SPECIAL > MOTORSHOW > “カスタム”を通して見る、メルセデスの今とこれから

“カスタム”を通して見る、メルセデスの今とこれから

Photo:Ryosuke Kikuchi
Text:Yusuke Osumi

大盛況のうちに幕を閉じた、東京オートサロンのレポートをお届けする。

今や、東京モーターショーと人気を二分するほどの自動車の祭典、年明け早々の風物詩となっている東京オートサロン。舞台は昨年同様、幕張メッセ。わずか3日間の開催期間で毎年およそ30万人もの来場者を集めている。展示されたのは、国内外の出展者が注力してつくり上げた、特別なカスタムカーの数々。クルマのカスタムカー・カルチャーが成熟しスポーツへと昇華しているアメリカや東アジア圏からも多くのジャーナリスト、観光客たちが訪れ、先に触れた結果を後押ししたようだ。

メルセデスのブースは、敷居こそ高くないものの、メルセデスらしい堂々とした構成を取っていた。正面には、Mercedes-AMGモデルが数台置かれ、その周囲には純正アクセサリーを装着したモデルや、オートサロン特別展示のモデルが並び、奥には、SUPER GTのGT300で昨年チャンピオンを獲得した「GOODSMILE RACING & Team UKYO」のMercedes-AMG GT3が鎮座する。未来感をあおるのが、空中や壁などのところどころにレイアウトされた、複雑な多面体のオブジェだ。そのいくつかの面には、メルセデスがまさに“今”駆け巡っているだろう、都市風景の写真が貼られ、どの方向に偏ることもない、多面的なコミュニケーションをとっていく、そんなモチベーションが感じられた。ここから先は展示されたなかでも、とりわけトピックス性が高いモデルや空間構成の詳細について触れていく。

ブース空中に吊り下げられたオブジェ。
壁に設けられたオブジェは、入り組んだ都市の姿を表現しているように思える。

V 220 d Sports long エクステリア
(Vクラスキャプテンシート装着車両 ※オートサロン特別展示)

今回の目玉のひとつが、このVクラスだった。一見、ごく普通に思えるのだが、なかをのぞくと、広々とした空間にキャプテンシート仕様の座席が2つ置かれている。日本において人気の車格であるミニバンは一般的に、家族や大人数向け、もしくはアウトドアでのユーティリティが高いことを訴求する傾向がある。しかしそれとは逆に、空間のゆとりを活かし優雅さを演出するという発想はメルセデスならではだ。ショーファーVクラスとも呼べるこのモデルは、今回は参考出展だったが、近い将来の販売を予定している。

V 220 d Sports long インテリア
(Vクラスキャプテンシート装着車両 ※オートサロン特別展示)

こちらがそのキャプテンシート。メモリーつきの電動パワーシートになっており、好みにあわせてリクライニングなどを設定することが可能。オットマンが装備されているため、楽に足を伸ばせる点もポイントだ。シートに内蔵されたファンによってシートの温度を下げるシートベンチレーター/シートヒーター機能も備え、快適性はより格上げされる。しっとりしたシルクベージュの本革シートも相まって、航空機のファーストクラスさながらの移動空間を実現した。

V 220 d Sports エクステリア

逞しいボディのなかには、乗り手の安全をサポートする様々な先進技術が組み込まれている。バック走行時、インストゥルメントパネル中央にある8.4インチワイドディスプレイに、車両周辺の状況をリアルタイムで表示する360°カメラシステム。ロングドライブの際に注意力低下を教えてくれるアテンションアシスト。前後バンパーに備わるセンサーで障害物を感知し、アラームなどでドライバーに知らせるパークトロニックなど。これらのおかげで長距離でも安心して運転することができる。

V 220 d Sports インテリア

こちらが現在販売されているVクラスの室内。2・3列目シートが対面になっているが、当然、2列目を前向きにするなど多彩なシートアレンジも可能。ちなみに、全長は3種類から選べる。このシートに限らず、ステアリングホイールやトリムなどに上質なレザーをふんだんに用いることで高級感を演出したVクラスは、従来のミニバンの考え方、位置づけを高めた立役者なのだ。先の参考出展車は、その考えの延長線上にあるモデルといえる。 ※展示車両はレザーパッケージ装着車両。

グッドスマイル 初音ミク AMG

もうひとつの大きな目玉がこちら。AMGが完全自社開発したMercedes-AMG GTをベースにしたレーシングマシン、Mercedes-AMG GT3だ。6.3ℓ V8 NAエンジンを積んだMercedes-AMG GT3は、昨年のSUPER GTのGT300で4度の優勝を果たし、シリーズタイトルも1位と2位を独占。
展示された2017年度のGT300クラスで見事チャンピオンとなった「GOODSMILE RACING & Team UKYO」のボディには、昨シーズンの戦いの跡が見られ、多くのモータースポーツファンの注目を集めていた。
車両の隣には、シリーズ最終戦でシリーズチャンピオンとドライバーズチャンピオンを決めたときのトロフィーが飾られていた。Mercedes-AMG GT3のポテンシャルの高さを示す、何にも勝る証明である。

Mercedes-AMG GT S

SLS AMGを引き継ぐロングノーズと、スポーツカー然としたシンプルかつ流麗なプロポーションをもち、最高出力522PSの4ℓ V8ツインターボエンジンを搭載する。剛性が高く、ストロークがスムーズなダブルウィッシュボーンサスペンションを前後に採用し、高いロードホールディング、スタビリティを実現している。また、究極のハンドリングと快適性を実現するダイナミックエンジントランスミッションマウントを搭載。AMGの中でも、特に強靭な一台ともいえる。

Mercedes-AMG GT S インテリア

2シーターのピュアなスポーツカーではあるものの、コックピットの設計は他のモデルと大きくは変わらず、扱いやすいものになっている。日常で使えて、サーキットでは究極的なパフォーマンスを見せる。Mercedes-AMG GT Sは、この上ないオンロードレーシングカーなのだ。

Mercedes-AMG GT S エクステリア

Cピラーからなだらかにカーブしテールパイプまで落ちる潔いリアフェイスと、スポーティなホイールとワイドなタイヤが主張するサイドから見たフォルムの組み合わせこそ、Mercedes-AMGのピュアスポーツの象徴である。

GLA 220 4MATIC

昨年、新型が登場し、バンパーにアンダーガードを加えるなど、独自性が強まったコンパクトSUVのGLA。今回の東京オートサロンでは純正のアクセサリーによって、アウトドアシーンでの使い勝手をよりよくする提案がなされた。

AMG 20インチアルミホイール

赤い縁取りのライン、マットブラックの10スポークが印象的なAMG 20インチアルミホイール(ひとつあたり¥140,400)。通常の17インチ(GLA 180の場合)のホイール径と比べて、最低地上高が高くなるため、SUVらしいタフさが強調される。

ルーフボックス

ウィンタースポーツやアウトドアアクティビティに必須といえるルーフボックスも、純正のオプション装備にラインナップされている。330ℓ(¥64,800)、400ℓ(¥70,200)、450ℓ(¥75,600)*の3サイズ展開。ベーシックキャリアを含め、車両の形状、取り付けやすさ、走行の邪魔をしない空力特性を考慮した設計がなされている。 *装着にはベーシックキャリアが必要です。

アクセサリー

あると便利な細かなアイテムも見逃せない。左写真のラゲッジルームには、荷物の出し入れでボディに傷がつかないようにするリアバンパーカバー(¥6,480)、床面の汚れを防ぐラゲッジルーム用フルトレイ(¥10,800)、小さな荷物をまとめやすくする折りたたみ可能なボックス(¥1,728)を設置。右写真は前座席のヘッドレストに取りつけられる、ドリンクホルダーつきの折りたたみテーブル(¥17,820)*。この他にも重宝する多彩な装備が揃っているので、オーナーの方は是非一度、こちらのウェブサイト(http://www.mercedes-benz.jp/catalog/compact_cars/ebook/accessories/index.html)をチェックして頂きたい。 *装着にはベースエレメント(¥4,320)が必要です。

smart BRABUS forfour canvas-top limited

今回の出展はスマートと合同で行われ、かねてから人気が高いチューニングメーカー、ブラバスとのコラボレーションによって生まれた、希少なモデルなどが登場した。まず紹介するのは、4ドア & 4シーターのフォーフォーをベースとするもの。ボディ、8ツインスポークアルミホイールを硬質なガンメタリックに染め、ミラーハウジングにはカーボン調のカバーを採用。加えて、モデル名の通り、軽やかなキャンバストップを備えている点などを特徴としている。スポーティで開放的。通常のラインナップにはない、ブラバスならではの手が加わった、都会を走る究極のアーバンスポーツカーといったところだろうか。
カーボン調のカバーが貼られたミラーハウジング。これを加えただけで、可愛らしいデザインがグッと引き締まる。

smart BRABUS forfour canvas-top limited

ボディカラーにあわせ、インテリアもダークグレーでまとめられている。ところどころに施されているホワイトのステッチも、スポーティさを引き立てる大切なデザイン要素だ。ちなみに、同車の販売はメルセデスのオンラインストアでのみ行われており、残り台数は何と3台(2018年1月31日時点)となっている。気になる方はこちら(http://www.mercedes-benz.jp/onlinestore/smart-canvas-top.html)を今すぐチェック。¥3,452,000

smart BRABUS tailor made

次は、近年増えているパーツの色や素材を自分の好みで決めることができるスニーカーのように、気軽にカスタマイズができるユニークなスマートをご紹介したい。選べる車種は2ドアのフォーツーとカブリオのふたつ。カスタマイズができるのは、エクステリアについてはボディカラーやトリディオンセーフティセル(スマートオリジナルの骨格構造)、ホイールなど。インテリアについてはシートやステアリング、アクセントトリムなど。フォーツーとカブリオのいずれもフロントスポイラー、エグゾーストシステム、リアスカートなどがブラバス仕様になっている。ちなみに写真のカブリオは、ボディカラーがウェイブブルー×スノー、インテリアカラーがスノー(本革)という組み合わせ。
オーダーをする際はまず特設サイト(http://www.smart-j.com/brabus/tailormade.html)で各パーツの色を決定する。写真のインテリアは爽やかなホワイトの1トーンだが、生地だけでなくステッチもカラーサークルから選べるため、組み合わせはほぼ無限といっていい。感性にまかせ、試しに自分なりのカラーリングをおすすめしたい。

smart BRABUS tailor made

カラーリングが決定したら、スマートの販売店へ。スタッフの説明のもと、実際の色彩やカスタマイズ箇所の仕様の確認ができる。じっくりと吟味をした上で、オリジナルのスマートをつくって欲しい。

Mercedes-AMG G 63 1:18 オプシディアンブラック

とうとうデトロイトで新型が発表され、今、最も注目を集めているクルマといっても過言ではないGクラス。こちらは本国ドイツ企画でつくられた、非常に精巧な限定モデルカー。スクエアの重厚感のあるフォルムはいうまでもないのだが、よく見るとシートのキルティングステッチやグリルの網目、ブレーキパッドの細かな造形までが見事に再現されている。たくさんの人をGクラスの虜にするきっかけをつくった463型に敬意を表し、一台だけでももっておきたい。

G-Class CrazyColor Limited G 500 4×4² 1:18

こちらがすべてのカラーバリエーション。オレンジやグリーン、パープルなど、商品名通り、“クレイジー”なカラーを含め、全8色展開となっている。生産台数はコードネームにちなみ各色463台で、シリアルナンバーがつくそうだが、ワールドワイドで売られているため、日本での展開は数十台に限られているとのこと。¥25,000
2017年シーズン、ポールポジション獲得の歴代最高記録更新を達成したメルセデスAMGペトロナスチームのルイス・ハミルトン選手。その偉業を記念したTシャツも東京オートサロンで販売されていた。Tシャツの前身頃にはハミルトン選手の名前とドライバーズレースナンバー“44”、レースでの活躍ぶりが伝わる7枚の写真がデザインされている。ハミルトン選手が2017年のF1マレーシアGPでかぶっていたキャップ(レプリカモデル)とあわせたい。

関連キーワード

Share on:

RELATED

RECENT POST

Drive

Drive