Drive > Spot > ヤング・クラシックと過ごす時間に欠かせない、カセットテープショップ

ヤング・クラシックと過ごす時間に欠かせない、カセットテープショップ

Photo:Teppei Hori
Text:Yusuke Osumi

アウトドアをこよなく愛する、出版社Mediumのディレクター、大野高広さんが所有しているメルセデスは1994年製のEクラス。今回向かった先は、ヤング・クラシックならではのスポットだった。

大野さんの“守備範囲”を広げたメルセデス

クルマは、乗る人のライフスタイルの新しい基準をつくる。例えば、所有するもの、聴く音楽にまで影響を与えることすらあるのだ。今回触れていくのは、その好例といえる方のエピソードである。

国内外のストリートファッション/カルチャーの今をいち早くキャッチし、雑誌というオーセンティックなメディアを使って、その情報を発信し続けている「OLLIE」。ファッションを中心とした様々なジャンルの温故知新を大切にし、現代にあるべき男性像を描く「GRIND」。「GRIND」の理念を受け継いだ女性誌「PERK」などを発刊する出版社、Mediumの営業企画部でディレクターを務める大野高広さんは、クルマによって自らの“守備範囲”を広げたひとりだ。現在所有しているクルマは、1994年製Eクラス。「元々はアメリカ車党だった」という大野さんにまず、メルセデスに乗り換えた理由を尋ねた。

出版社、Mediumの営業企画部でディレクターを務める大野高広さん

「5~6年ほど前、駐車スペースの問題で当時所有していたピックアップトラックを手放さざるを得なくなったんです。それからしばらく、クルマはもたなくていいかなと思っていたのですが、以前からお世話になっている取引先の代表の方が乗っていた2000年製のCクラス ステーションワゴンを譲って頂けるという話がきて。お互いクルマが好きで、よくその話題で盛り上がっていたことを覚えて下さっていたんですよね。ドイツのインダストリアルデザインに対する考え方に以前から興味がありましたし、一度くらい体験してみてもいいかと思い、譲り受けることにしました。それが僕のメルセデスデビューです」

大野高広さんが所有しているメルセデスは1994年製のEクラス

アメリカ車とのつくりの違いに、当初は多少の違和感を覚えたと大野さんは話すが、それはやがて愛着と安心感へと変わり、別のメルセデスにも乗ってみたいという気持ちをも生み出した。そうして昨年、現在のEクラス ステーションワゴンに乗り換えることになる。

「Cクラスに乗りはじめたタイミングで狩猟をはじめて、以来、アウトドア全般にハマったんです。今や趣味というより生業といった方が正しいほど、狩りの時期は週に1、2度は時間を見つけて必ず地方の山に赴くようになっています。Eクラスに移行した理由がまず、より積載性が高かったからでした。加えて、1994年製の300TEはとにかく頑丈という話を聞いていて、13万kmくらいからスタートしたのですが、いざ乗ってみるとその話の通り、多少荒く扱っても全く壊れない。ステアリングの重みも僕にとってちょうどよかったですし、さらに、そのタフさに反して、内外装のデザインは都会でも映えるモダンさをもっている。すべてにおいて、調和が取れていたんですよね」

話を聞いていると、仕事では最新のファッショントレンドを追いかける必要がある一方で、プライベートの趣向は、それとは逆をいっているように思えた。大野さんは「ファッションや新しいものだけを追い求めることが、決していいとは考えていない」とさらりという。

「ファッションに関わる仕事をずっとしてきて、これまで幾度となく色々な企画を提案して形にしたり、人に影響を与えられる機会も生み出せてきたと自負しています。楽しいですし、やりがいも感じられているのですが、あるときから、仕事を辞めたあとのことを考えるようになったんです。誰にも頼らず、自らの力で生きていかれるようになりたいと思いはじめて、それで最初に挑んでみたのが狩猟とキャンプ。荷物が積めるクルマさえあれば、都会に住んでいても気軽に行けますからね。考え方と共に、ものを選ぶ基準が第一に実用性になった点も大きな変化です。だからこそ、Eクラスが特にしっくりきたのかなと思っています」

カルチャーシーンの台風の目となっている、カセットテープショップ

大野さんの言葉から、Eクラスがいかに有益であるかがわかるのだが、ひとつだけ、少し古いクルマならではの不便な点がある。それはオーディオだ。大野さんのEクラスのそれはカセットテープ式。改造を施せば、新しいオーディオシステムを組み込むことはできてしまう。しかし、大野さんはそのまま残した。その理由はカセットテープ作品を中心に扱う、waltzというショップがあることを知っていたから。大野さんはEクラスを購入してすぐに、好きなロックバンドのカセットテープを買いにwaltzへ向かったという。

運転席

東京・中目黒の住宅街の一角に位置するwaltzは、2015年8月にオープン。長年、Amazonの日本法人に勤めてきた経歴をもち、インターネットビジネスを熟知した角田太郎さんが、あえてAmazonとは異なるリアルな場にこだわり、本来の趣味だったカセットテープにレコード、そして好んできた音楽を広めたいという純粋な想いの元、開いたショップだ。

大野さんとEクラス

カセットテープはもはや消えたメディア、と思っている方は少なくないだろう。しかし、侮ってはいけない。近年、レコードと共に再び注目が集まっており、国内外にカセットテープで音源をリリースするインディーズレーベルが徐々に増えてきている。奥田民生さんを中心とするロックバンド、ユニコーンやアメリカのアーティスト、BECKもカセットテープで新曲を発表しており、そのことは高い注目度の証拠のひとつといえるだろう。しかし、カセットテープをメインで扱っているショップは、世界的に見ても限りなく少ない。そのためwaltzは、誕生からほどなくして台風の目となっているのだ。

カセットをディグる大野さん
店内にはラジカセも

角田さんは「物事が進化するほど、その対極にあるものに光が当たる」と語る。おそらく、これまで最新を追求してきたが故に至った考えだろう。大野さんの生き方、ものの選び方はその言葉と強くリンクしている。だからこそwaltzに惹かれたのだと考えられる。

Spot information

waltz
http://waltz-store.co.jp/

ADDRESS 東京都目黒区中目黒4-15-5
TEL  03-5734-1017
ACCESS 「中目黒」駅より徒歩12分
営業時間 13:00~20:00
定休日 月曜日
駐車場 無し ※近隣に駐車場数カ所あり。

PROFILE

大野高広/Takahiro Ohno

大野高広/Takahiro Ohno

狩猟とキャンプを“生業”とする、出版社Medium 営業企画部のディレクター。

ALL TIME STARS®

関連キーワード

Share on:

RELATED

RECOMMENDED

RECENT POST