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メルセデスの新ブランド「EQ」が目指す、クルマと人との未来

words:Masanori Yamada

最先端の技術を実現した自動車ブランド「EQ」。ここに至るまでのメルセデスの歩みと現在の取り組み、そして未来へのヴィジョンとは。

社会に大きな変化をもたらした自動車が今、社会的な要請によって誕生以来の転換期を迎えている。地球規模での環境問題への対応、ひいてはサスティナビリティへの回答が求められているためだ。ガソリン自動車の生みの親であるメルセデスはその問いに、新ブランド「EQ」という明確な答えを用意した。ポイントのひとつは、自動車の未来を切り拓く、パワートレインの大変革である。

現在に続く世界初のディーゼルエンジン乗用車を1936年に発売するなど、数多のエポックメイクを世に送り出してきたメルセデスは、内燃エンジン以外の研究開発にも早くから取り組んできた。なかでも、新しい動力源として期待される燃料電池の応用を提唱し、1994年には商用車MB100をベースにしたNECAR1(New Electric Car)をメルセデス初の燃料電池車として発表。実験車両ではあったものの、20年以上も前に“究極のエコカー”とされる姿を具現化することに成功していたのである。その後、NECAR5にまで進化する過程においては、世界各地における100台規模の実証実験のほか、一般ユーザーによるテストを欧米で実施。日本での公道実証実験も行われ、F-Cellの名が与えられた2002年発表の第6世代NECARでは、初代Aクラス(W168)をベースにするまでに洗練されていた。それを可能にしたのは水素タンクをはじめとする機器の小型化であり、長年にわたる研究開発の積み重ねは、燃料電池車を現実的な自動車のポジションにまで進化させたのである。

もっとも、次世代を見据えたパワートレインの研究開発は燃料電池だけにとどまらず、内燃エンジンの改良・開発、モーターを活用したハイブリッド車やEVまで多岐にわたり、あらゆる可能性を探る試行錯誤は現在進行形である。一方で、輸入車初のピュアEVとしてスマート電気自動車が発売された2012年に比べ、パワートレイン変革のうねりが確実に大きくなっているのも事実だ。

そうした環境のもとに誕生したメルセデスの新ブランドが、メルセデスAMGペトロナスのパワーユニット「EQ Power+」直系の技術を備えた「EQ」だ。そのパワートレインで主役となるのは、高い効率性と即効性をもたらすハイブリッド、そしてEVである。前回の記事でも述べている通り、サスティナビリティを見据えたパワートレインの変革においてメルセデスは、高効率化=燃費向上とともにドライバビリティ、つまりは走りのパフォーマンス向上も忘れていない。「EQ」のクルマ作りでも重視されるその思想は、実はすでにプラグインハイブリッド車として私たちのすぐそばに存在してもいる。それが、新世代の2ℓ直噴ターボエンジンに高出力モーターを組み合わせ、ハイブリッド車よりさらに電動化方向に振られた「C 350 e AVANTGARDE」「C 350 e STATIONWAGON AVANTGARDE」「E 350 e AVANTGARDE Sports」「GLC 350 e 4MATIC Coupé Sports」「GLC 350 e 4MATIC Sports」である。

これら5モデルのプラグインハイブリッド車は、エンジンによる力強い動力性能に高出力モーターのブースト機能が追加されることで、まるでジェット機のような途切れることのない加速感覚を実現している。さらに、エンジンとモーターで走行するEQ POWERシステムと、ECO=燃費を優先するモード、Comfort=快適性を優先するモード、Sport=スポーティーな走りを実現するモード、Sport+=最もダイナミックな走りを実現するモード、そして走りと快適性と燃費性能を好きに組み合わせられるIndividualの5つの走行モードで、ドライバーが求める様々なセッティングが選べるのが大きな特徴だ。環境性能はもちろんのこと、トルクとレスポンスに優れるモーターの利点を活かした力強くスムーズな走りの面でも、「EQ」が自動車の新たな価値を提案することになるのは、現時点でも想像に難くないだろう。

ディーター・ツェッチェ ダイムラーAG取締役会会長 兼 メルセデス・ベンツ・カーズ統括は「EQ」を「Electric Intelligence(エレクトリック・インテリジェンス)」を意味する言葉であると説明する。同時に、「EQ」は移動手段としてのクルマの存在意義を拡張し、特別なサービスと体験、イノベーションを生む全く新しいモビリティであると述べている。自動車の歴史を牽引してきた“メルセデス自身の変革”は、クルマの心臓の仕組みのみならず、その定義をも変革させようとしているということだ。今回の「第45回東京モーターショー2017」では、「EQ」の進化を示すコンセプトカー「Concept EQ A」がアジア初公開される。これはメルセデス初のコンパクトEVのコンセプトカーであり、市販されればEVの普及に多大な貢献をもたらすことは間違いない。同時にメルセデスAMGペトロナスのF1マシンと同じパワーユニットを搭載した「Mercedes-AMG Project ONE」、初代モデルからEV化を視野に入れていたsmartのコンセプトカー「smart vision EQ fortwo」もアジア初公開される。大気汚染物質の排出なきサスティナブルなクルマ社会を実現し、高いパフォーマンスを実現するとともに、ドライバーに特別な体験を提供する「インテリジェンス」を身につけた「EQ」。この存在は、100余年前に誕生したガソリン自動車と同じか、それ以上のインパクトを与えるだろう。そのインパクトを、「第45回東京モーターショー2017」でぜひ、体感してほしい。

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