

好古園(兵庫県姫路市)
別名「白鷺城」とも言われ、まさにシラサギが天空高く羽を広げたような優美さを持つ国宝・姫路城。その姫路城のお膝元にあるのが好古園。市制百周年を記念して建造された約1万坪のその日本庭園は、9つの趣の異なる庭園群で構成される。姫路城を借景とする贅沢なロケーションは新緑の中、涼をとるのに最高のスポット。裏千家第15代家元千宗室氏の設計・監修による茶室「双樹庵」ではお抹茶(500円・生菓子付き。10:00~16:00)をいただける。
入園料:大人18歳以上(300円)、小人(小学生・中学生・高校生)150円
9:00~17:00(入園は16:30まで)
※夏季(4月27日~8月31日)は9:00~18:00(入園は17:30まで)

Photo: Getty Images
足立美術館(島根県)
全米で一番有名な日本庭園、それがこちら。アメリカの日本庭園専門誌で14年連続「日本一」に選ばれている。訪れればそれも納得。5万坪の敷地に6つの庭園が配され、どれもまるで一幅の日本画のような端正さ。なかでも主庭となる「枯山水庭」は完璧な配置で四季折々のうつろいを風雅に演出。新緑と下に敷き詰められた白砂のコントラスト、借景の山々の稜線に遅い春を感じるはず。また、ここは横山大観、川合玉堂、平山郁夫、北大路魯山人、河井寬次郎など日本を代表する美の巨匠たちのコレクションも秀逸。日本画、陶芸の至高の作品もともに愛でたい。
4月~9月 9:00~17:30 大人2300円 www.adachi-museum.or.jp/
足立美術館から車で1時間10分ほどの場所にある島根ワイナリーは、ワインコンクール受賞歴も持つ。ワイン製造見学ができるほか、ショップ、カフェ&ビストロなども併設。
●島根県出雲市大社町菱根264-2 Tel.0853-53-5577
営⃝ 9:30~17:00(4月〜9月 〜18:00、施設により異なる)www.shimane-winery.jp/wine-feature/awards-received/

Photo: Keiji Komatsu/ AFLO
白神山地(秋田県・青森県)
「一年の中で新緑の季節が一番美しい」と多くの東北の人々は言う。その絶景が堪能できる白神山地は秋田県と青森県をまたいで広がる世界自然遺産。陽光を受け止め、ライムグリーンにきらめくフレッシュなブナ林の新緑の生命力。ラピスラズリのような十二湖・青池の深く青い神秘的な水面など地球が育んだ大自然はまさに絶景。30分程度で一周するトレッキングコースなど気軽なトレイルウォークからネイチャーガイドや本物のマタギと歩く本格的な登山まで。雪解けがゆっくりと遅い春を告げ、やがて緑一面の世界へと変わる。北の国が最も輝く一瞬をぜひ、つかまえに行きたい。
www.shirakami-visitor.jp/index.html
青森県・白神山地ビジターセンターから車で約30分。地元出身の若きオーナーシェフは県産や北海道産の旬の食材を活かしたイタリアンを提供。
●トラットリア リパージオ / 青森県弘前市百石町56 Tel.0172-88-6219
http://www.lipagio.com/

オーベルジュ・ド・ぷれざんす 桜井(奈良県)
悠久の日本最古の史跡群、シルクロードとつながる華麗な平安文化など、歴史をたどる時間旅行が魅了する奈良。最近はスタイルのある宿も続々と誕生、その中で食通に支持される1軒。高級フランス料理のひらまつと奈良県との産学プロジェクトの一環として誕生。里山や田んぼの風景の中にゆるやかにとけ込む県産の木材をたっぷりと使ったエレガントな空間に客室はわずか9室。圧巻はなんといっても食事。地産地消にこだわった季節のコースはひらまつならではのフランス料理の極意を盛り込んだ逸品ばかり。里山の自然に囲まれてぐっすり眠った翌朝はオーベルジュ風の朝食でさらにリフレッシュ。
車で20分ほどに位置する橿原(かしはら)神宮は神倭伊波禮毘古命(かむやまといわれびこのみこと)、後の神武天皇が九州・高千穂から訪れここに創建したと伝わる日本建国の地。
●橿原(かしはら)神宮 / 奈良県橿原市久米町934 Tel.0744-22-3271
www.kashiharajingu.or.jp/

Photo: MO Photos/ AFLO
九年庵(佐賀県)
明治時代、9年の歳月をかけて丁寧に作庭された九年庵。佐賀の大実業家、伊丹弥太郎の別荘と共に国の名勝に指定される景勝地。紅葉と新緑の季節のみ一般公開されるが、その期間なんとわずか数日間。これからの季節、しっとりビロードの艶めきのように庭を包むスギゴケの緑のグラデーションはため息がもれるほど美しい。頭上にはツツジや春モミジが豊かに広がり野趣たっぷり。紅葉時よりも混雑が少ない春は実はおすすめの季節。みずみずしい新緑の息吹と意匠ある数寄屋造りの建築美に出会う珠玉の体験ができる貴重なタイミングを逃さないで。
PROFILE
寺田直子/Naoko Terada
トラベル・ジャーナリスト。
シドニーの旅行会社勤務後、編集プロダクションを経て独立。雑誌や新聞、旅行サイトなどに、トラベル・アーティクルを執筆。旅歴25年、訪れた国は80か国ほど。