
90年代のファッションシーンを知っている人なら、誰だってアンバー・バレッタの名を知っているだろう。アメリカン・ヴォーグのカバーを16回も飾り、トップメゾンの広告キャンペーンに幾度となく登場してきた元祖スーパーモデルは、現在女優、そして活動家としての顔を持つ。日々の考え方や習慣を少し変えるだけで、サスティナブルかつファッショナブルな未来を切り拓くことができるという、彼女のヴィジョンを聞いてみた。

どうして、ファッション・サスティナビリティの活動家になったのですか?
「私はオクラホマ州タルサ郊外で育ったから、子供の頃から自然と触れ合う機会が多かったの。そうした経験から、自然環境のありがたみや価値を理解するようになった。私の母は、タルサの原発建設計画を巡って、反対活動を行う団体の一員だったの。自分が正しいと信じるもののために戦う母の姿を幼い頃から見ていたから、私も自分の意見をきちんと伝えたいと思うようになった。でも、大人になってから仕事と自分の価値観にズレを感じはじめたのがきっかけで、廃棄物や副産物について考えるようになったわ」
昨秋メルセデス・ベンツが主催したカンフェレンス「me Convention」で、あなたは、ファストファッションとの因果関係について語っていましたね。
「これまでの生産方法や製造過程に、人々は疑問を感じ始めているわ。といって、今の製造過程は昔から続くシステム化されたものだから、一晩では変えられない。今は人々がそれに気づき学んでいる過程だと思うの。まだまだ時間はかかるかもしれないけれど、物事は進みつつあるのよ」

業界はこういった協議をどう見ていると思いますか?
「誰かにコンセプトを伝える時、『この部分は素晴らしい』『けれどこの部分はもう少し改善できるかも』『だからちょっとだけ思考を変えてみよう』と、私たちがサポートできる点をひとつひとつ説明するようにしているの。今までのやり方を非難したり攻撃したりするよりも、その方がよほど効果的だと思うから。誰だって、ハードな言葉で責められるのは好きではないわ」
以前あなたは、インフルエンサーとしての自身の役割について語っていましたね。
「ソーシャルメディアを活用すれば、廃棄物問題について訴えることができるわ。リサイクルやヴィンテージ、再利用といった活動を促すことだってできるのよ」

2010年に、オンラインショップ「マスター&ミューズ(Master & Muse)」を設立されましたが、そこではサスティナビリティをどう定義していますか?
「現在、マスター&ミューズの活動は一時的に休止しているけれど、ブランドの根底にある価値観は今も同じ。第1に、製品はファッショナブルであること。誰もが羨むような魅力がないと意味がないと思っているの。加えて商品はもちろん、製造工程もサスティナブルで、供給プロセスも透明でなければならないと考えているわ」
日常生活で、サスティナビリティとどのように向き合ってるか聞かせてください。
「自分が言ったことはきちんと守りたいから、一度宣言したことは、私生活でも実行するようにしているわ。自宅にはソーラーパネルを設置し、車は電気自動車。CO2削減に取り組みながら、エシカルなライフスタイルを常に心がけているの。買い物に制限を設けているわけではないけれど、大量に買い物しないように注意もしている。それでも十分に快適な暮らしを送れるの。とにかくシンプルな生活を意識しているわ」
アンバー・バレッタは、メルセデス・ベンツのEV(電気自動車)ブランド「EQ」のコンセプトカー「concept EQ」を使ってのファッション・ストーリーに出演中。
EQは、Electric Intelligence を表すメルセデス・ベンツの新たなブランド。環境問題やサスティナビリティを考慮し、未来を描くメルセデスのシンボルだ。