがあり、その手前側が食堂になっていてテーブルが並ぶ。さらにキッチンカウンターの奥はオフィスになっているユニークなレイアウトだ。社食堂は、働く人にとってはオフィスであり、食べる人にとってはレストランであり、ほかにもライブラリーやギャラリーといった顔も持ち合わせる、用途も性質も違う人々が共存する場所。谷尻さん自身もテーブルに座り、打ち合わせをしたり、お客さんと交流することもあるのだそう。「携帯電話にカメラが付き、音楽が聴け、今では財布代わりにもなっているように、これからは別々にセグメントされていたものが混ざり合う“同居の時代”が来ると前から思っていて。ここはそれを体現した場でもあるんです」

お客さんが食事をするだけでなく、ビジネスシーンでの打ち合わせ場所としても使われる社食堂。さまざまな人が集い、交錯することで新しいイノベーションが生まれ、それが社員の刺激にもなっているという。「This is ○○じゃない、この混ざり合った感覚を楽しんでもらえたら嬉しいです」
2.建てたら、逆に身軽になった。自邸「HOUSE T」


Photo: Toshiyuki Yano
息をのむ美しさに見惚れてしまう「HOUSE T」。谷尻さんの柔軟な視点とアイデアを象徴する建築のひとつで、外の空気を感じられ、エアコンも断熱材もないのに夏はひんやりと、冬は暖炉で温まることができる作り込まれたこだわりの自邸だ。しかし、この家を建てた背景には「この先どうなるか分からない」という何ともリアルな不安があった。「仕事がどうなるか保証はないし、このまま東京に住み続けるかもわかりません。それなのに、ライフスタイルが住宅ローンで身動き取れなくなるというのが嫌だったんです」。そこで1階と3階にテナントを設け、いつでも貸し出せる仕組みを設計。2020年に完成した「HOUSE T」だが、建てたことで逆に身軽になったという。

住居部分にはあえて窓を作らず、まるで洞窟のように薄暗いが、それを感じさせない温かみのある空間としてデザイン。都市にありながら自然の中にいるような仕掛けは、いかにも谷尻さんらしい。「家の中で一番好きなのが、この暖炉の前。パチパチとはじける薪の音を聞きながらお酒を飲むのが冬場の幸せなんです」
3.作りたかったのは、公園のようなエントランス。「sequence MIYASHITA PARK」

“同居”の考え方は、谷尻さんが仕事をする上で大切にしていることのひとつであり、「sequence MIYASHITA PARK」のエントランスでも体感することができる。「ホテルのエントランスですが公園と隣接しているので、多くの人が集う場所にしたいと考えました。エントランスとしての役割のみ果たせば良いと切り分けてしまうのではなく、繋がりや同居を感じさせる場所にしたかったんです。目指したのは、公園とエントランスではなく、公園のようなエントランスでした」

公園の緑と調和する温もりのある空間は開放的な雰囲気。そこに谷尻さんが仕掛けたのは、“座れる場所をどうデザインするか”だった。「ソファやテーブルなどの家具はもちろんですが、ほかにも階段や入り口のオブジェなど、訪れた人がそれぞれに座れる場所を見つけてくつろいでもらえる場所を盛り込むことで、より自由で『まるで公園のようなエントランス』を演出するようにしました」
新しいクリエイティブで繋ぐ、都市と自然

オフィスと食堂、住居とテナント、公園とエントランス。谷尻さんの頭の中に常にあるのは、「一見異質なモノ同士をどう調和させるか」という問い。だからこそ誰も見たことがないものを生み出し、社会に新鮮なインパクトをもたらす。そのクリエイティブな姿勢には、テクノロジーに対して先鋭的な知見をもって設計などのアプローチをすることで、全く新しいクリエイティブを育むメルセデスのフィロソフィーとも共感するところがある。これからも都市と自然を繋ぐ存在として、メルセデスは谷尻さんのドライビングライフを彩っていくことだろう。
PROFILE
谷尻誠/Makoto Tanijiri

1974年、広島生まれ。穴吹デザイン専門学校卒業後、本兼建築設計事務所、HAL建築工房を経て2000年にSUPPOSE DESIGN OFFICEを設立。住宅、商業空間、会場構成、ランドスケープ、プロダクト、アートのインスタレーションなど、仕事の範囲は多岐にわたる。広島・東京の2ヵ所を拠点とし、週末は自然の中に身を置くライフスタイルを送る。現在、穴吹デザイン専門学校特任講師、広島女学院大学客員教授、大阪芸術大学准教授なども勤める。
ABOUT CAR
The GLC
洗練された力強さ溢れるエクステリアと、伝統が磨き上げた高い快適性、実用性を兼ね備えたSUV。オフロードでもたくましく、力強くスポーティな走りを楽しめる。アレンジできる広いラゲッジスペースに、取り回しの良いボディサイズが特徴。
SPOT INFORMATION
社食堂

ADDRESS 東京都渋谷区大山町18-23 コートアネックス大山町 B1
TEL 03-5738-8480
営業時間 11:00~19:00(L.O.18:30)
※新型コロナウイルス感染拡大により、営業時間・定休日が記載と異なる場合あり。来店時は事前に店舗に要確認
定休日 日曜・祝日
駐車場 なし(近隣にコインパーキングあり)
sequence MIYASHITA PARK

ADDRESS 東京都渋谷区神宮前6-20-10 MIYASHITA PARK North
TEL 03-5468-6131
URL https://www.sequencehotels.com/miyashita-park/
受付時間 チェックイン17時 チェックアウト14時
定休日 なし
駐車場 なし(近隣にコインパーキングあり)