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Formula 1 2019

2019年F1世界選手権

words:Takeshi Sato

About

F1(Formula 1)世界選手権は、1950年にイギリスで始まった世界最高峰の自動車レース。2019年シーズンは全10チーム20台の精鋭だけが、そのスターティンググリッドにつく。
現代F1のマシンは数トンの強力なダウンフォース(地面に押さえつける力)を生み出すエアロダイナミクス(空気力学)を追求し、設計されている。車体重量は、2019年から最低重量が740kg(燃料含まず)に変更された。このマシンに次世代のガソリンエンジンとモーターによるハイブリッドシステムを搭載し、驚異の900馬力以上のパワーを誇る。2016年のアゼルバイジャンで行われたヨーロッパGPでは最高速度378㎞を記録した。

今季は2018年シーズン同様、史上最多の21戦が開催。3月17日のオーストラリアGPを皮切りに、6月は3戦、9月は4戦を戦う過密スケジュールとなっている。
グランプリは金曜日午前のフリー走行から始まる。土曜日午後の予選でスターティンググリッドが決まり、日曜日午後に決勝レースが行われる。レースの距離は305km+αだが、2時間を超えた場合はその周回が最終ラップとなる。
決勝レースでは、1位から10位までにポイントが与えられる。1位が25ポイント、以下18、15、12、10、8、6、4、2、1のポイントとなる。シーズンを通して最も多いポイントを獲得したドライバーとチームがそれぞれドライバーズ・チャンピオン、コンストラクターズ・チャンピオンとなる。ちなみに直近の5シーズンは、ドライバーズ・チャンピオン、コンストラクターズ・チャンピオンともにメルセデスAMGペトロナスとそのドライバーが獲得している。

 

Point of view

2019年シーズンのF1は、メルセデスAMGペトロナスにとって記念すべき年となる。メルセデス・ベンツが現代F1に復帰して10年目という、節目のシーズンになるからだ。

同時に、このチームが記録を狙う年でもある。2019年のコンストラクターズタイトルを獲得すると6連覇。これは1999年から2004年にかけてフェラーリが記録したコンストラクターズ連覇の記録と並ぶことになる。

また、2年連続でチャンピオンに輝くルイス・ハミルトンが2019年もドライバーズタイトルを勝ち取ると、6度目の戴冠となる。もし実現すれば、伝説のドライバー、ファン・マヌエル・ファンジオを抜き、7度のチャンピオンを獲得したミハエル・シューマッハに次ぐ歴代単独2位の記録となる。

ではコンストラクターズ5連覇を果たしたメルセデスAMGペトロナスの強さの源は何か? 注目すべきは、連覇の始まった2014年が、F1のエンジン規定が大幅に改訂を受けた年であるという事実だ。
具体的には、この年よりF1マシンの動力源は1.6ℓのV6ターボエンジンとハイブリッドシステムの組み合わせに変わった。以降、F1の動力源はエンジンとは呼ばれず、パワーユニット(PU)と呼ばれ現在に至っている。

つまりメルセデスAMGペトロナスの速さの理由のひとつに、EQ Power+と呼ばれる先進的なハイブリッドシステムを挙げることができるのだ。参考までにEQとは「Electric Intelligence」を意味し、未来のエレクトリック・モビリティを見据えたメルセデス・ベンツの新しいブランドでもある。EQを冠する市販モデルもそう遠くない将来に日本へ導入されるというから、そちらも楽しみだ。

閑話休題。F1を席巻するEQ Power+は、2019年シーズンも基本的な構造は不変である。また、王者ルイス・ハミルトンとバルテリ・バッタスというふたりのドライバーをはじめ、チーム体制に大きな変更はない。
しかし、だからといって昨シーズンに引き続いて安泰とは言えないのは、PU以外の部分に大きなルール改定が行われるからだ。

まずひとつは、空力面の見直しだ。現代のF1マシンはいずれも優れたエアロダイナミクス性能を持つ。その一方で、タイヤの回転が空気の流れに乱れを生み、後続車両の追い越しを難しくしているという問題があった。
そこで、アウトウォッシュと呼ばれる乱流を抑えるために、F1マシンのフロントウィングの複雑な形状が制限されることになったのだ。2019年シーズンを戦うメルセデスAMGペトロナスのF1 W10 EQ Power+のフロントウィングを見ても、シンプルな形に変えられている。
もうひとつ、F1マシンの最低重量が733kgから743kgへと10kg重くなったことも、マシンの開発に少なからぬ影響を与えるレギュレーション改訂である。

こうしたレギュレーションの改定を受け、メルセデスAMGペトロナスのチーム代表を務めるトト・ウォルフは、次のように語る。
「レギュレーションが大きく変わる2019年は、われわれにとってチャレンジの年だ。新しいシーズンはゼロポイントからのスタートで、チーム一丸となってライバルチームに対するアドバンテージを見せなければならない」

テクニカルディレクターのジェイムズ・アリソンも、「新しいルールに素早く対応できなければ、苦しいシーズンになるだろう」と警戒する。
ルイス・ハミルトンの言葉にも、昨年以上に厳しい戦いが待っていることの覚悟が滲み出ている。

「どのチームのコンセプトが正しいのかは、まだわからない。ただしライバルのなかには僕らと同等のレベルに達しているチームがあるし、その下に位置していたチームとの差も縮まっていることがわかった」

2018年シーズンの序盤に2度の優勝のチャンスを失うなど不運に見舞われたもうひとりのドライバー、バルテリ・ボッタスは次のように語っている。

「批判もされたけれど、強くなるために話し合いを重ね、ポジティブな要素がたくさん見つかった。新しいシーズンはだれにとってもゼロポイントからのスタートで、わくわくしているよ」

ボッタスが言う通りシーズンは誰もが横一線からのスタートで、5連覇していようが開幕時点でのポイントはゼロ。ハミルトンやウォルフの言葉にも慢心はなく、むしろ危機感が感じられる。
今年はどんな戦いが待ち受けるのか。シーズンを通したメルセデスのチャレンジに、胸が高鳴る。

DRIVERS

ルイス・ハミルトン
Lewis Carl Davidson Hamilton

1985年生まれ。少年時代よりその才能を高く評価され、10代前半の若さでF1チームのマクラーレンと長期契約を交わしたことから「マクラーレンの秘蔵っ子」と呼ばれた。2007年F1デビュー。参戦わずか2年めの2008年に、史上最年少(当時)でF1のドライバーズ・チャンピオンを獲得した天才ドライバー。
2013年にメルセデスAMGへ移籍。2014年にはドライバーズ・チャンピオンを獲得、翌2015年も2ケタの勝利を挙げ、2年連続3度目のチャンピオンに輝いた。2016年は2ケタ勝利を挙げたものの惜しくもチャンピオンの座を逃したが、2017年は2ケタ勝利を挙げ再びチャンピオンに返り咲き、2018年も2年連続、通算5度目のチャンピオンの座に。

 

バルテリ・ボッタス
Valtteri Bottas

1989年生まれ、27歳のフィンランド人ドライバー。フィンランド人らしい、クールで思慮深い性格だというのがもっぱらの評判。2017年にニコ・ロズベルグのシートを引き継ぎメルセデスAMGペトロナスヘ加入、2017年に自身初優勝を含む3勝を挙げてランキング3位となり、コンストラクターズタイトルの獲得に多大な貢献を果たした。2018年も8度の表彰台を獲得し、ドライバーズ・ランキングでは5位に。メルセデスAMGペトロナスと2019年の契約と2020年のオプション契約を結び、今年も引き続きもボッタスの活躍は大きな期待と注目が集まる。

TEAM MANAGEMENT

ニキ・ラウダ
Andreas Nikolaus “Niki” Lauda

非常勤会長。オーストリアのウィーン出身。1975年、1977年、1984年のF1チャンピオン。「スーパーラット」「不死鳥」の異名を持ち、その走りはコンピューターと云われた。

トト・ウォルフ
Christian Toto Wolf

エグゼクティブディレクター。(ビジネス)ノルベルト・ハウグの後任としてメルセデスのレース活動全般を担当。1994年のニュルブルクリンク24時間レースでクラス優勝などの成績を残す。


CAR

Mercedes-AMG F1 W10 EQ Power+ Mercedes-AMG F1 W10 EQ Power+
Mercedes-AMG F1 W10 EQ Power+ Mercedes-AMG F1 W10 EQ Power+
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Mercedes-AMG F1 W10 EQ Power+

全長×全幅×全高:5000mm以上×2000mm×950mm
重量:743kg
エンジン形式:V型6気筒ターボ
エンジン排気量:1.6ℓ

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