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【F1 REPORT】第15戦マレーシアGP

words:Takeshi Sato

灼熱のマレーシアGPでチャンピオンへの貴重なポイントを獲得

9月29日(金)から10月1日(日)にかけてF1第15戦マレーシアGPが開催された。舞台となるセパン・インターナショナル・サーキットは首都クアラルンプールの郊外、車でおよそ1時間弱の場所に位置する。このコースは1990年代に、同国のマハティール・ビン・モハマド首相(当時)の近代化政策の一環として建設されたもので、1999年に初めてのF1GPを開催した。

サーキット建設の権威であるドイツ人設計者ヘルマン・ティルケは、このサーキットのコースレイアウトを考えるにあたってオーバーテイクのシーンが頻繁に見られることを前提にしたという。
具体的には2本の長いストレートからのコーナーへの飛び込み、ヘアピンへの進入や脱出でオーバーテイクを可能とした。そのことからドライバーの多くがチャレンジングでテクニカルだと評価する名コースとなった。

しかし、2017年シーズンがセパン・インターナショナル・サーキットで行われる最後のF1GPとなる。この名コースでのバトルも今回で見納めだ。
ちなみに昨年はメルセデスAMGペトロナスが予選でワン・ツーを独占。決勝レースでもポールポジションから飛び出したルイス・ハミルトンがトップを独走したものの、レース終盤にまさかのトラブルで優勝を逃している。

また、ほぼ赤道直下にあたるセパン・インターナショナル・サーキットは、熱帯特有のスコールに見舞われることも多い。今年も、フリー走行が行われた金曜日は雨に見舞われた。
ここで、メルセデスAMGペトロナスはライバルにタイムで遅れをとった。ドライバーのルイス・ハミルトンは、金曜日のセッションを終えて不満と不安を口にした。

「今日はとても難しかったです。前回のレースでは、雨でも好調なコンディションだったけれども、今日の雨の中ではマシンの状態がよくなかった。原因を探り、修正する必要があります」

ここでメルセデスAMGペトロナスは、新旧ふたつの空力パッケージを2台のマシンで使い分ける作戦に出た。ハミルトンは旧型に戻し、もうひとりのバルテリ・ボッタスは新型のままで土曜日午前のフリー走行に挑んだ。
フリー走行の結果について、チーム責任者であるトト・ウォルフはこう述べている。

「新旧の連続テストを行ったものの、はっきりとした結果が得られませんでした。マシンのセッティングを変更するリスクを考え、予選はバルテリのマシンをそのままの状態で臨みました」

こうして迎えた予選では、ハミルトンが見事に通算70回目となるポールポジションを獲得した。ハミルトンは、苦しかった予選をこう振り返る。

「フリー走行でうまくいかなかった金曜日の晩は眠れないくらい考えました。けれどもエンジニアたちのおかげで、土曜日になると見違えるような仕上がりになっていた。ただ、正直に言うと、どうしてポールポジションが取れたのかわからない。少し驚いているし、同時に幸運に感謝しなければとも感じています」

一方新しい空力パッケージで走ったボッタスは予選5位。
「Q2までは好調でしたが、Q3でタイムが伸びなかった。この理由について、すべてのデータを検証する必要があります。ただし、明日はまた新しい一日。難しい一日になるかもしれないけれど、全力で挑みます」

明けて日曜日の決勝。スタート2時間半前まで激しい雨がサーキットの路面を叩いていたが、スタート時には雨も上がり、太陽も顔をのぞかせた。気温は30度、路面が急速に乾いていくなかでのレースとなった。

こうした状況で、メルセデスAMGペトロナスの2台は好スタートを切った。ハミルトンはポールポジションから見事なダッシュでホールショットを決めると、5位からのスタートとなったボッタスも3位に浮上し、このままメルセデスAMGペトロナスの2台がレースを支配するかのように見えた。

果たして、フリー走行から予選で苦しんだメルセデスAMGペトロナスのセッティングは改善されたのか——。
しかし、それほど甘くはなかった。オープニングラップを終えて徐々にタイヤが温まり、各車グリップがあがってくると、2番手のマックス・フェルスタッペン(レッドブル)が猛烈な勢いで首位ハミルトンとの差を詰めはじめる。3位ボッタスも、後続のマシンに迫られるきびしい展開に。

そして迎えた4周目、ターン1の飛び込みでハミルトンはフェルスタッペン(レッドブル)にインを許し2位に後退。その後も、ハミルトンはフェルスタッペン(レッドブル)のペースに付いていくことができず、次第に離されていく。
ボッタスもまた、ダニエル・リカルド(レッドブル)と競っていたが、9周目にオーバーテイクされ、3位の座を失う。

ハミルトンは懸命にフェルスタッペン(レッドブル)を追走したものの、結局12秒差の2位でフィニッシュし、貴重なチャンピオンシップポイントを稼いだ。ボッタスはさらに順位を落とし、予選と同じ5位でチェッカーを受けた。
レース後、フェルスタッペン(レッドブル)の優勝を称えたハミルトン、2位という結果には納得した様子だ。

「まずまずだね。今日のレースはペースが保てなかったけれど、この週末はまだまだやるべきことがあるとわかりました。いくつかのサーキットでは好調だけれど、うまくいかないコースもある。今日みたいなことは他のサーキットでも起こり得たことで、2位に入れたことを前向きに考えたい。このレースでは世界選手権を制することを考えて行動した。残り5戦、チャンピオンを獲るためにはもっとハードに仕事をする必要があります」

一方のボッタスは、落胆を隠しきれない。
「率直に言って、今までのキャリアでこれほど難しいと感じたレースはありません。いくつかの理由があって、思い通りのパフォーマンスが発揮できなかった。チームも僕もポイントが必要。だからこの週末は芳しくなかったが、今日のレースから学習しなければならない」

ただし、ボッタスが悲観するほど今回の結果は悪くなかったともいえる。フェラーリ勢が低調だったこともあり、コンストラクターズランキングではポイント差を118pにまで広げられたからだ。
ドライバーズランキングでも、ハミルトンが2位のセバスチャン・ベッテル(フェラーリ)との差を34pに広げた。

2017年シーズンのF1も残り5戦。次戦はいよいよ、10月6日(金)に開幕する日本GPとなる。メルセデスAMGペトロナスが1週間でどう建て直すか、鈴鹿サーキットの走りを楽しみに待ちたい。

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