Mercedes-AMG GT3勢同志のシリーズチャンピオン争い——。
ツインリンクもてぎで行われたSUPER GT最終戦は、ドラマチックな展開になった。
第7戦を終えた時点で、グッドスマイル 初音ミク AMGが年間トータルで83ポイントを獲得し、GT300クラスのシリーズランキングでトップに立つ。それを72ポイントのLEON CVSTOS AMGが追いかける展開だが、優勝した場合、23ポイントを獲得できるのでLEON CVSTOS AMGにも十分に逆転の可能性がある。果たしてどのようなエンディングが待っているのか。ファンの誰しもがレースの行方に、期待に胸を膨らませた。
最終戦の舞台はツインリンクもてぎ。今年でオープン20周年を迎えたコースである。
SUPER GTが開催されるロードコースは、連続するタイトなコーナーを複数のストレートが結ぶレイアウト。ストップ&ゴーが続くことから、ブレーキやエンジンにかかる負担が大きく、マシンには速さだけでなく信頼性も求められる。

穏やかな秋晴れの下行われた11月11日(土)の予選では、グッドスマイル 初音ミク AMGの片岡龍也が見事なアタックをみせる。全セクターでベストタイムを塗り替え、今シーズン2度目のポールポジションを獲得したのだ。さらにPPポイント1点を獲得したことにより、ドライバーズポイントでは2位と10ポイント差まで広げることに成功した。また、Q2アタッカーを担当した片岡にとっては、これがGTキャリア初のポールポジションとなり、翌日の決勝に向け幸先の良いスタートとなった。一方のLEON CVSTOS AMGは、僅差で3位、GAINER TANAX AMG GT3が5番手につけた。
最終戦をポール・トゥ・ウィンで飾り、シーズンタイトルを獲得したいグッドスマイル 初音ミク AMGの両ドライバーは意欲を見せるも、決勝レースは予想もつかない一進一退の展開となったのだ。

11月12日(日)、いよいよ注目の決勝がドライコンディションでスタートした。グッドスマイル 初音ミク AMGはホールショットを奪いトップをキープ。3番手からスタートしたLEON CVSTOS AMGは6位に順位を落とし、逆転のシリーズタイトル獲得にレース序盤からイエローシグナルがともる。
しかし、LEON CVSTOS AMGはタイヤ交換でフロント2本だけを交換する作戦を選択。ピットでの作業時間を短縮することで、再びトップ争いに食い込んだ。
そして32周目、LEON CVSTOS AMGはついに2番手に躍り出る。ただし、このままの順位ではシリーズポイントでグッドスマイル 初音ミク AMGに追いつけないため、LEON CVSTOS AMGはさらにペースを上げ、トップを猛追する。

しかし39周目、ポイントリーダーであるグッドスマイル 初音ミク AMGも底力を見せ、3位浮上を果たし、王座への執念を見せる。残り数周となった48周目、ついにLEON CVSTOS AMGはトップを走っていたマシンをオーバーテイク、トップに立つ。ただし、グッドスマイル 初音ミク AMGがこのまま3位以内に入ると、逆転タイトルはかなわない。グッドスマイル 初音ミク AMGの谷口信輝の走りに注目が集まる。谷口は、このシーズン最終戦という重圧のなか、タイヤとマシンを労りながらポジションをキープし、マシンを見事チェッカーフラッグまで導いた。

手に汗を握る最終戦、LEON CVSTOS AMGがトップでチェッカーをうけ、今シーズン2勝目、3位をキープしたグッドスマイル 初音ミク AMGがわずか2ポイント差で年間チームタイトルに輝くという結果となった。さらにグッドスマイル 初音ミク AMGはドライバーズタイトルも獲得し、悲願のダブルタイトルを手にしたのだ。一方LEON CVSTOS AMGも年間チームランキングで2位となり、ともにMercedes-AMG GT3の高いパフォーマンスを証明したといえるだろう。表彰式ではグッドスマイル 初音ミク AMGをドライブした谷口信輝と片岡龍也のふたりと、片山右京監督が清々しい笑顔を見せた。
そのほかMercedes-AMG勢は、GAINER TANAX AMG GT3は7位、エヴァRT初号機 Rn-s AMG GTは23位、アールキューズ SLS AMG GT3が25位という結果で最終戦を終えた。
2017年SUPER GTのGT300クラスは様々なドラマがあり、そして何よりMercedes-AMG GT3の強さが際立ったシーズンであったといって間違いないだろう。各チームの来年のさらなる飛躍を期待し、シーズンの始まりを待ちたい。
