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【試乗記】メルセデス AMG GT 4ドアクーペでサーキットを走る

words: Yasuhisa Shimashita

妥協なきスポーティネスを雨の富士スピードウェイで体感。島下泰久氏によるメルセデス AMG GT 4ドアクーペのインプレッション。

 デビューからわずか5年にしてスポーツカー市場に於いて揺るぎない地位を獲得するに至ったメルセデスAMG GT。その独自開発のスポーツカーのラインアップに新たに加わった仲間、メルセデスAMG GT 4ドアクーペがいよいよ上陸した。

早速訪れたテストドライブの舞台は富士スピードウェイのレーシングコース。しかしながら何とその日の天候は生憎の雨だった。徐々に雨脚は弱まってきているものの、走り出すまでに完全に乾くには至らなそうだ。

AMG GT

 ステアリングを握るのは、最高峰グレードのメルセデスAMG GT 63 S 4MATIC+。雨に濡れながらパドックにたたずむ、4枚のドアとテールゲートを備えたそのクーペボディは、全長5メートル超というサイズを誇るだけに押し出し感が半端じゃない。

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 2ドアと共通したイメージのマルチビームLEDヘッドライト、AMGオリジナルグリルを得たフロントマスクは見るからに迫力満点だが、一方でロングノーズと流麗なルーフラインが描き出すシルエットはマッシブの中にエレガントさを湛え、プレステージ性とスポーツ性を見事に両立している。サーキットはもちろん、都心の街中にも似合いそうな雰囲気がいい。

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 インテリアも同様だ。2枚の大型TFTディスプレイを連結させた12.3インチのワイドスクリーンコクピットは、ドライバー正面のモニターにサーキット走行中のラップタイムや前後左右G、舵角などを表示可能なAMGトラックペースの表示を映し出すことができる。手元でドライブモードを切り替えられる液晶ディスプレイ付AMGドライブコントロールスイッチを備えたAMGパフォーマンスステアリングホイール、2ドアモデルとの関係性をアピールする独特なデザインのセンターコンソールは、やはりスポーツ性を大いにアピールしている。

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一方で、トリムやシートには贅沢にレザーが張り巡らされ、夜間には64色から選べるアンビエントライトによる光の演出も行なわれるなど、濃密なラグジュアリー感を放っているそして4枚のドアを持つだけに、リアには大人も十分リラックスできる後席も備わる。しかも通常時461ℓ、後席バックレストを折り畳むことで最大1324ℓもの容量を確保できるラゲッジスペースも用意されるのだ。

 当然、そこはメルセデスAMGだけにメカニズムは徹底的に硬派な仕立てとされている。スチールを主体とする車体は、要所に軽量かつ高剛性のアルミダイキャスト製パーツが奢られ、更に各部にアルミやスチール、CFRPなどの補強部材がこれでもかというほど追加されている。

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 エンジンはお馴染みのV型8気筒4.0ℓツインターボユニットだが、そのチューニングも更に進化していて、レスポンスに優れるベアリングマウント&ツインスクロールのターボチャージャーを採用することなどにより現行AMGシリーズで最強の最高出力639ps、最大トルク900Nmという怒涛のスペックを獲得している。このパワーとトルクを余さず路面に伝達するべく、駆動方式は電子制御によって前後輪のトルク配分を可変式とする四輪駆動システムのAMG 4MATIC+を採用。それだけじゃない。メルセデスAMG GT 63 S 4MATIC+はAMG RIDE CONTROL+エアサスペンション、電子制御AMGリミテッド・スリップ・デフLSD、AMGリア・アクスルステアリングも標準装備とするなど、走りのための最先端のテクノロジーを満載しているのだ。

 改めてドライバーズシートに収まりピットレーンへ。シグナルが青に変わり、コースに入る。雨は止んだがコースはまだほぼウェットのままだから、慎重に右足に力を込めていく。

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 そのつもりだったのだが、最初のコーナーを抜けてステアリングを直進に戻しながらアクセルを踏み込んでいくと、まだ暖まりきっていないタイヤを軽く空転させながら、まさに背中を蹴飛ばされるようなダッシュが始まった。わずか2500rpmで900Nmというピークトルクを発生するエンジンと、AMG 4MATIC+の圧倒的なトラクションが、早速威力を発揮したのだ。

 この動力性能には、誰もがきっと感嘆の声をあげるに違いない。コーナー立ち上がりのダッシュは凄まじく、しかもAMGスピードシフトMCTが9段のギアを瞬時に、小刻みに変速して、エンジン回転数を、最高出力639psを発生する5500〜6500rpmの間に巧みにキープしてくれるから、勢いが一瞬も削がれることなくみるみる速度が高まっていく。この悪条件下でも、富士スピードウェイの長いメインストレートでは、念のためスタートシグナルブリッジでアクセルを戻したにも関わらず、目の前のディスプレイには270km/hという数字が表示されていたのだから圧倒されるほか無い。

 この速さに対応するべく、試乗車に装備されたオプション設定のAMGカーボンセラミックブレーキも強力だ。高い制動力を発揮するだけでなく、優れたタッチでコントロール性にも優れるのが嬉しい。しかも雨の中とは言え高速コースの富士スピードウェイを連続走行しても、最後までまったく変わらない効きとタッチを保ち続けていたのだから大したものだ。

 そして何より刺激的なのが、やはりコーナリングである。操舵に対するレスポンスは正確で、まさに意のままにクルマの向きが変わっていく。ボディの大きさ、四輪駆動であることなど、すぐに意識しなくなってしまうほどだ。バックレストに内蔵されたエアチャンバーによって旋回中にもしっかり身体をホールドするドライビングダイナミックシートのおかげで、身体がブレることなく操作に集中できるのも有り難い。

 とにかくよく曲がるが、アクセルペダルを踏み込めば挙動はすぐに落ち着くから、つまり積極的に曲げ、そして踏んでいくドライビングこそが速さを引き出すコツとなる。ノービスでも不安は無く、一方で腕利きには堪らないハンドリングと言えるだろう。

そんな走りに気づけば没頭していて、あっという間に走行時間が終わってしまった。クールダウンしてピットへと戻る途中にルームミラーを見るまで、リアシートが備わることなどすっかり忘れてしまっていた。そのスポーツ性には、何ひとつ妥協は無い。

 メルセデスAMGが手がければ、ドアの枚数など関係なく、こういうクルマが出来上がる。それでいて普段は、極上のエレガンスと快適性、実用性を堪能できるのがメルセデスAMG GT 4ドアクーペである。富士スピードウェイという絶好の舞台は、その実力を深く実感させてくれたのだ。

ABOUT CAR

メルセデス AMG GT 4ドアクーペ

日常を、究極へ。AMG独自開発 初の4ドアクーペ、誕生。

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