
アーバンで開放的、疾走感のある
サウンドが思い浮かんだ
2022年10月13日、iriは、ワンマンショーとしては自身のキャリアで最大の会場となる東京国際フォーラムで公演を行った。アンコールで演奏したのが『friends』という楽曲で、この日が初お披露目となる新曲だった。このときの会場の反応を、iriはこんなふうに振り返った。
「サプライズで初披露したので、みんな結構びっくりして最初はぽかんとしていたんですけど、キャッチーなフレーズもあったりするので、早速踊る人もいて、その光景は微笑ましい感じがしました。演奏したメンバーからも、新曲いいねとか、この曲はやっていて楽しいと言ってもらえたので、よかったなと思いました」
『friends』という楽曲は、メルセデス・ベンツの新型SLのタイアップ曲として作られた。iriは、「事前にメルセデスAMG SLの資料をいただいて、頭の中でイメージをふくらませながら楽曲を制作しました」と語る。
「私はいま、教習所に通って運転免許を取得している最中で、クルマに詳しいというわけではないんです。でも資料を拝見しながら、アーバンで開放的で、疾走感のあるサウンドのイメージが湧いてきました」


確かに『friends』のサウンドには、爽快に駆け抜けていくような、クールなスピード感が感じられる。
では、歌詞についてはどうだろう。iriの歌詞は、ただ韻を踏んでいるとか、リズムに乗っているというだけでなく、聴く人の心に直接飛び込んで来るような明確なメッセージがあることが特徴。iriが若い世代から絶大な支持を受けている理由は、サウンドとともに歌詞にも魅力があるからだ。

「まず『friends』というタイトルなんですけど、ちょうど友だちと仕事のことで、あと一歩前に進めないとか、ちょっとシャイになって自分を表現できないとか、そんなことを語り合っていたタイミングだったんですね。でもそこから抜け出して行こう、シャイになっている自分をむき出しにしていこう、というようなメッセージを込めました。SLにも、“挑戦”というキーワードがあったので、つながったと思いました」
歌詞の中に、「ワイドな夢を僕らに見せてよ」というフレーズがある。つい、メルセデス・ベンツのSLのルーフをばんと開け放つシーンを想像してしまうけれど、それはさすがにこじつけに過ぎるだろうか。
「いえいえ、そんな感じもありますね。夜から朝に向かう時間に、ルーフを開けて駆け抜けて行くイメージを持っていました」

ルーツを大事にしながら
新しいことにチャレンジする
『friends』のミュージック・ビデオの撮影では、実際にメルセデスAMG SLの運転席に座っている。近くで見たり、触れてみたこのクルマの感想はどんなものだっただろうか。
「もともとメルセデス・ベンツというブランドは、ものすごい高級車というイメージで、私たちの世代からするとちょっと手が出しづらいような、もうちょっと年齢を重ねてから乗るクルマなのかなと思っていました。でも撮影で運転席に座って新しいSLは、青いボディカラーがすごく格好よかった。私の周囲には青いボディカラーのクルマがあまりないこともあって、SLの青はとてもきれいに感じました。あと、外観もすごくクールだったので、モチベーションが上がるというか、こんなクルマに乗りたいという気持ちになりましたね」

ルーフが開くことは、いま教習所で乗っている教習車と大きく違うけれど、オープンということに対してはどんな印象を受けただろうか。
「教習所に通いはじめてから、まだそんなに時間が経っていないので、このSLをオープンの状態で走らせたら緊張するだろうな、と思いました(笑)。クルマでライブの会場に行けたら便利だし気持ちもアガるだろうな、と思って教習所に通うことにしたんですが、思っていたより難しくて。マニュアル(トランスミッション)で免許を取りたいんですけれど、手と足の動きが合わない(笑)。でもSLの運転席に座りながら、ルーフを開けて海沿いの道なんかを走ったらすごく気持ちいいだろうな、という思いも湧きました」


1950年代に登場した初代メルセデス・ベンツSLは、レーシングマシンをベースにした高性能モデルだった。新しいSLも、そうした伝統に回帰するかのように、メルセデス・ベンツのモータースポーツ活動を担当するメルセデスAMGブランドとして販売される。つまり、伝統的なコンセプトと、最新のテクノロジーが1台のなかで融合している。
iriの音楽も、ソウルミュージックやジャズといったエッセンスを感じさせつつも、まったく新しいサウンドとなっている。アーティスト活動を続けるにあたって、伝統と革新の融合について思うところはあるのだろうか。
「ブラックミュージックやジャズだったりが私のルーツなんですけれど、もう自分の身体に染みついちゃっている感じはします。そういうルーツを大事にしつつ新しいものを作るあたりは、SLのあり方と通じる部分があると思いますね。最近は、だれも聞いたことのないサウンドを求めるというよりも、自分にはしっかりとしたルーツがあって、それをベースにいかにおもしろい表現ができるか、リスナーのみなさんが楽しんでくれるか、みたいなところを大事にしている気がします」

与えられたテーマで
曲を作るのもおもしろい
今回の『friends』は、メルセデスAMG SL のタイアップ曲ということで、ある程度のテーマが与えられている中で制作された。まったく自由に曲を作ることと、タイアップ曲を作ることには、なにか違いはあるのだろうか。
「テーマを与えられたほうが、逆に想像力が広がることもあると感じています。自分が想像もしていなかったキーワードが飛び出てきたり、最近はテーマを与えられて曲を作ることもおもしろいと思っています」

最後に、2016年にメジャーデビューを果たして6年、iriがこの先の自身のキャリアをどのように考えているのかを尋ねてみた。
「今、海外のミュージシャンと曲を制作することにチャレンジしていますが、それをもっと深めていきたいですね。日本の方だと、iriというアーティストのイメージが出来上がっていて、iriのフローってこういう感じね、みたいになっているんです。でも私のことをよく知らない海外のアーティストと一緒に音楽を作るのは新鮮だし、すごくエキサイティングです」
今後のライブ活動についてはどうだろうか。
「2023年もツアーをやっていきたいです。会場が大きくなっても、お客さんとの距離感はライブハウスで演奏するのと変わらないように心がけたいです。ただ、先のことを考えるよりも、目先のことに必死になりすぎるタイプなので、その時、その時に興味を持ったことにトライしていきたいですね」
今、目の前にあることに全力で挑戦するiriのスタイル。それでは、遠い未来の目標を立てるよりも、来年のツアーまでに運転免許を取得して、自らドライブして会場入りすることを目標にするのはどうだろう──幌を開けてメルセデスAMG SLのステアリングホイールを握るクールなiriの姿を想像すると、ぴたりとフィットする。
PROFILE
iri
1994年、神奈川県に生まれる。地元のジャズバーで弾き語りのライブ活動をスタート。2014年にファッション誌『NYLON』とSony Musicが開催したオーディションでグランプリを獲得。2016年にビクターよりメジャー・デビューを果たし、iTunes Storeのヒップホップ/ラップチャートで1位を獲得。日本のみならず、海外でもライブ活動を行う。
【OFFICIAL SITE】 http://iriofficial.com/
【Instagram】 https://www.instagram.com/i.gram.iri/
【Twitter】 https://twitter.com/03iritaama
【YouTube】 https://www.youtube.com/c/iri_official
[New Release]
Digital Single「friends」
配信日:2022年10月26日(水)
配信サービス一覧:https://jvcmusic.lnk.to/iri_friends