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街も山も高速も、smart BRABUS forfour Xclusiveは心強い相棒だ

words: Kazuo Shimizu
photos: Toshitaka Horiba

清水和夫氏が、自らの別荘がある山中湖へ。歴史やテクノロジーをひもときながら、smart BRABUS forfour Xclusiveのインプレッションを届けてくれた。

清水流クルマの選び方

smart BRABUS forfour Xclusiveをレポートするために、我が家の山荘がある山中湖まで足を延ばした。桜が散ると新緑が訪れる季節になる湖畔は、また格別な清々しさを感じる。ところでエンジンがパワフルになったsmart BRABUS forfour Xclusiveをレポートする前に、 smartに関してどうしても書きたいことがある。というのは、少し前まで我が家のファミリーカーとしてスマート カブリオ(愛称は“スマカブ”、2人乗り)を所有していたからだ。

清水和夫氏とご家族

最初はお買い物や息子がデートに使うという限定的な使い方を考えていたが、愛犬とアウトドアに行ったことがきっかけとなり、そのグランドツアラー性や、実は荷物がたくさん積載できるというパッケージに驚かされたのだ。それ以来、雪山の登山やキャンプに“スマカブ”を使うようになった。そして新型smartが登場したとき、4人乗りでターボエンジンのsmartに乗り換える計画を立てていた。それほど新型smart(今度は息子達が大きくなったので、4人乗り)に魅了されていた。smartをシティコミューターだというのは狭い見識だ。実際のsmartは、自由にどこでも走れる機動性を持っているのである。そのことは是非とも伝えたいと思っている。

smart BRABUS forfour Xclusive

ところで、我が家には清水流クルマ選びの掟がある。最優先するのは安全性だ。その掟の第一条は視界性能。交差点で歩行者や自転車の巻き込み事故はとても怖い。大きなSUVもいいが、Aピラー付近の歩行者を発見するのは車載カメラでも難しい。でも、視界が良いクルマなら人間の目で安全確認できるのだ。これはとても大切なクルマの性能だと確信しているし、ドライビングポジションも重要だ。カッコいいデザインだけでは選びたくない。

清水和夫氏

安全の第二条は動的な走りの質。走りの質と言っても分かりにくいので丁寧に説明する。最近はESP(ESC=横滑り防止装置)が備わっているので、基本性能が話題にならないが、ESPが作動するのはエアバッグが開く一歩手前の段階だ。そこまで過激な走りは公道では稀だが、大切な機能の一つだ。だが、日常的な走りにおける安全性を考えるとき、「クルマとの対話」が大切ではないだろうか。クルマの性能がどういう状態になっているのか、常に注意深く搭乗したい。安全の第三条はぶつかったときの安全性だ。最近は乗員の安全性だけでなく、歩行者への加害性低減についてのアセスメントも示されている。

まとめると

第一条 視界・ドライビングポジション
第二条 走りの質=クルマとの対話
第三条 乗員保護・対人加害性の低減(ぶつかったときの安全性)

この安全性がベースとなって、その上に環境性能や快適性、あるいは使い勝手が存在する。これが清水流のクルマ選びの掟だ。

smart誕生秘話

smartは実に息の長い超コンパクトカーだが、最近になってようやく環境や都市部の渋滞問題で小さなクルマが見直されてきている。つまりsmartの時代が到来したのだ。それにしてもよくメルセデスは我慢したものだ。というのはsmartビジネスは順風満帆ではなかったはずだ。そもそもsmartとはどんな生いたちなのか、その辺のところから探ってみよう。

smartは1997年のフランクフルトショーで新しいコンセプト=都市部のコミューターとして提案され、時代を先取りしたメルセデスの超スモールカーコンセプトに世界は驚いた。というのは売り方もユニークで、当初はスイスの時計メーカー・スウォッチ社をパートナーとしていたからだ。そしてsmartは1998年に「スマートシティクーペ」として市販されるが、スウォッチ社はこのビジネスから撤退し、メルセデス・ベンツの別ブランドとして事業が継続された。

スマートシティクーペ

初代smartの全長はわずか2.5m。日本では軽自動車規格で市販されたこともあった。だが、2005年頃にイタリアのローマやミラノに行くと、スマート専用の駐車スペースがあることに驚いた。実はパリやローマで大人気だったのだ。中世の町並みが残る欧州の都市では、超コンパクトなクルマが女性や若者、時にはお年寄りに人気があった。その時期から、やっとsmartに追い風が吹きはじめたようだ。

smartは安全がすべて

初代smartの全長は2.5mと十分コンパクトなクルマだったが、小さいクルマの弱点は衝突安全性能。そこでメルセデスはW210型Eクラスを開発するとき、小型車への加害性を考慮した「コンパティビリティ」というアイデアを実現し、大きなクルマはやわらかく、小さいクルマはかたく作る車体設計コンセプトを打ち立てた。初代smartから受け継がれているのはエンジンをリアに搭載することで、フロント部分のエネルギー吸収スペースを確保すること。まさに天才的なパッケージングだ。

衝突安全実験

さらにEクラスよりもかたいボディ構造が与えられているわけだが、二代目smartは全長2.7mに延びたことで、フロント部分のスペースがさらに大きくなり、より厳しくなった世界の衝突安全基準を余裕をもってクリアすることが可能となった。メルセデスならではの安全性と、一切の妥協なき哲学が貫かれている。予防安全ではESPが標準で備わり、横転を防ぐ機能も備わっている。こうして、小さいけれど兄貴分のEクラスとぶつかってもsmartの乗員を十分に守ってくれる安全性を実現している。

smart BRABUS forfour Xclusiveの走りはとにかく楽しい

山中湖周辺でsmart BRABUS forfour Xclusiveの走りを楽しんだ。

smart BRABUS forfour Xclusive

本気で欲しくなるほどハンドリングはご機嫌だ。ワタシ的にはポルシェ911カレラと同じリアエンジンなので、初代ポルシェの生まれ変わりかと思ってしまうが、実際にハンドルを操作すると、フロントが軽くて、とても軽快なフットワークが味わえる。ダイレクト感を伝えるハンドリングはエスプリの利いた走り味だ。ハンドルは女性がドライブしても扱いやすい重さなので受け入れやすく、smart BRABUS forfour Xclusiveに乗ると、誰でもクルマ好きになってしまいそうだ。

清水和夫氏とsmart BRABUS forfour Xclusive

高速で不安となるようなことはない。スロットルを目一杯踏んで加速するが、高速道路の本線流入でも不自由はないし、ドライビングポジションが少し高いので、前がよく見えて安全運転ができる。ターボなのでエンジン回転数は低めで隣の人と会話もできる。もちろん高速巡航も楽ちんだ。街中の使い勝手は文句ないが、それだけでなく、どんなステージでもsmart BRABUS forfour Xclusiveの走りは大満足。小さいくせに長距離ドライブができるsmart BRABUS forfour Xclusiveは「小さなGTカー」だと大声で叫びたくなる。

清水和夫氏

これでsmartのDNAがご理解いただけたと思うが、今回テストしたsmart BRABUS forfour Xclusiveは、897ccのターボエンジンがノーマルよりもチューンアップされ、十分なトルク(エンジンが発する回転力)を持っている。4人乗りの4ドアなので全長は3.55m。日本の軽カーよりも少し長いだけだ。だが、エンジンはsmartの掟に従って、リアに搭載されるという技術に目を見張る。カップルディスタンスが狭いからデートにも向いている。60を過ぎたオッサンに青春が戻ったような気がした。

ABOUT CAR

smart BRABUS forfour Xclusive

スマート史上最強の加速を実現する専用ターボエンジン&専用トランスミッション。究極のアジリティをもたらす専用サスペンション&専用ステアリングシステム。そして、力強い美しさがみなぎるワイド&ローの専用エクステリアと、走りたい気持ちを心地よく昂ぶらせる極上のスポーティネスに満ちたインテリア。想像を超えるほどのスポーツドライビングが愉しめる、4人乗りモデル。

PROFILE

清水和夫/KAZUO SHIMIZU

清水和夫氏とsmart BRABUS forfour Xclusive

国際自動車ジャーナリスト。1954年生まれ、東京出身。1972年のラリーデビュー以来、国内外の耐久レースで活躍する一方、モータージャーナリストとして、多方面のメディアで執筆し、TV番組のコメンテーターやシンポジウムのモデレーターとしても活躍。自動車国際産業論に精通する一方、スポーツカー等のインストラクター業もこなす異色の活動を行っている。

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