
10年ほど前まで、メルセデスに乗っていました。僕らミュージシャンのクルマは機材が載らないと話にならない。機材が載らないとクルマじゃない、みたいな感じなので、大きめのバンだったのですが、10年近く乗って、12万㎞くらい走りましたね。
だから、当時の僕にとってクルマは仕事の道具であり、移動の手段に過ぎなかった。趣味といえばもっぱらバイクのほう。昔のアメリカンやオフロード車など、なるべく電装系に頼らずに走る、エンジンを操っているのが感じられるものが好きで、そんなバイクで山ばっかり行っていました。高速道路ではなく、すべて下道を使って。泊まるところも決めずに、1日400~500㎞くらいツーリングしていましたね。

でも最近、あるきっかけでクルマにおもしろさを感じるようになったんです。マニュアル車に乗らせていただく機会があって、そしたら運転がおもしろいのなんの。エンジンを操る楽しさ、バイクに乗っていた頃の楽しさが、そこにあったんです。その後、間もなくして、乗っていたオートマ車からマニュアル車に買い換えました(笑)。
これまで僕の中でクルマは仕事、日常で使うものという感覚だったのですが、マニュアル車との出合いで趣味性の高いもの、楽しいものに変わった。だから、バイクでやってきたことを、これからはクルマで実践していきたい。たとえば、今まであまり馴染みがなかったアウトドア、キャンプにいっぱい行きたいですね。

日常生活での心地よさ、使い勝手まで考慮するなら、もちろんこのGLCもいいですね。この「MBUX(対話型インフォテインメントシステム)」とか、めちゃくちゃハイテクで、びっくりしました。メルセデスさん、GLCのマニュアル車、つくってくれませんかね(笑)。


僕は「機械」が最高に好きで、アナログなものが大好きなんです。産業革命が生み出した「エンジン」というもののおもしろさ、「機械」としてのおもしろさがマニュアル車には残っている。僕はいわゆる機械式のカメラが好きで、今日持ってきたバルナックライカのⅢbもそうですが、電池がなくてもすべてがこなせる。クルマも本来そうで、ガソリンだけで動いていたもの。思えば、このライカもメルセデスも、古くからクオリティの高い工業製品をつくり続けてきたドイツのメーカーで、それぞれの分野でのパイオニアでもありますよね。そんな古きよき時代の工業製品に、魅力を感じずにはいられません。

音楽もそうで、だからレコードばっかり聴いています。CDはもちろん、ダウンロードやストリーミングもそれはそれで便利で、仕事のうえでは聴きますが、自分が本当に音楽を楽しむとなったら、ターンテーブルに載せて、針を落としてっていうほうが好きなんです。僕は音楽を楽しむためにミュージシャンをやっているわけで、音楽は自分の趣味でもある。その部分は残しておきたいので。そんなことをしていたら、カメラも古いものがいい、クルマも、って全部そうなっていきましたね(笑)。
PROFILE
田島貴男 ミュージシャン

1966年、東京都生まれ。1988年に小西康陽氏に誘われピチカート・ファイヴに加入。1990年からは自身が率いるオリジナル・ラブの活動に専念し、1991年にメジャー・デビュー。ジャズやソウルを落とし込んだ都会的なサウンド、またソウルフルなヴォーカルを魅力に、長年にわたり多くのファンの支持を集めている。近年はバンドでの表現以外に、ひとりでループ・マシーンやフットトンプ、フットタンバリンを駆使しておこなう「ひとりソウル」、また弾き語りによる新たな表現を打ち出している。2019年、オリジナル・ラブとして最新アルバム「bless You!」をリリース。
ONE hour Sense.
各界のプロフェッショナルが日常を離れ、それぞれが自分を高めるために訪れてみたいスポットをクルマで訪れる1時間の過ごし方を紹介するプログラム。毎週日曜21:54~フジテレビ・関西テレビで放映中。
ABOUT CAR
GLC 300 4MATIC
洗練された力強さあふれるエクステリアでオフロードをたくましく走り、伝統が磨き上げた高い快適性と実用性が、アクティブなライフスタイルをサポート。話しかけるだけでエアコンやオーディオなどが操作できるMBUXも搭載。